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3歳 記憶統合と冒険者ギルド

3歳 記憶統合と冒険者ギルド


生まれ変わって、物心ついて、3歳の誕生日。

記憶が統合してびっくりした。だって、俺の両親、若いけど間違いなく。


「じいさん、ばあさん?」

「いや流石にこの歳でじいさんは無いと思うんじゃが」

「私も流石にばあさんはちょっと嫌かしらねぇ。その呼び名は、今度おじいちゃんとおばあちゃんに言ってあげて欲しいわねぇ」

「そうじゃのぅ、親父達もさぞ喜ぶ事じゃろうなぁ」


おいこら何をやってくれてるんだ天使君。

二人は天国で幸せに暮らしているんじゃなかったのか!?


「いやあ、まさかいきなり天国に転生神様から連絡が来るとは思わんかったなぁ」

「ほんとですねぇ、しかも「おたくの息子さんがあんまりにもあんまりなんでどうにかしてください」って言われるとは思いませんでしたねぇ」

「てんせいしんさま?」

「何じゃ、知らんかったのか。お前が話していた相手は転生を司る神、転生神様じゃ」

「特殊すぎる魂に対しては、転生神様が直接お会いになる事になっているのよ」


天使君って呼びかけなくて良かった。本当に良かった、ぐっじょぶ、俺。


「それにしても、勇希。随分苦労したんじゃのう」

「ほんとにねぇ、私達の事でも苦労かけたのに」

「なにいってるんだよ、ふたりとも。おやのめんどーをこどもがみるのはあたりまえだろ?」

「母さんや、わしらは本当にいい息子に恵まれたのぅ」

「ええお父さん、本当にいい息子に恵まれましたねぇ」


二人がかりで、ぎゅう、と、抱きしめてくれた。


「よかったの、ふたりとも。おれのためなんかに、またしゅぎょーするはめになって」

「なんか、じゃないぞ、勇希」

「私達は、また勇希に会いたかったから、お願いしてここに来たのよ」

「じいさん、ばあさん……」

「勇希、違うじゃろう?わしらは今、お前の何じゃ?」

「とぅさん」

「何じゃ?」

「かぁ、さんっ」

「はぁい、なぁに?」


二人にぎゅうっと抱きしめられて、目がとけるんじゃないかって位泣いた。嬉しくて、嬉しくて、何度も何度も転生神様に感謝した。泣き止んだ後、3人で誕生日のお祝いをした。

3歳の俺と34歳の俺が混ざった分、話し方がちょっとたどたどしくなって、ちょっと子供っぽくなったけど、そんなもんだと二人に言われてそうなのかと納得した。先人の言葉はきちんと受け止めないといけない。


「そういえば勇希、この世界にはお前が好きなゲームのような仕組みがあるぞ。ゲームもあるが」

「げーむのようなしくみ?」

「テレビの前でぴこぴこするものと確かに似ていますねぇ。ぴこぴこするものもありますけれど」

「勇希は1日1時間しかぴこぴこ出来なかったがな。お前がそれ以上許さんかったから」

「子供は外で遊ぶもので、家の中でひたすらぴこぴこやるものじゃありませんよ」

「お前は本当に厳しいなぁ」

「げーむかってもらえたのがおれとしてはちょおよそうがいで、さわれるだけでうれしかったからかあさんはきびしくないよ。むしろやさしいよ」

「……お父さん、1日2時間までは許す事にします」

「……うむ、そうしてやりなさい」


何故かゲームの時間が伸びた。誕生日プレゼントとしてゲームも貰った。聞いたところによると開発者の転生者が違う国にいるそうで、輸入しているらしい。仕組みは判らないがゲームが出来るのは純粋に嬉しい。

じいさんとばあさ、じゃなかった、父さんと母さんは色んな事を教えてくれた。

この国は文明としては江戸時代前期位だけど、転生者の尽力によって水洗トイレやお風呂が完備されている事。

ほぼ日本と同じような感覚で暮らしていける事。

善人だけじゃなく小悪党位はいるそうなので、気を付ける事。

前世のものと同じではないけれど、テレビなどの家電もある事。

6歳から12歳まで通う小学校はあるが、それ以上の学校は武官学校、文官学校、術師学校の3つに分かれている事。転生者用に飛び級制度がある事。

魔法みたいな「異能」がある事。ゲームのようにステータスがある事。

ゲームみたいにダンジョンというものがあって、そこには魔物がいて、倒すと消滅して魔石になる事。

電気の代わりに、魔物の心臓部となっている魔石というもので家電を動かしている事。

魔石を狩る為の冒険者という職業がある事。

父さんと母さんの両親4名は、隣の国で現役の冒険者として活躍している事。

冒険者……冒険者だって!?

