その②
◇ ◇ ◇
その日の夜。みんなが帰り、ルークを寝かし付けたあと。私とエドは久しぶりに二人の時間を過ごしました。今日は普段と違い、暖炉の火を眺めるようにソファーに並んで過ごすことにしたけど、2人だけで過ごすひと時は私たち夫婦の大切な時間。最近は私が早く寝ていたせいで作れてなかったけど、こうして二人の時間を過ごすのはやっぱり好きです。
「寝なくて良いのか?」
「なによ。そんなに嫌?」
「そういう意味じゃねぇよ。おまえ、ずっと眠そうだからさ」
「昼間はサボってるとか言ってたくせによく言うね」
「そこまで言ってないだろ。で、アリサさんとなに話してたんだ」
尋ねる割にそこまで興味がないのかクッキーを頬張るエドにムスッとなってしまう私。エドにも関係することだけどこのまま黙っておこうかな。
「なんだよ」
「別に。ねぇ、エド」
「ん?」
「エドはなにが良いと思う?」
「なにが」
「名前。ルークの弟……妹かな?」
「ルークの……ほんとか⁉」
なによ。さっきまで興味なさそうだったのに。急に眼の色を変えて私を見つめる旦那様に呆れたくなるけど、2人目が出来たと知れば驚くのも仕方ないよね。
「正直に言うとね、まだわからないよ。でも、温泉に行った後からなんとなく熱っぽいし、いくら寝ても寝足りないし。ルークの時と同じだから」
「そっか。アリサさんとはその話してたのか」
「うん。すごいよね。薬師《自分》でも気付かないことに気付くんだから」
「そうだな。なぁ、ソフィー」
「なによ……っ⁉」
急に抱きしめられた私は顔が火照っていたことでしょう。優しく抱きしめて髪を撫でてくれるエドの顔を直視出来ません。
「いきなりなによ」
「ありがとな」
「……バカ」
なんでこの人はこんなにも優しんだろ。ほんとに直視できないじゃない。
2人目を身ごもった実感は正直に言えばまだありません。もう少し時が過ぎればおなかも大きくなるだろうし、それまでは神様を信じるしかありません。
「ねぇ、エド?」
「ん?」
「楽しみだね」
エドの胸の中で独り言のように囁く私に彼は「そうだな」と頷き、私たちは新たな家族を待ちわびるように笑い合いました。




