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七話 「車輪の春休み 苦難の明晰夢 Ⅳ」

かれこれ入学式直前に訪れた交通事故による死後……どころか、その前の生前時代からの疲弊と傷心(主に課題と女神のせい)の連続で、もうどうにかなってしまいそうな、いや、既にどーにかなってしまった(さっきの女神の一言+αで泡吹いて倒れた件)俺。しっかし、この女神空間、やたら時間の流れが緩やかな気がするんだが、ともかく、で何がどーなってるんだ?



「下手にペースに飲まれやすいのが、運の尽きだァなあ?ハッハッハッハッハッ!」



(う……言われてみれば)

確かにそうかもしれないな。妄想特化型の俺の悪い癖なんだろうが、べ、別にいいだろ!?てーかなんだよその高笑いは!



「あ゛?」



(ひいっ!)

この切り替えし、ホント、やめてほしーのれす……いや、さっさとすることして欲しいのですが。


前もそうだが、ノリがいいのか、それとも力の有り余る女神であるからこそやたら勿体ぶるのか、一向に事が運ばずグダグダになっちまってる気がする。もしかして、これまでの女神とのやり取りに何か意味があったのかも知れないが、現状、今までの事を振り返ったとして、とても価値あるものだったとは思えん。



「価値ィ?あのよーオ?勝手な御都合解釈に加え、あろうことか更に独自の色付けを施しテえ?それをまた勝手に信じ込んだ上で、暴走しだすキチガイイカレ野郎だからナあ?ギャクキャラもほどほどにしてくれねーとよお、コッチをイラつかせるだけなんだあ、自覚あんのかあ?なアッ?」



(い、いやあ、あはは)

正直なところ、日ごろのおふざけの調子がどうしても反映してしまうのです。言っとくが、天然じゃなくて意図的に、つまりはワザとなんだからな!お間抜けだから、じゃあねーんだぞ!(間抜けが誰だとは言わんよ)


<ジロリ>


(い゛っ!)



「……どうだ、落ち着いたか?」



(は、はい)

って、んなわけあるかい。ちびってまうでえ。


見かけ上、通常の会話(いや全く毛色が違いますが)かと捉えてしまうかも知れないが、姐御女神は横になってお決まりのポーズをしつつも綺麗な顔して恐ろしい形相でこちらを睨み付けながら話し、片や俺はこの女神の目の前で正座をさせられている状況だ、下手に動けない。ちなみに女神は右おPが丸見えーな格好である(いやいやちゃんと着るか、いっそ脱ぎ捨てるか、はっきりしてほしいんだが、この似非着エロ女神!)。そう、だから顔より、はだけた胸元に目が行くもんだから、もう我慢なりません。だがしかしこんな煩悩を浮かばせてしまえば……



「アタシの目え、見てっカあ?」



(ははは、はひい)

当然このように瀕死級、即死級の脅しが来るわけだ。睨まれて防御力がガクッと下がる、どころの話ではないのだよ。もう、嫌です(せやせや!)。



「あ゛?」



(あががががが)

ほーらまたコレだ。ええ、そうですよ、こんな常時震え声な心理状態なんぞ、もう真っ平御免だい!ってえの――< ゴ ゴ ゴ ゴ >――は、ははははは、はい、そういうわけ……ではなくて、すんません。えー、ただ今ながらではありますが、深く心を改めまして、この先我が身に降りかかるであろう「諸々(推定五人以上となる女の攻略にまた失敗しないこと、失敗するとまーた春休みから人生やり直しになる可能性大)」への準備の為に、今、粉骨砕身の臥薪嘗胆たる覚悟で親愛なる女神さまの御高説を心を尽くして拝聴致しますですッ!



「ほう、じゃあこっから先は、本気で無心で集中して聞けヨお?つってもなー、何べんも死んでは蘇って同じ時間を繰り返してるバカなお前は、バカながら薄々感付きつつある事かも知れねえがあ、一応伝えとかねえとイケねえ事だからなあ。まずは、あの世とこの世と夢との関係についてだ?いいか?」



(そ、そうですか)

しかし、それと攻略に何の関係が?いや、ええ、ともかく準備おっけーっす、どうぞお聞かせくださいまし!


今までと違い、女神はどこか大真面目な様子だ。このギャップは中々たまらん。



「まずはこのリアルな夢、オマエにしてみりゃあ明晰夢っつーヤツだあなあ」



(――あ、そうなのか!)

だからか。俺自身が、これは夢であるはずという前提を既に自明のものと認識していたからこそ……いや、目の前に女神がいたからこそ、この世界が夢である事を無意識にどこかで認識しつつも、それを通り越して死後の世界なんじゃねーのかって考えていてしまったから、なるほど、最初っから夢だって気づいていたわけか――なあ、女神。オレの事を気になってる、あの可愛い可愛いボクっ子女神に変わってもらえねーか?