危険な事はなるべくしたくないけど、その響きに憧れなきゃオタクじゃない!!


「身分証明の為に、皆、ある程度の年齢になると冒険者証を発行して貰う事が多いのぅ」

「ステータスも冒険者証に表示されますしねぇ」

「とうさん、かあさん、おれもぼうけんしゃしょーがほしい!」

「勇希の珍しい我が儘だし、叶えてやろうかのぉ、母さん」

「そうですねぇ、でも勇希、冒険に出るのはせめて10歳になってからにしてくれる?」

「うん!やくそくする!」

「その時はわしが一緒に行ってやるからな」

「もちろん私も一緒に行きますよ」


流石に幼子の身体で冒険に出るような無謀な事はしない。

約束した翌日、二人に連れられて冒険者ギルドに連れてきて貰った。

まだちょっと人は怖いけど、父さんと母さんが一緒なら、うん、大丈夫。


「うわぁ……」

「ふふ、お父さん、勇希ったらあんなに嬉しそう」

「昔からこういう冒険ものが大好きだったからのぅ、勇希は」


からんからん、と扉を開くと、屈強な男性達がいっきにこっちを見た。

ちょっとびくっとした俺を、母さんがぎゅってしてくれた。嬉しかった。


「おや、金城さん。ご夫妻そろってどうされました」

「ああ、ギルド長。うちの息子が転生の記憶に目覚めまして、是非冒険者証が欲しいと言いましてのぅ」

「金城さんの所は親子揃って転生組でしたな。ではこちらにどうぞ」


中でも一番ごっつい頭つるつるの男性が、俺達を新規登録窓口と書かれている個室に案内してくれる。

記憶が統合するまでは全然読めなかった文字がすらすら読める。そういえば転生神様がサービスするって言ってたっけ……本当にありがとうございます。

母さんが何か書類を代筆してくれて、父さんが抱っこしてくれて、カウンターの上に乗っている俺の頭位ある水晶球に手をあてると、水色と茶色と黒色がくるくると水晶球の中で回った。


「息子さんは水と地と闇の異能持ちですな。やはり転生者は違いますな、異能三種しかも治癒特化の闇持ちとは。世界中の冒険者の憧れともいえる冒険者一族の中でも、特に有名な爆炎王と氷結姫のお子さんだから凄いとは思っておりましたが。いやはや、将来が楽しみですな」


今不穏な二つ名っぽいモノが聞こえたんだけど、うちの両親ナニやらかしたんだろう。


「若気の至りと言う奴じゃな。もう引退して農家になって3年も経つんじゃ、時効じゃろ時効」

「ちょっとお父さんに影響を受けて、やんちゃをしてしまっただけですよ」

「いやふたりともいまにじゅーだいでしょ、じゅうぶんまだわかいからわかげのいたりじゃないから」

「父さんも母さんも無用な殺生はしておらんぞ?」

「そこはしんじてるよ、もちろん」

「勇希は本当にいい子ねぇ」


ギルド長が、冒険者登録おめでとう、これから頑張ってください、と声をかけてくれた。ぺこぺこと頭を下げてお礼を言っている間に、俺の冒険者証が出来上がった。

免許証位の大きさの金属製のカードに何かちっちゃい珠がはめこまれていて、俺の名前と年齢と精神年齢が彫り込まれている。

精神年齢が彫り込まれているのは転生者の証らしい。転生者は基本的に精神年齢で扱って貰えるんだそうだ。


「珠に手をふれて「ステータス」と言うと、自分の目の前にステータスが出てきます」

「勇希、冒険者は一応ギルド長にステータスを開示する必要があるんじゃが、いいかの?」

「とーさんがしんらいしてるひとでしょ?いいよ」


11年親子やってたんだ、父さんが相手をどう思っているか位判る。


「本当に、よく出来た息子さんですね」

「前の生では、年老いて死ぬまで夫婦そろってこやつの世話になりましてねぇ」

「私もうちの人も、二人揃ってこの子には頭があがらないんですよ」

「とうさんもかあさんも、こどもがおやのめんどうみるのはあたりまえだっていってるでしょ。こんどだってさいごまでちゃんといっしょにいるよ」

「……うちの馬鹿息子と取り替えてくれませんか」

「あげませんよ」

「やらんぞぃ」


何か色々あるんだろうか。口出し出来る事じゃないけど、ギルド長の見た目的にお子さん二十代位だろ?これからじゃないか。


「おこさん、まだおわかいですし、これからわかっていきますよ」

「そう言って貰えるとありがたい。ああ、あと、俺は君と同い年だから、敬語は必要ないよ」

「あ、ありがとう、……これからも、よろしく?」

「うむ、よろしく頼むよ」


ギルド長、この見た目で37か。心の中でごめんなさいと謝っておこう。

内心の動揺を隠しつつ、珠に手をふれてステータスオープンと唱えると、目の高さで顔から30cm位離れた所にA4サイズ位の画面が飛び出してきた。


氏名 金城勇希 3歳(精神年齢37歳)


