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第七十一話 拒絶



「陽翔!

いつまでそうやって部屋に閉じこもってるの!」




母が甲高い声をあげ、無理矢理陽翔の部屋に入った。




「ミルクのお散歩行きなさい!

陽翔がお世話する約束でしょ!」




「…わかった、わかったから」





ミルクにリードをつけ、すっかり暗くなった夜空を見上げると、ところどころに星が輝いているのが見えた。





ミルクが遊んで!というように元気に走る。




「ミルク、今はそんな気分じゃない」




陽翔は河原に座り込むと、ミルクは心配そうに、そっと陽翔の足に手を置いた。

陽翔はミルクを抱きしめ、そのまま寝転がる。




ミルクを強く抱きしめると、苦しかったのか身を捩った。




「ごめん」




ミルクは悲しそうに陽翔の顔を舐めた。



あの後、涼太からゆうりの父のことを聞いた。

なぜ、なぜ気づけなかったのだろうか。



陽翔は両手で顔を覆った。




「もっと、出来ることあったのに」



———




「食べすぎだろ…

いや、たくさん食べろって言ったけど」




トホホ…と、あおいは財布を閉じた。




「あおい、もう少し一緒にいてくれないか?」




「いいけど?」




焼肉屋から少し離れた公園で、コンビニで買った飲み物を片手にベンチに2人は腰掛けた。




「陽翔なら牛乳を選んでるな」




「あいつ好きすぎだろ、牛乳」




涼太は水をグビっと飲んだ。





涼太とあおいにけただましいサイレンの音が耳に入った。




「火事か?

近いのかな」




「見に行こう、あおい」





「さっきの焼肉屋…?」




消防車があまりに近く、しかも先程まで食事をしていた場所で停車していたため、涼太とあおいは息を飲んだ。

まだ、逃げれてない人がいるようだ。




先程の焼肉屋が炎上しているのを見て、あおいは思わず口を抑えた。




「助けなきゃ…!」





「待て、あの中行くのは…!」




あおいの声を振り切り、まだ残っていた水を自身に被せ、燃え盛る建物へと入った。




建物に入り、変身する。

自身の父も、消防士だった。

父もきっと同じことをしたはずだ。

横たわる女性を見つけ、涼太は迷わず女性を抱き上げた。




「ひどい火傷だ…」




涼太は女性を見て、はやく病院に連れて行かなければ…と、熱で焼けつき、崩れる建物の中を女性を気遣いながら走った。




「友人が、助けに入って行ったんです、はやく消火を!」




あおいはすっかり正気を失い、消防士に必死に消火活動をするよう訴えた。




「あおい!」




「涼太!

馬鹿野郎!」




建物から出てきた涼太はすぐに救急車を!

と叫んだ。



あおいは女性を見て、言葉を失い、口を抑えた。




消火活動により鎮火したが、焼け焦げた臭いだけが周囲に残っていた。

パチパチ…と燃え残る音が聞こえる。

それを、救急車のサイレンが掻き消した。




————





「涼太…お前なんで呼ばなかったんだよ」




「だって…陽翔、落ち込んでたろ?

1人になりたいときもあるかなって」




「遠慮するなよ」





陽翔は軽く涼太を小突くが、涼太は陽翔がから元気なのに気づいていた。




「女の人、今日目覚ましたんだってさ、陽翔今日一緒にお見舞い来てくれよ」




「いいよ」




病院の廊下を看護師に案内されながら歩いていると、発狂する声が聞こえてた。

看護師と2人はギョッとし、恐る恐るドアを開けた。




「ふざけんな!!!」





「落ち着いてください!」




「お前!

お前だな、私のこと助けたの!」




女性は近くにあった花瓶を涼太に目掛け投げつけた。

幸い力がなかったのか、涼太に届く前に床に落ち、砕け散った。




「こんな姿じゃ、生きていけない…!

もう仕事もできない!



こんな姿になるなら死にたかった!」




女性は怒号を上げた後、シクシクと泣き始めてしまった。



「どうして…


殺して…

死なせてよ…」





先程とはまるで違う女性の姿に、陽翔は驚愕した。

看護師は涼太と陽翔を廊下に出し、静かに語り始めた。




「彼女は、有名なモデルさんだったみたい。

仕事をもらい始めて、頑張ってたみたいよ」




「そんな…」




陽翔は涼太をチラりと見ると、険しい表情を浮かべていた。





なんとなく、陽翔の中で先程の女性とゆうりが重なって気がした。




「陽翔、俺の話、ちょっと聞いてくれるか?」








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