王とトリスの会談
宴が終わりに近づく頃、楽団の音も静まり、客人たちは次々と退室していった。
香の薫りと酒の残り香が漂う広間で、俺は侍従に導かれ、奥の小部屋へと案内された。
扉を閉じると、外の喧騒は嘘のように消える。
蝋燭の炎が揺れるだけの静謐な空間――そこに、アルトリウス王がひとり腰掛けていた。
「来たか、トリス」
王は杯を手にしながら、ゆったりとした口調で言った。
宴で見せた威厳ある姿とは違い、父のような穏やかさが漂っていた。
俺は深く膝をつき、頭を下げる。
「お呼びに応じました、陛下」
「そんなに畏まるな。今日は祝いの場だ。少し肩の力を抜け」
王は笑みを浮かべ、対面の椅子を指した。
俺が腰を下ろすと、王は杯を置き、まっすぐに俺を見据えた。
「……見事だったな。アントの脅威を退け、村を救ったこと、そしてその素材の利用法を示したこと。
それは単なる討伐ではない。王国の未来に繋がる働きだ」
「ありがとうございます。しかし、仲間と村人の助けがあってこそ……」
「そうだろうな」
王は静かに頷き、低く続ける。
「だが、孤児院の少年がここまで辿り着いた。それを見逃すわけにはいかぬ」
その目が、一瞬だけ鋭さを帯びる。
「――お前にはまだ、己の力のすべてを知らぬ部分があるはずだ」
胸の奥がざわついた。
まるで、俺の秘密――スキル《詐奪》の存在に気づいているかのような口ぶりだった。
「……どういう意味でしょうか」
俺は慎重に言葉を返す。
王はわずかに微笑んだ。
「いや、深い意味ではない。若い者には、眠れる可能性があるものだ。
ただ覚えておけ。力を持つ者は、それをどう使うかで真価が決まる」
言葉は穏やかだったが、心の奥を射抜くような響きだった。
王は再び杯を手にした。
「トリス・レガリオン。お前に子爵と領地を授けたのは、ただの功績の褒美ではない。
この国を背負う人間となれるかどうかを見極めたいのだ」
俺は深く頭を垂れた。
「……必ず、応えてみせます」
「よし」
王は満足げに頷き、最後に囁くように言った。
「守れ。お前の領地を。そして――お前の周りに集う者たちを」
その声は厳しくも温かく、俺の胸に重く刻まれた。
蝋燭の炎が揺れ、部屋に深い影を落とす。
俺は静かに立ち上がり、決意を胸に部屋を後にした。
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