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広がる交流の輪






さぁて。ハンカチが手放せない別れが終わったところで。


これからどうしようか…


いや、別に薄情とかそんなことはないよ?

ただ、拓郎くんがずっといてくれたから考えなかったけど、ここに来て彼としか話してない。つまり暇を潰す方法から「誰かとおしゃべり」が消えてしまったことになる。


テレビは好きじゃないし、本はノブが新しいの持ってきてくれないし…というかノブのやつ、確かに「オススメの小説」っていうアバウトなお願いした俺が悪いのもあるけど、趣味偏りすぎなんだよ…


なにやら長い題名の文庫本な。内容も青春が〜とか、恋愛が〜とか、いわゆるTL(ティーンズラブ)というやつ。甘々な内容の、若者達が主役の物語の数々。


いや、嫌いじゃないよ?むしろ好きなほう。


だけど…いくら何でもこの量はおかしいでしょ…積み上げたら山だよ山。十数冊は軽く超えるね。なによりこれが新しく買ってきたのではなく、もともとノブが持っていたものだというのもまた驚きだ。


お前、その顔で青春してなかったのかよ…と心の中で静かに突っ込まずにはいられなかった。というか、この前直接言ったら「うるせぇ」とマジなトーンで言われた。彼なりに深い闇を抱えてるんだな、と思いそっとしておいた。

あと少しだけ、本当に少しだけ、かなりちょっとだけだけど、怖かったと付け足しておく。


そんなこんなで本を手に取りパラパラと読み進めているとお昼になっていた。読んでいる本の主人公が、片思いの女の子を放課後の教室に呼んだところで栞をはさみ閉じた。うむ。いわゆるヤキモチである。


『俺なんか、女の子を体育館裏に呼んだだけで男子生徒に囲まれたぞ!こんなの小説だけだ!』という気持ちが、『このあとの展開どうなるんだろう…』という気持ちを袋叩きにしたのだ。仕方ない。


そんな俺の様子を見計らっていたようにドアがノックされた。時間からしてお昼ご飯だな、と思い「どうぞ〜」とドアの方に声をかけた。


今日のご飯はなんだろうな、と考えているとドアがスライドしてノブが気だるげに「よぅ」と言いながら入ってきた。


…ん?ノブ?

昨日までは若い看護婦の女の子が運んできてくれてたので、何事かと凝視してしまった。


「ん?どうかしたか?」


「いや、今日は看護婦さんじゃないのかと思ってな」


「なんだよ、俺じゃ不服か?」


「どちらかと言えば女の子の方がいいな」


「連れねぇやつだな」


「こういう性分でね。それで?そっちこそどうかしたか?ノブ先生自らおいでますとは、珍しいじゃんか」


「お前の中の俺がどうなってるのか小1時間問いただしたいところだが、まぁいいか」


そう言いながら俺の座っているベッドに近づいてくるノブ。座ってるってのもあるけど、こいつも結構身長高いよな。見上げてると首が痛い。


「おっ、大人だねぇ」


「うるせぇやい。いやなに、どうせ暇でもしてるだろうし、話し相手でも紹介しようかなって」


「ん?お前と話すんの?なに、カウンセリングかなにかか?」


「んー、まぁ近いっちゃ近いな」


「んんん?」


ノブの変な言い回しに疑問符が頭の上に浮かぶ。「全くわからんぞ」と詳しい説明を求めると、ノブはニヤリと笑いながらこう答えた。


「お前の先輩に当たるかもな。倉田さんがお前と話したいってよ」





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