女の子って大変
ゆうきさん宅に住み始めてから数日後の今日。
ついに編入試験当日になった。
やれることはやった。まぁほとんど復習みたいなもんだったし大丈夫だとは思うけど、何度も何度も確認しながら頭に刷り込んでいった。いつやっても理解できた時の気持ちよさはたまらないもんだ。
今は忘れ物がないかの確認中。といっても肩下げカバンに財布と筆箱だけしか入れてない。財布の中身は男の時のままだったので、免許証と保険証は引き出しの中に置いておく。もしもの時にあったら話が面倒くさいからな。
あと服装だが…私服でいいんだよな?特に何も指定されてないし、まだ受かってないから制服もないし…大丈夫だろ。多分。
さすがにジャージとスリッパだと面接で落とされるだろうし、それなりの格好で行こう。
「じゃあ、ゆうきさん。試験行ってきますね」
「はいはーい。気をつけていってらっしゃ…ちょぉぉっと待った!!!」
いざ高校へ向かおうとした俺に、廊下から顔を覗かせたゆうきさんが全力ダッシュで迫ってきた。な、なんだなんだ!?
「ど、どうしたんですか?」
「『どうしたんですか?』じゃあないよ!その服装!」
「服装?」
特に奇抜な服でもないし、大丈夫だと思ったんだけど…
今着てるのは無地の白Tシャツにジーパン、運動靴だけど…
「おかしいかな?」
「おかしいってかダメだよ!無地のTシャツはブラが透けるんだから!しかもなんで今日に限って花柄の一番かわいいやつなの!」
「いや、女の人って勝負下着で挑むもんかと…」
「だったら尚更そのシャツはダメだから!シャツかブラ変えなさい!それか1枚上から羽織る!
それと何そのジーパン…ダボダボじゃない!そんなのいつ買ったの!」
た、確かに少し大きいけど…
「でも、成長期で大きくなるかもだからちょっと大きいの買わないと」
「大きすぎるのよ!靴隠れてるじゃない!擦れて破れるわよ!あと隠れてるけど何その靴!ボロボロじゃない!」
い、いや少し破けてるけども、
「でも、これも一昨日にちゃんと綺麗に磨いたし」
「破れてるところ見てみなさい!それ!靴下よ!破れすぎなの!」
ほんとだ、よく見たら破けたところから靴下の柄がコンニチハしてる。
「わかった。じゃあ言われたの変えてくる」
「そうしてちょうだい。全く何でそんなに自分に無頓着なのかし…すとぉぉぉぉぉぉっぷ!!!!」
大きな声に驚いて後ろを振り返ると、鬼の形相のゆうきさんが…
「こ、こんどはなに…」
「な!ん!で!その靴下をチョイスしたの!その柄!」
「お、俺の好きなアヒルのキャラクターだけど…」
「ほんとにもう!上履きに履き替えてあがる校舎だったらどうするの!その柄ずっとこっちみてるわよ!」
「いやでも可愛いし…」
「可愛いけど!学校ではダメでしょ!それも変えて来なさああああああい!!!」
いやーびっくりした。まさか服装だけであんなに大きな声出されるとは…とりあえずゆうきさんに押し込まれるように自室に戻ってきたんだけど。
いつの間にか手に握らされていたこの服たち…これを着ろと?
時間をかけずに着てみると、なるほど確かにさっきのがどれだけやばかったのかがわかる。
持ってきてくれたのは先ほどと似たようなもの。ただ違う点といえば、白の無地Tシャツと藍色の薄手のカーディガン。明るい空色のジーパン、これも細身で体にフィットしている。あと黒色にワンポイントマークのついた靴下。きっと玄関には何らかの靴も置いてくれてるだろう。
時計を見ると、もう少しで試験の時間。
…ん!?試験の時間!?
何度見てもそこにあるのは試験15分前の時刻。しまったゆっくりしすぎた!
慌てて下に降りていくと、玄関で仁王立しているゆうきさん。顔が鬼の形相のままですごく怖いですよ。
「着替えてきました」
「うん。まぁまぁかしら。じゃあこの靴履いちゃって」
やはり用意されていた茶色の…なんだっけこれ、ろーふぁー?
「あの、一応聞きますけど、運動靴とかって…」
「ごめんね、それしかないの。あとはヒールとかかかとの高いもので、オシャレなんだけど学校にはねぇ…」
いえ、それでいいんです。いきなりヒールなんて履いたら足首折る自信がありますから。
「大丈夫です。ありがとうございます。じゃ、急がないといけないので行ってきますね」
「いやいや、こんな時間だし今日は送るよ」
あぁ、それは助かる…え?
「免許持ってるんですか?」
「えぇ、持ってるけど…車もあるよ?」
そう言って案内された先は車庫…の中に並ぶ3台の車…
そういや慣れちゃってたけどお金持ちでしたね!!!
なんかたくさん服とか持ってるなぁとは思ったよ!
お久しぶりです。本当に、お久しぶりです…
ここまであまり書いてないのですが、少し前の話を弄るかもしれません。主に主語とか。
大きな方向の変化はないのでご安心ください(?)




