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44.


「見たかよ、俺の剣さばき!」

「何言ってんだ。ビビり散らかしてたクセによ」

「やっぱり隊長が先陣切ってたのがカッコよかったなぁ」


 巨大猪を倒した騎士団は大はしゃぎだった。無理もない、重い木剣で特訓してたから普通の剣など軽々と振り回せ、振りも鋭くなっている。

 これは剣のほうがもたないかもしれないなぁ。どこかで新調するか......オーダーメイドで作ってくれる職人でもいればいいんだけど。

 しかしほとんど騎士団だけで倒せたから、これで自信がついただろう。

 さ、ジェニーたちと合流して王都へ向かおうか......と思ったら、偵察用の小鳥が更なる異変を察知したらしい。あ、引き返さなきゃいけないパターン?

 視覚共有で確認すると、4人の武装した人達がこちらへ向かって歩いてくる。これはマズイな。


「皆、さっさと戻ってジェニーと合流!誰かに会っても、くれぐれも僕のことは喋らないようにね!」


 問題は猪だ。解体してからアニフィに収納してもらおうと思ったけど、そんな時間は無さそう。

 とりあえずそのまま収納して、後で解体するかー。この大きさって入るのかな?とにかくここを離れないと——


「そこを動くな!」


 はい?声の方を見ると、たしかにさっき見た4人組のうちの1人だった。そんな馬鹿な......まだ少し距離があったはずだよ。これはマズイ。どうする......考えるんだ。


「子供?こんなところでいったい何を......そ、それは!間違いない、こいつはヒポアーだ。まさか......」


 いきなり来てうるさいなぁ。なに、ヒポアーって。その猪の名前とか......まさかペットだったりして?それは申し訳ないことをしたかも。


「おい、誰だ!いったい誰がヒポアーをやったんだ!」

「あー、僕が襲われそうになってたから、騎士の人達が助けてくれたんだ」

「バカな......たかが騎士が、それも10人程度でかなう相手じゃないぞ......」

「そんなことより、お仲間が来たようだよ」


 まぁ、実際ほとんど騎士たちで倒してたし。1週間みっちりしごいたんだから、これくらいはやってもらわなくちゃね。


「あ、いた!ちょっとー!いきなり置いていかないでよ!」

「よーやく来たか。お前らがおせーんだよ」

「まったく毎度慌ただしい奴だぜ。ところで獲物は見つかったのか?」

「ああ、そこに転がってるだろ」

「ヒュー!さすが勇者、こんな程度朝飯前ってか?」

「......やったのは俺じゃねぇ。ここにいる騎士たちだとよ」


 なんだか騒がしい一行だなぁ。聞き間違えじゃなければ、勇者とか聞こえたんだけど?

 従者の間違いかな?それなら先行して様子を見に来るのも納得出来る。

 でも見た目は金髪でホストにでもなれそうな感じだし、従者というよりは自分こそが主人公だと言い張るタイプだろうね。

 オラオラな態度は明らかだし、面倒事を呼ぶ気しかしないからこのまま立ち去ってくれればいいんだけど......。


「で、ガキがこんなとこで何やってんだ?」

「......お散歩だけど?」

「アホか。ヒポアーが出たって騒ぎの中、外に出る奴なんかいるわけねぇだろ。いるとしても王都へ向かう貴族くらいだ」

「ふーん、ヒポアーってあの大きい魔物のこと?僕聞いたことないけど。それに、こんな所に魔物がいるなんて不自然じゃない?まるでここを通る貴族を待ち構えてるみたいだね」

「何をバカなことを......」

「待って、その子の言うことももっともだわ。場所もタイミングも出来すぎているし。特に今回の主役でもあるシュヴェーレン新公爵は、民からの支持は高いけど逆に貴族からはあまり良く思われていないという噂。まさか......」

「んなことはどーでもいんだよ。せっかくの俺の獲物を横取りしやがって」


 ちゃんと考えられる人もいると思ったら、勇者らしい金髪は頭が残念なようだ。勇者がこんな態度だなんて世も末だよね。何を要求されるか分からないし、僕なら頼りたくないなぁ。


「それにしてもキミ、あんな魔物を前にしてよく平気でいられるわね。普通、子供が目の当りにしたら失禁くらいしてもおかしくないのに」

「えっ......あ、その、騎士の人たちがすごく強かったからあまり怖くはなかったかな......」

 

 このお姉さんは本当に勘が鋭いね。子供を演じるのも楽じゃないよ、まったく。何かあったら「あれれー、おかしいぞー?」とか言って誤魔化しておくかぁ。

 あの便利な道具も欲しいよね。時計ベルト型ターボエンジン付き犯人追跡眼鏡だっけ?......なんか違うような気もするけどいいや。

 

「で、お前らどこの騎士だ?あんま強そうには見えないけどよ」


 なーんかいちいち癇に障る言い方をするなぁ。自分から敵を作る意味が分からないんだけど。


「我らはシュヴェーレン公爵家の騎士団です。勇者殿のお噂はかねがね伺っておりますよ」


 騎士団は1列に並んで、一斉に左胸に右拳を当てている。あれが騎士の挨拶なのかな?こういうのがビシッと出来るのはカッコいいよねぇ。

 ていうか勇者って有名なんだ?僕は存在すら知らなかったけど。関わりたくはないから、僕の知らないところで魔王でもなんでも倒してきておくれ。


 


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