記念日のリクエスト
初感想をいただいたので、お祝いにひとつ、超短いですが小話を書いてみました。
短すぎてごめんなさい。
初めての結婚記念日。何か欲しいのない?って聞いた。
私が選んだものじゃなくて、勇希にーにーが欲しいものをあげたかったから。
「……その、我が儘、いって、いいなら……ひとつ、だけ」
勇希にーにーが欲しいって言ったものは。
「愛良ちゃんとの、1日が……欲しい」
私の時間だった。
予約したコテージに、前日の夜から泊まり込んだ。夫婦なんだから恥ずかしがる必要なんて無いんだけど、なんか恥ずかしい。
「……二人きりだ……」
コテージの中に入った途端。
勇希にーにーが、おずおずと私を抱きしめる。
嬉しい、って。
幸せ、って。
声が、言ってる。
「こんなに幸せで、いいのかなぁ」
「勇希にーにー?」
「幸せすぎて、狂いそう」
幸せだって言ってるのに、勇希にーにーの目から零れる涙。
きっとこの人は、……過ぎる程に優しくて、泣けてくる位傷付いてきたこの人は。
こんな、夫婦なら、ううん、恋人でも当たり前の事で、こんなに幸せで一杯になってしまう。
「だいじょーぶだよ」
「愛良、ちゃん?」
「狂っても愛してるから」
なら。
いっそ狂う程、幸せでいっぱいいっぱいにして、いっそ幸せで溺れさせてしまおう。
そんなつもりで返事したら。
「……うちの奥さんが男前すぎて辛い可愛い」
何か不思議な事を言われて、更に泣かれた。
とりあえずよしよしして、記念日じゃなくても二人っきりの日を増やそうと心に誓った。




