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プロローグ
そこは白かった。
床も、壁も、天井も。
とにかく、全部が白。
(……あれ?)
目を開けているはずなのに、距離感がつかめない。
立っているのか、座っているのか、寝ているのかすら分からない。
記憶を辿ろうとして、途中で引っかかる。
横断歩道。
ブレーキ音。
強い衝撃。
事故。
(……これ、死んだ状況だよな?)
「そうだね、死んだね」
即座に、声が返ってきた。
驚いて顔を上げると、そこに“誰か”が立っていた。
人の形はしている。
けれど、年齢も性別も、顔の輪郭すらはっきりしない。
ただ「そこにいる」としか言いようがない存在。
「そうだね、正確には死亡だね。キシモトタイチ」
「ここは死後の振り分け前。待合室みたいな感じかな」
(え、今、声に出してたっけ?)
「考えてたでしょ」
……心、読まれてる。
「すごいでしょ」
得意げに言って、そのまま相手は話を続けた。
「本来はアカシさんの担当なんだけど、今ちょっと不在。」
(アカシ?不在?)
「封印とかで」
軽い。
扱いが、あまりにも軽い。
「だから今日は代理。臨時。仮」
(大丈夫なのか)
「多分」
不安しかない。
「で」
代理と名乗った存在が、手を叩く。
「キシモトタイチ。転生、する?」