レベル 37

現在体力 4,377

最大体力 4,380

現在精神力 6,269

最大精神力 6,280


異能 水・地・闇(最大体力及び精神力×6)

技能 言語神級(最大精神力+320)

   農業特級(最大体力+160)

   文学上級(最大精神力+80)

   算術上級(最大精神力+80)

   投擲上級(最大体力+80)

琉球古武術上級(棒術・箒術・ジーファー術)(最大体力+80)

   家事中級(最大精神力+40)

   薬術中級(最大精神力+40)

   解体中級(最大体力+40)

   医術初級(最大精神力+20)

   礼儀初級(最大精神力+20)

   常識入門級(最大精神力+10)


「……いやぁ、凄まじいですな、流石お二人のご子息」


ギルド長がため息ついたけど、何処がどう凄いか、そもそもこの結果が標準なのか標準以下なのか判らない。

父さん母さんを見上げると、ステータスの計算式一覧表を見せてくれた。


レベル 年齢とほぼ同じ、強い魔物を倒すと魔力を浴びレベルがあがる

現在体力 現在の体力、0になると死亡

最大体力 体力の最大値、レベル×10

現在精神力 現在の精神力、0になると気絶

最大精神力 精神力の最大値、レベル×10

体力系技能があると技能級に応じて最大体力値があがる

精神力系技能があると技能級に応じて最大精神力があがる

技能級は入門級、初級、中級、上級、特級、神級のランクがあり、

入門級(最大値+10)、初級(最大値+20)、中級(最大値+40)

上級(最大値+80)、特級(最大値+160)、神級(最大値+320)

となる。なお、級は上になればなるほど上がりにくくなり、生涯をかけても神級にあがれる者はごく僅か

技能 様々な技能があり、千差万別。全ての行動に技能があると言われている。

   現在判明している技能の数は約2500種類

   入門級は数ヶ月でとれる者がほとんどだが、上級以上にあげるには才能が必須


異能について

地・水・火・風・光・闇

誰でもひとつかふたつは持っている

持っている種類に応じそれらを操る事が出来る

地=土や石、鉱物など、大地に関するものを操る事が出来る

水=水を操る事が出来る

火=火を操る事が出来る

風=風を操る事が出来、風力を操り飛ぶ事も出来る

光・闇=主に治癒系の能力を扱う事が出来る

どちらも出来るが光は外科特化、闇は内科特化

なお、異能一種につき、技能最大体力値及び最大精神力値×2(技能級のプラス後に乗算)


「ちなみに、勇希と同い年の子なら、まずレベルは3、技能は無し、異能が1つか多くて2つだから、多くても最大体力最大精神力ともに60ね」

「……どれだけおれがおかしいか、よくわかりました」


ナニコレチートじゃない?


「いや、ですが転生者としては低い方ではないですかの?」

「まぁ、確かに低い方ですが……それは転生時の年齢が若いからでは?」


確かに元々のレベルが高ければ、ってちょっと待ってくれ、もしかして。


「ちなみに父さんと母さんは」

「最大体力最大精神力ともに3万はこえておるのぅ」

「私もともに2万5千は超えているわねぇ」


うん良かった俺普通だった。3万とかどうやったらたどり着けるんだよ。


「目安としては、トラックにひかれると体力が1,000削られると思ってよいぞ。あと武術系の技能があれば無意識のうちに力加減が出来るから、相手を握りつぶす心配はないぞぃ」


つまりトラックに4回轢かれても生き残れる3歳児なんですね俺。ナニソレコワイ。


「ま、まぁ、転生者としてはかなり低い方だから、そんなに気にせずに。値としては俺より少し低い程度ですし」


励ましてくれてありがとう、ギルド長。でも3歳児が37歳の現役ばりばりギルド長よりちょっと低い位って怖すぎる以外の何者でもないです。

3歳の誕生日は、自分が如何におかしいかを知って過ぎて行った。

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