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第36話:影の独走、あるいは知の分断

地下2階の膨大な資料を前に、時間は刻一刻と過ぎていきます。

魔王軍と王国軍の衝突が迫る中、ショウたちは役割を分担する決断を下します。しかし、仲間の一人はすでに、誰よりも早く己の役割を見つけ出し、闇の中へと消えていました。


「――くそっ! この量の資料をワシと小僧の二人だけで読み解くには、いくら時間があっても足りんわい!」


地下2階。ガリウスが焦燥に駆られた声を上げ、山積みの禁書を乱暴に叩いた。エリオもまた、ショウの服から供給される魔力で『多重演算マルチ・リーディング』を維持しているものの、その瞳には疲労の色が濃い。知識の神の加護があっても、肉体の限界は別問題なのだ。


「……ショウさん。閲覧制限がかかっている禁書や魔導書は、王都の『中央禁書館』にもあります。あそこは古代図書館に匹敵する、あるいはそれ以上の資料が、厳重な管理下で保存されているはずです」


エリオの提案は、文字通り虎穴に入らんとする大胆なものだった。今まさに大軍が出撃し、守備が手薄になっているであろう王都へ潜り込み、禁書を直接奪い取ろうというのだ。


「……確かに、あの大軍勢が王都を離れている今こそ、目が外に向いている。よし、二手に分かれましょう。俺たちが王都へ向かう間、誰かに魔王軍と王国軍の接触地点を見てきてもらわないと……」

「それなら、私が――」


ショーベルが言いかけた時、俺はふと背後の違和感に気づいた。

 つい先ほどまでそこにいたはずの、氷のように鋭い気配が、忽然と消えている。


「……シノは?」


影の中に目を向けるが、潜影のシノの姿はどこにもなかった。代わりに、机の上に置かれた文鎮の下に、一通の小さな書き置きが残されていた。


『軍の動きは任せろ。深追いはしない』

「……相変わらず、風よりも仕事が早いな」


 ゼスタが呆れたように、しかしどこか信頼を込めて笑った。シノはショウたちが話し合うよりも早く、独断で戦場へと向かっていた。彼女の隠密能力なら、万の軍勢の間を縫い、死角を抜け、魔王城の動向を誰にも気づかれずに探るのも不可能ではないだろう。


「シノに戦況把握を任せるしかないですね。彼女なら、危険を察知すれば即座に影に潜むはずだ。ガリウスさん、あなたはここで解析の続きを。俺たちは……王都へ急ぎます」

「任せろ!」


ガリウスを地下2階に残し、俺、ショーベル、ゼスタ、そして案内役のエリオの4人は、再び地上へと上がった。ガリウスは鼻眼鏡をクイと押し上げ、不敵な笑みを浮かべた。


「お前たちが戻ってくるまでに、この山の謎を全て丸裸にしてくれるわ! ただし、手ぶらで帰ってくるなよ? 王都の高級な酒の一本でもくすねてくるのが、ドワーフへの礼儀というものじゃ!」


その威勢のいい声に見送られ、俺たちは図書館の隠し扉から外へと滑り出した。

 目指すは、王都シャイニール。

 つい先ほど、数万の軍勢が蹂躙するように通り過ぎていった街道を逆走する。踏み荒らされた土の匂いと共に、権三郎の放った傲慢な魔力の残滓が、微かな不協和音となって空気中に漂っていた。

人間であるゼスタ、そしてショウ。このメンバーなら、俺が仕立てた『光学迷彩機能付きトラベルコート』を羽織り、フードを深く被れば、人間の街に紛れ込むのは容易だ。


「……エリオさん。王都の禁書館、入り方は本当に分かっていますね?」

「はい。非常時の隠し通路の場所は分かっています。ただし、基本的に見つからないように侵入することになると思います」


エリオの瞳には、弱々しい司書候補生だった時とは違う、確固たる意志の光が宿っていた。

 街道を進むにつれ、地平線の先に、光り輝く王都の白い城壁が見えてきた。かつては、神のパクリを拒んだだけで「異端」として追われ、必死の思いで逃げ出した死地。

29歳、成人男性。

 自分を捨てた場所へ、今度は自分の意思で、世界を救うために戻る。

 

「みなさん。行きましょう。王都に侵入しやすいうちに禁書を探しましょう」


「ピース・テイラーズ」による、前代未聞の王都ハッキング。

 夕闇が迫る中、俺たちは静かに、しかし力強く、白き城門へと歩みを進めた。


第37話をお読みいただきありがとうございました!

エリオの提案により、決死の王都潜入を決意したショウたち。一方でシノは単独で戦場へと向かいます。

二手に分かれたピース・テイラーズ騎士団。歴史の闇に隠された「手紙」を求めて、戦いは新たな局面へ。

いつも応援ありがとうございます!次回、お楽しみに!

面白いと思っていただけたら、ぜひブクマや評価をお願いします!

※AIとの共同執筆作品となります。


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