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世界の頂き

「ちょっとそこの姉ちゃん」

緋花莉を待つ間、グルグルと同じところを歩き回っていた私に、誰かが声をかけてきた。案の定、絡まれてしまったらしい。無視をしようと、聞こえない振りをして、また歩き回る。


「毛先をうっすら赤く染めてる、セミロングの君だよ。」

バッチリ私の特徴だった。もしかしたら、他にも似たような髪型の子がいるかもという、一縷(イチル)の希望にかけていたが、周りを確認したところ、その希望は一瞬で壊された。冷静に考えれば、他に似たような子がいないことは、わかったろうが…


やっぱり、私のことだ…


相手が立ち去る気配もないし、何より、緋花莉が戻ってきた時に巻き込みたくなかった。声を掛けてきた人物とは別にもう2,3人いるようだったが、私は歩き回るのを止め、声の主の前で立ち止まった。


「なんですか?。」

正直、相当な勇気が必要だったが、一刻も早く片付けたいというのが一番にあった。


「おっ。やっと、返事してくれた。その様子だと、ビギナーの子でしょ。俺たちがいろいろ教えてあげようか…?」

「いいえ、結構です。」

これほど人からの視線を不快に思ったことはないだろう。嫌々ながらもとりあえず、返事をした。


「そ〜言わずにさ〜」

馴れ馴れしい声の主をよそに、私はあたりを見渡した。こういったことは珍しくないのどろう。周りも特に気にしている様子はなかった。少し遠目には緋花莉の姿があり、どうしようかと迷っているのか、とても心配そうにこちらを見ている。


「行くところがあるので、私はこれで」

この場から立ち去るために、体を反転させ、1歩を踏み出そうした時。ついに腕を掴まれてしまった。

「そんな冷たい態度を取るなよ〜」

「離してください!」


ハラスメント行為を警告する表示と通報用のボタンが目の前に現れた。あとはこのボタンを押すだけ。私が指を伸ばして、ボタンをタップしようとした時には、私の腕を掴んでいた力がすっかり消えていた。


ふと後に目をやると、声の主の肘からしたが切断されていた。この世界には血液が存在しないため、流血のエフェクトがある訳では無いが、それでも少しショッキングな光景だった。腕を持っていかれた本人も驚きを隠せないでいた。


「ハイハイ。それくらいにするね。美人で美乳子たんが困ってるね」

銃らしきものを構えた1人の少女がこちらにやってきた。どうやら、あの銃で腕を持っていったらしい。だとしたら、すごいテクニックだ。しかし、美人で美乳子ちゃんとは、私のことだったのだろうか…


「なっ何でこんなところにS級ランカーが…」

「そんなことはどうでもいいね。とりあえず、死んで償うね。」

そう言って、少女は銃の引き金を引いた。放たれた弾丸は、確実に相手の頭を捉えていた。


この世界での死は、ヒットポイントが0になったことを意味し、死んだプレイヤーは、復活の間からリスポーンできるよになっている。集団を一網打尽にした少女は弾を込め直し、フッと小さく笑った。


「ごめんね、ユメカ。私、何もできなくて」

緋花莉は深刻そうな顔をして、こちらにやってきた。

「いいんだよ。よかった、巻き込まなくて」

お互いに笑顔を交わす。


「先ほどは助けていただきありがとうございました。」

未だ快楽に浸っている少女に私は声をかけた。

「あんなの何でもないことね。カワイイは正義。だから助けたね。」

ここまでまっすぐカワイイと言われると、流石に恥ずかしかったが、グッとこらえて、話を進めた。


「S級ランカー…お強いんですね。」

「そんなの単なる肩書きでしかないね。ああ、自己紹介がまだだったね。私はスピッター、スピちゃんと呼ぶといいね。S級ランカーで今は5位をしてるね。」

「Sランクで5位?!」

思わずオウム返しで応えてしまった。


「そうね。だから、私より強いのはまだまだいるね。この世界は広いね。ビビコたん、イケボちゃん。」

「それって私たちのこと?」

「当たり前ね。美人で美乳子たんだから、ビビコたん。イケメンでボインちゃんだから、イケボちゃんね。」

「なっ…!!」

私たちは顔から火が出るような思いを抱きつつ、胸に守るように防御体制をとった。


「スピち〜ん。ちょっと待ってえな」

「ジョーカーさん。遅すぎるね。帰ってしまうところだったね。」

「冷たいこと言わんといてな〜。ところでそん子たちは?」

ジョーカーという女性の目が私たちに向けられた。女性にしてはなかなかの長身で、キリッとした表情をしていた。端的にいえば、美人だ。


「ビビコたんとイケボちゃんね。絡まれているところを助けたね。」

「うん、名前は本人たちから聞くとして。よくやったやないか。」

見事にスピちゃんの強キャラをさばいてみせたジョーカーが、再びこちらに目を向けた。


「うちはジョーカー言うもんや。一応、S級ランカーで今は2位になっとる。呼び名は好きにしてええよ。」

5位に続いて、2位とは…もはや次元が違った。

「はっ初めまして、新規ユーザーのユメカと言います!」

「初め…まして…。レイと言います…」


「はははっ。緊張しているんかいな。可愛いな君たち。わからないことがあったら聞いてな。フレンド登録は済ませておいたから」

初めて仮想世界に来てから数十分でこの世界のトッププレイヤーに出会えるなんて…


私の口は考えるよりも先に動いていた…

「ジョーカーさん。私とバトルしてくれませんか…?」



初めまして、美恵 匠と申します。


小説を書き始めた、駆け出し者ではありますが、どうぞよろしいお願いします。


ご意見、ご感想お待ちしております。


美恵 匠

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