表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/105

再戦


 さて、カーリーお姉様はつき合いが良い方なので(なんせBF各シリーズで始めに仲間になってくださる召喚獣とか精霊女王だったりする)、再戦を望めばいくらでも相手になってくださることだろう。

「ではまず打ち合わせでござる。初手でおのおの方は何をなさる?」

 一つ一つ確認を始めた。

 ダンジョン最深部の玉座の間で、円陣に座って、だ。


「俺はアクセル。ルーナ、ソルの順番に、だ」

「うむ。ディーノ殿は?」

「俺は魔法剣の氷を。Mpが尽きれば”戦い”続ける」

 うんうん。二人とも良く分かっている。

「私はベールだよねっ!全員にベールをかける。

 でも、回復しなきゃ行けない時はケアーにする……?」

「回復はソル殿のポーションに任せ、まずはベールを優先するでござる。

 最初にかけるのは?」

「えぇと、私?」

 うんうん。まずは回復役のルーナたんの守りを厚くしないといけないからね。


「正解でござる。

 ベールをかけ終えたら、回復か小石かはルーナたんの判断に任せるでござる。

 ただ、回復する時はソル殿と声を掛け合って、どちらが回復するかを確認した方が無難でござるな」

 ポーションを使った上にケアーをかけるなんてもったいなさ過ぎる。

 何ってポーション代が。

 じっとソル君を見つめると、ソル君も口を開いた。


「私はルーナがベールをかけ終えるまでポーション係だ。

 回復の用がなくなれば小石を使う。……聞いてもいいかな?」

「なんでござる?」

「この小石はどういう役目を?魔力を込めて投げろと言っていたけれど?」

 ……わざとだ!

 言ってなかったのはわざとなのだ。

 だって使ってみて氷魔法・ブリザードが放たれたらびっくりして面白いじゃん。


 ……分かってる。

 黙ってたから怪しんで使ってくれなかったんだよね。

 怪しい、通りすがりのラビウサの言葉になんて頼らないよね。

「……投げたら氷魔法が飛び出る、不思議な魔石でござるからな、それ。

 ちなみに火の精霊女王様には火の魔法は吸収され、氷の魔法が弱点であることはソル殿もご存じかと思っていたのでござるが……?」

「”力を示して祈る”ってことだったから、火の魔法を示せばいいと思ってたんだよ!」


 う~ん、ここでも思い込みの弊害が。

 確かに20年前の英雄ってことでディーノさんやお仲間はやたら崇拝されてる描写もあったけど、ソル君もそれかな?

 ディーノさんの指示は正しいと思っちゃってたのかな?

 でも事情が違うんだよねぇ。

「精霊女王様のお言葉を聞いたでござろう?

 ”我を倒せる者にのみ力を貸そう”と?」


 正確には、”忌まわしき存在(モノ)を伴う勇者よ、我に力を貸せと申すか?ならば力を示せ。我を倒せる者にのみ力を貸そう”だ。

 忌まわしき存在とはルーナたんのことだが、幸いなことに誰もルーナたんとは気づいていないようだ。

 カーリーお姉様の目線はばっちりルーナたんだったけどね!


「今思えば、そういうことなんだろうね」

 ソル君の喋り方がずいぶん柔らかくなった。

 こういうのを見ると、どんだけ信用されてなかったんだ、私、とか思ってしまうが……まぁいい。

 結果良ければよれで良し。




 再びカーリーお姉様の像の前で祈りを捧げるソル君。

 カーリーお姉様はBF各シリーズに出てくる幻獣で、お色気担当だ。

 いや、美人担当というか、おっp……いやなんでもない。

 とにかく原典にあるインドの女神カーリーの恐ろしい外見は全くなく、強いて言えば肌が赤銅色なだけの美人なお姉様だ。

 このBF6では髪を緩く一つにまとめ、深紅の胸元をがばっと大きく開いたドレスに身を包んで、深いスリットからすんばらしい脚線美を披露してくださる素敵女神様だ。


『なおも我を起こすか、卑小なる人の子よ』

 そう言いつつ親切にも起きてくださるお姉様が素敵だ。

 実際に聞こえる音は、玉座の間で燃えさかる炎の音、ジャリッと足を踏みしめる勇者達の音、詠唱を開始するルーナたんの清らかな声などだ。

 ジャンの短くアクセルを唱える声も追加される。


 だが私には聞こえる!!

