↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/9

変事

その日の夜。

「ねえ、お父さん」

妙子がセレスの部屋に訪ねてきた。

「? どうした、妙子?」

「また、これを読んで」

「ああ、赤毛のアンか。いいぞ。妙子の部屋に行こうか」

セレスと妙子は本をもって妙子の部屋に移動した。

妙子はベッドに入り込むと、照明を暗くするように、セレスに頼んだ。

「妙子はまだ真っ暗は怖いか?」

「うん。少しだけ明るくしてほしい」

「じゃあ、この前読んだところの続きだな」

「うん!」

セレスは朗読を始めた。

「ねえ、お父さん」

「どうした、妙子?」

「心配かけてごめんね」

「……ああ、そうだ。俺も心配した」

「私、良い子になるから……」

「妙子」

「なあに?」

「おまえは無理に良い子になる必要なないんだ。苦しければ良い子をやめてもいい。おまえはあるがままのおまえであれば」

「……うん」

「さあ、続きを読むぞ」

セレスは続きを読み進めた。

いつの間にか妙子は眠っていた。

「妙子……眠ったか……」

セレスは妙子のそばに本を置き、セレスは妙子のほおにキスをした。


その日はミリアは早く帰宅していた。

キッチンでは夕食の準備をしていた。

ミリアは扉が開く音を聞いた。

「妙ちゃん、おかえり」

「……」

「妙ちゃん?」

ミリアは心配になって妙子の近くに寄った。

「うわああああああん! ミリアお姉ちゃん!」

妙子はミリアに泣きながら抱きついてきた。

「妙ちゃん、どうしたの!? なんで泣いているの?」

「ウう、ううう……ぐすん……これ……」

妙子は月州語のノートをミリアに見せた。

「何、これ!?」

そこには赤鉛筆で「しね」と書かれていた。

「まずは兄さんに電話しないと……」

ミリアはスマホを出して、セレスに電話をかけた。

「俺だ。どうした、ミリア?」

「兄さん? 悪いけど、すぐに帰れる?」

「ん、まあ、すぐに帰れるが……どうかしたのか?」

「ええ。口で説明することよりも実際に来てもらった方がいいと思って」

「……わかった。すぐに帰る」


セレスは飛ぶように帰ってきた。

「今、帰ったぞ! ミリア!」

「ああ、兄さん、おかえりなさい」

時刻は夕方の4時35分だった。

「いったい、何があったんだ?」

「兄さん、これを見て」

「これは……」

そこにはノート一面に大きく赤鉛筆で「しね」と書かれていた。

「そういうことか……妙子は今どうしてる?」

「妙ちゃんは今泣きつかれて寝ちゃったわ」

「これはいじめだな。ほかには何かなかったのか?」

「わからないわ。妙ちゃんはほかには何も言わなかったから……」

「学校から事情を聞き出す必要があるな。俺は東山先生に電話してみる。ミリアは妙子の様子を見守っていてくれ」

「わかったわ」

セレスは東山先生に電話をかけた。

「はい、東山です」

「東山先生ですか? 俺です。セレス・ファーゼンハイトです。実は妙子のことでお話を聞きたいと思いまして」

「妙子さんがいじめられたことですね?」

「もう、ご存じでしたか」

セレスは対応が早いなと思った。

「そのことについて話をしたいのですが、明日学校に来ることはできますか?」

「……わかりました。詳しいことはその時に。明日学校にうかがいます」

セレスは電話を切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。