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空回り


 さて、改めて魔物のドロップ品を確認する。

 青白い”冷たい小石”が20個。

 まぁこれだけあれば不足はないだろう。


「うむ。地下に降りても良かろうでござる」

 私が重々しく頷くと、ソル君が

「君に決定権があったとは驚きだね」

と突っ込んできた。

 でもソル君?ディーノさんとジャンは行く気満々で階段に体を向けてるよ?

 ルーナたん、にこにこ眺めてないでこの分からず屋を調教して欲しいところだ。

 是非とも。


「文句があるなら対案を示すべきでござる。

 ソル殿はこのままこの地上階に居座りたいんでござるか?先を急いでいたのは誰でござろう?」

「先を急ぎたい所を、どこかのウサギに邪魔されたけどね?」

「安全と速度の両方を取った場合の最速が今でござる。

 いくらジャンが強くとも、ディーノ殿がアイスソ-ドを手に入れようとも、それだけでは”火の精霊女王”様に認めていただけるとも思えないでござる」

 私はじっとソル君を見上げた。

 ソル君達の旅の応援をしていることが伝わればいいな、と思いながら。


「……どうして火の精霊を統べているのが女王だと知っているのかな?」

 い、意外な所を突かれた。

 いや、ちょっとは喋りすぎたかな、とは思ったんだけど、ソル君は私に対する反抗心で熱くなってそうだから気がつかないかと思ってたんだ。

 意外。

 ソル君怖い子。


「ラ、ラビウサ族に伝わる伝統的な知識でござるっ」

「へぇ?両親か誰かから習ったわけ?」

 くっ、天涯孤独設定をこれでブレさせるわけにはいかないっ!

「だ、誰かに習ったわけじゃなくて……そうっ、壁画で見たのでござるっ。ものすっごく辺鄙な場所にある壁画でござるっ」

 ダラダラ流した汗がラビーのフワフワした毛をしっとり湿らせる。

 か、勝手に耳がピクピク動いてるっ。

 フワッと丸い尻尾もフルフル動いている気配がする。

 意識してないのになんで!?


「まぁまぁ、ソル、役に立ってるんだからいいじゃねぇか。

 あんまり小動物をいじめるなよ?ルーナがびっくりしてるぞ?」

「小動物とは何事でござる?!ラビ―はれっきとした一人前のレディでござるよっ」

 ムカついて抗議するが、ルーナたんの名前を出されて大人しくなったソル君の背中を叩いてジャンはにやっと笑った。

 絶対に礼は言ってやらない。




 地下に降りた途端に空気はむわっと熱くなった。

 冬から夏への急変化だ。

 体調を崩しそう。

 地下1階に最深部の地下2階。

 初めてのダンジョンなだけあって、構造は簡単だ。


 地下に出てくるモンスターは火属性のモンスターばっかりなので、ディーノさんのアイスソードが大活躍だ。

 ほぼ一度の攻撃で敵を倒している。

 また、ジャンは素早い動きで敵を攪乱しながら踊るように切り伏せていくので、なかなかの見物ではあった。


「どうよ、センセイ?ジャン殿って言う気になった?」

「それがなければ褒めてやったのに。がっかりでござる」

「俺の方ががっかりだよ……」

 しょんぼりするジャンを見るのがだんだん楽しくなってきた。

 からかい甲斐のある男だ。


 地下2階の宝箱は、もう一つの羽根つき帽子に、魔法使いのローブ。

 帽子はジャンにかぶせてアクセルを覚えさせ、いずれは全体素早さアップのアクセラーを覚えてもらう予定である。

 ローブは当然、ソル君。

 ソル君はルーナたんに着せようとしていたが、ソル君が着ないと、敵の素早さダウンのスロウリーは覚えられないのだ。

 成功率はやや低いが、効くと戦闘がかなり楽になる。

 ルーナたんが着れば毒を癒やす魔法を覚えられるが、それはまだいいのだ。

 優先順位はソル君。


 他の宝箱にはポーションやエーテルなど入っていた。

 まぁ、今のところジャンとディーノさんが無双しているから出番はなさそうだ。

 ルーナたんとソル君に多めに持たせておく。

 ソル君はいちいちぶつくさ言わないと私の言うことを聞けないらしい。

 理由に納得できればつべこべ言わないディーノさんを見習ってほしいものである。


「いつからウサギがパーティに加入したんだか覚えがありませんね」

 しかもルーナたんが聞いていない時を見計らって嫌みを言う。

 いや、しかしソル君は20歳。

 前世の私ですら大学を卒業して就職していたのだから彼の方が年下だ。

 年下の男が片想いの彼女にいい所を見せようとしていきがっている……そう思うとソル君の生意気さも可愛く見えてきた。


「……ちょっと、その鬱陶しい視線をやめてくれませんかね?」

「うむ?ついつい生温かい目で見てしまったでござる。

 良い良い、青春を謳歌してくれたまえ、でござる」

 寛容にも許してやったのに睨まれるとはなんたる理不尽!




 そうしてたどり着いた最深部!!

 もちろんここに至るまで私は全く戦闘に参加していない。

 だって激弱だもん。


「いいでござるか?氷の属性攻撃ができるのはディーノ殿だけ。

 ジャンはルーナたんとソル殿にアクセルをかけたら後はひたすら攻撃して、ディーノ殿はMpの限り魔法剣を使い、その後はひたすら攻撃。

 ルーナたんはベールを各々にかけた後は回復か小石を使う。

 ソル殿はスロウリーが成功した後は小石、状況を見てポーションでござる。

 これで勝てるはずでござる!」

 最深部に至る階段で熱弁したのだが、わりと話半分に聞かれている気がする。

 分かっていたけど特にソル君。

 う~む、カーリーお姉様はなかなか強いんだけど、舐めてないか?

 大丈夫だろうか……。



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