「オメエよお、今明晰夢だからって好き放題しようと企んでるだろう?またボコボコにされてえってのカあ?」



(うるせー!)

ふぬぬぬぬぬぬっ、はあああああああああッ!……だ、ダメだ。


明晰夢だと気づいた事で、この空間で思い通りに意のままに何から何まで操作できるのではないかと考えたのだが……どうしてだ?なぜ何も変わらない!



「これだからバカは困る。無駄なんだよ。アタシら女神がいる限り無理なんだあナあ。だから、何もできねえってんだよ」



(なんだよ)

何もできねえんじゃ、明晰夢である意味ねえじゃねえーか。なんなんだよ、全く。



「意味はあるんだよ、言えねえがな。しっかしィ?一々取り乱されちゃあ、進まねえんだがなあ?さっきの意気込んだ姿勢はどーした、ああ?」



(う、そうでした)

も、申し訳ございません。聞く事に集中いたしましょう。



「それでいい。でなあ、“夢”ってえのは面白くてなあ、おめーも考えている通り“霊”や“魂”の世界と繋がってるつーか、ごちゃ混ぜになってんだよなあ。それも色んな次元の色んな世界とな」



(……も、もしや)

俺が妄想していたのとドンピシャなのか?いや、それだけでなく、更には色んな次元の世界と?あの世をベースにして、夢を介して、様々な次元の世界へ飛んで経験を積んで、みたいな?いや、待て、それだけではなく、いやそれとはまた別に――




≪ったく、これじゃあ、先が思いやられる≫



「……あ、やっぱやーめた。ちょっとメンドーだ、変わるぞ。はぁ――」



(は!?)

おいおいおい、何ていい加減な女神だ。真面目な顔して真面目な話をやっとしたかと思いきや、コレだ。さんざん殴り殺す勢いで身も心も捻り潰しておきながらほんの少ししか語ってねーじゃねーか……アヤツめ、さては逃げやがったな?(でもちょっとホッとした!いや、すっごくホッとしたけどなッ!)


ため息と共に白い光と雲に包まれ、瞬時に見た目も声も変化するのがこの女神S(集合的な意味で)の特徴であるが、いささか適当過ぎやしないか?




「――何を言っている、適当ではないのだよ」




(ん?今度は何だ?)

白い光が弱まるとともに、その姿が次第に見えてくる。どうやら聞き覚えのない声をした女神だ。声的にはだいぶ若い、まだティーンになりたてといったところか。ちょっとワクワク、ドキドキ。適当ではないという事に関しては、この際どーでもいいさ。ああ、やっと変わってくれるんだな。くっだらねーヤセ我慢からの解放による喜びが、幸せが、俺の全身を満たしていくッ!



「さて、どうしたものか」



(……わーお)

こーれまた、聞いて極楽見て地獄、ではないにせよ、どっかの界隈じゃよくいそーなの――「やはりオヌシは失礼な男と見える」――が出てきやがった(ま、嫌いなタイプではないが、いや寧ろ、これはこれで……ぐふふ)。極道のねーちゃん(で、いいよな?もう)よりは安心していいのだろうか?何だか気だるそーで眠たそーな顔をした、頭に特徴的な突起的な触覚的なアホ毛的なのが付いてそうな小柄な少女(といっても某全裸ロリ女神ほど幼くはないが)の見た目の女神が出現、されど若干生意気でわがままそうだが口数は少ない妹系の小娘って感じだ!――「お構いなしか。全く、ため息が出てしまいそうになるよ」――だが綺麗な水色というか、浅葱色の……それは地上の楽園とも呼ばれる南国の透き通った穏やかな海を連想させる、清らかで鮮やかな色をした髪は、両肩から左右の胸辺りまで伸び、毛先の部分から少し離れたところをちょこんと結んだ、可愛げなおさげの形をつくっている。さっきの煉獄の炎の如きヘアカラー&ヘアスタイルとは打って変わって、見ていて落ち着く(まあなんだ、その、髪は褒めてやる)。ついでに極道派のあのポーズとは違い、女の子座りで話しかけて――「そうだぞ。よくそこまでワタシのことを無視して集中できたもんだ。加えてその上から目線の激しさ、何様だよ」――肩は脱力気味に、両手は足と足のちょっと空いた隙間に入り込むように置いている格好だ。まー残念ながら、俺が求めて止まぬ可憐なボクっ子女神とは声が違うことから考えて、また別な女神であるというのが、改めて分かった次第である(……何故だ、どうして出てきてくれないんだ!俺は悲しいよ!マイハニー!)。ただ、この女神に限ってはこれまでの経験を踏まえ鑑みても、見た目や声のマッチ加減においては別段違和感はない印象である(それにTHE☆女神と同様の衣装だがしっかりと着込んでその身を包んでいる……ざ、残念ではあるが、一応一安心ということで。しかしだな、ちっぱいであることは服の上からでも明白であるのだよ!その起伏の無さがまる分かりのTHEまな板だ!――さーて、フフフ、そのまな板の上で何を捌いて欲しいのですかな?お嬢様。その白いナプキンで隠している物欲しそうなお口、もしや涎が垂れているのでは?メインディッシュは何がお望みですかな?今宵の私の包丁は、刺突に飢えているものですから、ご要望があれば何なりとお申し付けくださいますようお願いしますよ?フフフ、では、まずはその重なり合った白き羞恥心ベールから剥いでいくとしましょうか、お次はサーモンピンクの羞恥心ベールでよろしいですかな?フククククク、フハハハハハハ)。いや、今までが規格外の度を越えた論外のミスマッチな組み合わせだったと思えばいい、姐御はまあともかく。でだ、こうもすると疑問が一つでてくる。女神は一体何種類いるんだ?ちなみに俺は正座のままである(夢の世界なのか、足は痛まないんだぜ)。



