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推察


 心ゆくまでルーナたんの抱っこを堪能しつつ、私はジャンの意外な有能さについて考察を巡らせていた。



 

 そもそも、このBF6のシステムである。

 この世界では、武器防具から自分のジョブに合ったアビリティを覚えられる。

 もちろん、何度か戦闘で使わないと、その武器防具を外した瞬間にそのアビリティを使えなくなってしまうので、アビリティを覚えるまで武器防具を変えないのは鉄則だ。


 また、覚えたアビリティに関しても、使えば使うほど習熟度が上がり、さらに上位のアビリティを覚えられるようになる。

 例えば氷魔法のブリザードを使い続けることでブリザーダーになり、最終的にブリザーデストまで覚えられるのだ。

 盗むで言えばぶんどるを覚えられる。

 ほかに、良い物を盗むを覚えると、良い物だけを盗む、まで覚えられるようになるのだ……!


 そして、ここからがやりこみゲーマーのこだわりなのだが、アビリティを使いまくることで攻撃力や防御力、魔力などのステータスを上げることができるのだ。

 もちろん、一回使う毎に1増えるなんてことはなく、100回使って1か2増える、という程度だが。

 ということはつまり!

 華奢なルーナたんがカンッとロッドで殴って9999というダメージを与えることも、理論的には可能であるわけだ。

 最も、この私ですらダメージ5000ぐらいで心が折れてしまったほどの苦行だが。




 つまり何が言いたいかというと、ジャンはアビリティ盗むを使いまくったんじゃないかという疑いを私は抱いているということだ。

 この世界にはキャラの後ろにプレイヤーはいない。

 ジャンやソル君を後ろで操る存在はいないし、彼らはそれぞれの個性を持っている。

 だから彼らのこれまでの行為が彼らの強さをそのまま表していることになる。


 勇者達はレベルが低かった。

 それを思うと、彼らは実際のモンスターとの戦闘はあまりこなしていないはずだ。

 ということは、戦闘時にしか使えないアビリティを持つディーノさんにはそれを使う機会はあまりなかったと思っていい。

 しかしジャンは戦闘時でなくても使えるアビリティを初期から持っている。

 盗むにとんずらがそれだ。

 戦っていなくても、その集団から逃げるのにとんずらは使えるから。

 ジャンでありそうなのが、何股かかけていた女性達に囲まれた時にとんずらを使える。

 サイテーだ。


 ……確かジャンは、ソル君と同じ孤児院出身だが、元々は両親が盗賊で、盗賊団の仲間割れから孤児になったといういきさつがある。

 そんな幼少時から盗みまくってはいないだろうから、やはりジャンはそこそこ大きくなってから色々やんちゃしていたんじゃないかなぁ?

 私はルーナたんの柔らかい弾力に満ちた胸元からそっと顔を上げてジャンを睨みつけ――ようとしてソル君と目が合った。




 ゴウゥゥゥゥッッ!




 ブリザーデスト!

 視線で体が凍るかと思ったよ?!

 ちょ、もうそんなにがっつり嫉妬しちゃうんだ?!

 ぱっと見は難攻不落に見えて案外チョロく落ちるヒロインをチョロインと呼ぶらしいけど、ソル君もこれだね。

 チョロいヒーローだからチョーローだね。


「――さ、行くぞ」

 吹き荒れるブリザードに気づかないのか、気づいていても気にしないのか、ディーノさんが歩き始めた。

 ディーノさん、男前すぎるよ。

 あとソル君。

 すっごく小さい音だったけど、舌打ちの音、聞こえたからね?




 ともかく1階をくまなく探して見つけた装備が、アイスソードの他にロッド、そして羽根つき帽子。

 ロッドはカティアで買っちゃってた勇者ご一行様。

 でも羽根つき帽子は持ってなかったからいいよね。


 ディーノさん以外に装備だけど、私ならルーナたんを推したい。

 敏捷性が上がるし、魔法防御を上げる白魔法・ベールを覚えられるから。

 この先のボス戦でも大活躍してくれること間違いない。

 まぁ、ジャンは素早さを上げるアクセルという魔法を覚えられるけど。

 でもどうせ対象は単体だから優先順位は低いと思うのだ。


「この帽子は誰が装備する?ソル、かぶっとくか?」

 ジャンの言葉に私はピョンピョン跳びながら主張した。

「ルーナたん!ルーナたんにお薦めでござるよっ」

 私の言葉に、ジャンはディーノさんをチラッと見た後、ルーナたんに手渡した。


「え?でも私でいいの?ソルさんやジャンさんの方がいいんじゃない?」

「ルーナたん」

 私はじっとルーナたんを見上げた。

「え?」

「あの男にさん付けなんてしなくていいでござる。呼び捨てで充分でござる」

「俺の扱いがそんだけ低いのはなんでかなぁ?!」

「なんだったらソル殿も呼び捨てにしてやればいいでござる。絶対喜ぶでござる」

「え?え?」

 戸惑うルーナたんはそりゃもう最終兵器級に可愛かった。


「……ラビウサの丸焼きって美味しいのかな……」

 ……ソル君や、人の耳元にわざわざしゃがみ込んでまで囁きかけるのはやめませんかね?

 あれだけ見え見えな態度を取っておいてバレたくないってそりゃ無理があるよ?

「隠したいならもっと真剣に隠し通すでござる。修行が甘いでござるよ」

 とりあえず言い返した私は悪くない。

 むんずっと、八つ当たりのように両耳を掴んでつり下げられたけど、私は悪くない!



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