 中ボスの戦闘音楽が!!


 


 チャチャーチャッチャッチャチャーチャチャッ

 チャチャーチャッチャッチャチャーチャチャッチャチャッ

 チャーズコドコズコドコドドンッ




 序盤の準備を完璧に決めた勇者達が、魔法剣を振るい、ショートダガーを振るい、小石に魔力を込めて投げる。

 フワッとほどけるように小石はブリザードの淡い光に包まれながらカーリーお姉様を攻撃する。

 たじろぐお姉様。

 その顰めた眉も色っぽいです!

 私は戦闘に夢中になっている勇者達をいいことに、こっそりプリンに変身した。

 アビリティの鑑定は、プリンの体でないと使えないからね。

 まずは勇者達。


 ふむふむ、平均レベルは10だ。

 ルーナたんがちょっと低く、生意気にもジャンが一番上で12。

 このダンジョンの適正レベルは12なんだが、まぁ戦い方が的確なら勝てるんじゃないかな。

 ルーナたんのHpに気をつけさえすれば。


 そしてカーリーお姉様。

 ふ~む、今でHpが半分かぁ。

 まぁでも小石の量に余裕はある。

 ただ問題は被ダメージが大きいということだろうか。

 レベルが高ければ単純にHpやMpが増えるので、打たれ強くなるのだ。

 だから低レベルだといくら他のステータスが高くても沈みやすい。


 おっ、ディーノさんの魔法剣でクリティカルが出た!

 まぁでもまだ3分の1。

 BF6では補助魔法のかけ直しは気にしなくていいからベールはもういいが、とにかく回復を切らさないことだ。

 あっ、ルーナたん!

 ディーノさんじゃなくて自分にケアーかけなきゃ!

 お、ソル君がポーションかけた。

 うむ、さすが恋は盲目。




 ふむふむ、なかなかソル君が投げる小石ブリザードの威力が高い。

 ソル君も魔力のステータスを上げる生活をしていたんだろうな……。

 ファイアは普通の日常生活でも使えるから、マッチ代わりに使っていたんだろうか?

 孤児院でマッチ代わり……何ソレむっちゃ可哀想な子じゃん、ソル君!

 そりゃちょっとグレかけるよ。

 お父さん(仮)が迎えに来るよ。


 暗~い廊下に放り出されて、『ほらお前の仕事だろ?人間マッチ』とか馬鹿にされてしくしく泣きながら全部の廊下に明かりを灯すソル君。

 きっとジャンもつき合ってるんだろうな。

 それでようやくつけ終わったら『お前の夕食?はぁ?お前来るの遅いんだよ!』とか言われてご飯が食べられない時があったりなかったり……いくら聖女の息子とはいっても、神殿的には巫女のくせに身ごもった娘の息子、という扱いだったソル君だ。

 きっと色んないじめを受けてたんだろうなぁ……今度からもう少し優しく接しよう。




『そなたらの力、見事であった。……アンヌの仇を。必ず。良いな?』

 ゴゴゴゴッとカーリーお姉様の姿が薄れて消えていく。

 いつの間にか勝っていた。

 頑張ったね、勇者達!

 私は慌ててラビーに戻った。

「見事でござるっ!」

 私は駆け寄った。

「ラビーちゃんやったよっ」

 ルーナたんに抱き留められた。

 うんうん、良く頑張ったね!

 ルーナたんは月のお姫様で、こんな荒事なんかに縁はなかったのに、良く頑張ったよ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