謎の約束。
竜騎士達が朝焼けの中、お空の散歩から竜と共に城に戻って来た。
丘の上にあるこのライリーのお城には、今日もいい風が吹いていて、気持ちが良かっただろう。
「おはようございます、リナさん」
「おはようございます、カーティス様、これ、弟さんからの手紙です」
私はさっき預かった手紙をカーティス様に手渡した。
「エクムントが来ていたんですね」
手紙を受け取ったカーティス様はその場では読まずにポケットに入れた。
「ええ、弟さんはレインボーパールの事を教えたら水着を買って海へ行くと走って行きました」
「ああ、そうか、あの色とりどりの真珠がありましたね」
「ええ、婚約者候補に贈る石があれでどうにかなると思います」
「石と言えば、リナさんも石に絵を描いていましたよね」
「はい、お花とか」
「あの石達をギルバート様の誕生日に、隠して宝探しをするんですよね」
「はい」
「隠す係は決まっているのでしょうか?」
「お嬢様がご自分でされるなら、私も手伝うと思いますが」
「もし、あなたの絵の描いた石を私が見つけられたら、ひとつ、お願いを叶えて下さいますか?」
「え!? な、内容にもよりますけど、私で出来る事であれば……」
「ありがとうございます」
カーティス様は一瞬笑みを浮かべ、背を向け、城の方へ去って行った。
一体私に、な、何をお願いしたいのかしら!?
* *
「さて、人の少ない時間に石を隠しておきますか」
夜になって、外は暗い時間にティア様が城の周辺に石を隠しに行くらしい。
城の中はラナン卿とローウェ卿、ナリオ卿などが既にいくつか隠したらしい。
私達は今、庭園にいる。
月明かりと手元にランプはあるけど、暗い。
「大丈夫ですか?
だいぶん暗いですよ、石を隠すのは明日の早朝の方が良くないですか?」
「私は視覚強化の魔法で暗視も可能にしたわ」
「え!? そんな事が出来るんですね、凄いです」
便利!
「リナは無理せずに、魔道具のランプを使って」
「は、はい」
『石隠し、僕も手伝うよ〜〜』
リナルド氏! 飛んでる!
植え込みの中などに石を隠して行った。
ちなみに絵を描いた石は全てクリスタルで撮影済みなので、自分で後から描いた石を見つけたと嘘を言っても無効になる。
「絵付きの石を見つけて貰えるのは、ほぼお菓子なんですよね?」
「そうだけど、でも王冠やドラゴンの絵を見つけたらエクストラポーションや宝石が貰える事もあるのよ。
お姫様の絵なら服、王子様の絵なら靴、リボンの絵なら綺麗なリボン、魚の絵なら、食べられるお魚、ご飯の絵ならお米、麦の穂なら小麦粉を袋で貰えるの」
「宝石やエクストラポーションまで貰えるのですか!
それは本気になりますね」
「多少は本気になってもらわないと面白くないでしょうし。
子供はともかく、大人も参加出来るやつだから」
「カーティス様は私の描いた石を探すと言ってました」
「あら、あなたの絵のついた石が欲しいのかしら? 可愛いわね」
「いえ、あの、見つけられたら、私に何かお願いを聞いて欲しいのだとか」
「あら、あら、あら! 何かしら!?
ときめきイベントの気配を察知したわ!」
「そ、そうでしょうか?」
「ふふふ、何か分かったら、ぜひ報告して欲しいわ」
「わ、私の事より、日付けが変わる前にお部屋に戻らないと、ギルバート様が寂しく思われるかもしれませんよ」
「そうね、そろそろ戻るわ」
城内のティア様のお部屋の前まで戻って来た。
多分、ギルバート様がお部屋の中でお待ちなのだろう。
「おやすみなさいませ、セレスティアナ様、良い夜を」
「おやすみ、リナ」
ティア様は扉を開けて中に入って行った。
私は自屋に戻ると、翼猫のアスランがベッドの上で丸くなって待っていてくれた。
城内にアスランと寝たい人は多いのだけど、優しいこの子はたまに悪夢を見る私を気使って、最近私の寝床に来てくれる事が多い。
寝巻きに着替えて私もふわふわの猫ちゃんを撫でてから、横になった。
おやすみなさい。
* * *
また新しい朝が来た。
今日がギルバート様のお誕生日だから、私もドレスを着る日だわ。
水色のパールのイヤリングと、カーティス様が選んでくれたアイスブルーのドレスを着る。
ティア様は本日光沢のあるシルクの白いドレスを着て、白と銀糸のリボンを飾る。
イヤリングと首飾りと指輪はサファイア。
宝石はギルバート様の瞳の色であり、銀色のリボンは……ギル様の髪の色だ。




