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第七十話 喪失



「ゆうりはまだ17だったろう」




寝台に置かれていたゆうりを仮面の男は見下ろした。





「そうですねぇ、若くてなによりです」




梅は嬉々として答え、仮面の男は眉を顰めた。




なぜこれほど若くして、ゆうりがこの組織に入ってしまったのか。

これほど若く未来があるのに、それを奪う百合や梅に、仮面の男は疑問を抱いた。




「遺族に返してやらないのか」




「ゆうりくんに帰る家なんてあると思いますか。

ゆうりくんのお父さんはよかったですね!

これで心置きなく、キャバクラの女性と遊べることでしょう」




純粋な笑みを浮かべる梅に嫌悪感が増した。

これ以上ここにいては、自分も梅と同じ思考になってしまうのではないか。




「失礼する」




「えぇ、もう少しいてくださいよ。

あなたは、私のお気に入りなんですから」




「…失礼する」




「えぇ、残念です」




梅を見ることなく、仮面の男は扉を閉めた。





———




「お兄ちゃん?」




はなが優しくドアをノックする。

陽翔はそれに応えることなく、無言を貫いた。




今はゆうり以外の誰とも話したくない。





ゆうりの話をきちんと聞いていればよかった。



いつも、いつも自分がどうしたいかばかりだった。



せっかく、話してくれそうだったのに、手が届きそうだったのに…




「…許さない」




ゆうりを刺したあの子供。

出会った時は、純粋な子供だったのに。


まさか、あいつが「百合」だったなんて…。




「絶対に…




絶対に許さない、仇をうってやる」




陽翔はデバイスを握りしめた。





———




「…」




涼太はジューっと焼ける肉を見つめた。




「涼太、いっぱい食えよ」




「食べたくない…」




「お前、野球部だろ?

ならたくさん食えよ」




あおいが涼太の器に肉を乗せていく。




「ここ前に陽翔と来たんだよ。

うまいから」




「陽翔は…」




「連絡つかない」




ジューっと、肉の焼ける音と、少し焦げた匂いを感じた。




「お前が先に元気になれなかったら、陽翔も元気出ないんじゃね?」




あおいは自分の肉にレモン汁をかけ、一枚頬張った。




「…そうだな」



そう言い、涼太も一枚肉を口に運んだ。




「おいしい…」




「だろ〜?

たくさん頼めよ」




「塩が効きすぎだよ…」



「…それがいいんだよ、ここは」




「そういうもんか」




涼太とあおいは無言で肉を食べた。

涼太は肩を振るわせながら、次は、しょっぱくないといいな、と涼太はつぶやいた。

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