≪正直カットしてやろうかと思ったけど、中途半端に終わっちゃったよ。どーしてくれる、この馬鹿野郎≫


「……えーっと、長々とした解説、どうもご苦労この野郎。でも無視は感心しないぞ?スケベ野郎。で、何種類いるのかと言えば、女の数だけいるんだ妄想野郎、と思えばいい、が」



(な、ななな、なんと!)

あっけらかんとした表情であろう俺(他方この青髪女神ちゃん、冷めた表情ながらホンノリ頬が赤くなってますな)。女の数だけだと?現世でのってか?まことに衝撃的な事実である(しかしヤローヤローと言った時のこの嬢ちゃん女神のカ・オ!ちょっと可愛いじゃあないかあ、ええ?それに何でス・ケ・ベって分かったのお?どっちがスケベさんなのかなあ?ふひひひ)……が、何だ?



≪もういやだ……ん?≫


「限度もあれば、制約もある。で――」



(で、ですよねー)

ちょっとホッとした。そりゃ、そうだわな。こっちとしても覚えきれないだろうから、助かる。制約というのが気になるところだが、で?何だ?(平らなのが恥ずかしいのかなア?ふへへへへ)




「――たった今、非常にマズイことになった」




(……は?)

非常にマズイ?どういう意味だ?(もしやイヤらしい涎がッ!?)



≪ちょっといい加減にしろよ、この変態野郎≫



見た限り、青ざめた表情に変わった様子でもなければ、やってしまったという感じをチラつかせてつつ横を向いてボソッと呟くっつーわけでもなく、また慌てている様子もなければ、とにもかくにも抑揚もない語調で、どこか他人事のようでもありながら、それでいてどこか自分に言い聞かせるようにも思える雰囲気を纏わせて、この女神は平然と言いのけているのである。


本当にマズイのか?にしては、エマージェンシーさがこれっぽっちも伝わってこないんだが。



「ふーむ、今のオヌシに伝えたところで、理解できるか極めて怪しいからなー」



(そうかよ)

つーことも含めて、そんな風な喋り口調でいるわけなんすかね(もしかしてマグロなのかな?なら、これまた捌き甲斐がありますなあ、ヘッヘッヘ)。



「それと、さっきのアネゴから、長ったるくなりそーだから代わりに話をしてくれと、バトンタッチをされたものの、どうやらそんな余裕も今はないみたいなんだぁ」



(……え?ちょっと?)

まーた見えてこない展開になりそうだ。唐突な時間の無さも加味してな。どうやら余計な妄想してる場合じゃねーみてえだ(えーっと、じゃ、そゆことで、沈黙!)。



「……仕方ない。とりあえず、何がマズイのか、分かりやすく言うとだな」



(ああ)




「はぁ――え?……あっ」



(お、おいいいいいい!)

イッツア変身ターイム!またもやお初にお耳にかかる声が。いやー、その、ねえ?やっぱ、この女神たちって、基本お間抜けさんのお茶目さん(つーかバカでアホ)なんだろーな。恐らく緊急事態にもかかわらず、動じずにのんびりのほほんと、というより淡々と喋っていた青髪小娘女神(でいいよな?)は、咄嗟なのか、ふとした拍子で、うっかりため息を発動させてしまい、とても大事な話をすると宣言したにも関わらず、結局自らそれをすることなく、投げやがったってわけだ(意図せずかは知らんが、やっぱりこの変化システム、絶対適当だし欠陥だろ!)。もしかして、案外、内心動揺してて困惑していたのだろうか?とりあえずポーカーフェイスだけは巧いってか?


つーかそもそも、女神もこの非常事態には想定外だったのか?そもそも女神の力じゃ、どうにもならなかったのか?何から何まで、よくわからんぞ。


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