トリス領爆誕
アルトリウス王は沈黙を保ち、玉座から俺たちを見下ろしていた。
その眼差しには、鋭い光と温かなものが同居している。
「……アントの群れは、既に女王を討ち果たしたと聞く」
王の声が低く響く。
「はい、陛下」
俺は頭を垂れる。
「しかし、アントの巣はダンジョンそのもの。
時間が経てば、再び群れは生まれ、強化され、膨れ上がります。
脅威は去ったわけではなく、定期的な討伐こそが唯一の対策です」
重臣たちが一斉にざわめいた。
「では供給も続くのか」「素材も再び得られるのか」
期待と不安が入り混じった声が飛び交う。
ミーナが一歩進み、裾を揺らして言葉を継ぐ。
「はい。だからこそ、この素材は王国にとって安定した資源となり得ます。
街道整備に使える外殻と体液。
その供給と技術を、私たちは王国に提供する覚悟です」
「ほう……」
口髭を撫でる老侯がうなった。
「討伐を怠れば脅威となり、続ければ国を潤す資源となる……。
まさに両刃の剣よ」
王妃が小さく扇を伏せ、言葉を添えた。
「それを、この少年たちが最初に食い止め、そして示したのね」
アルトリウス王は再び杖を鳴らした。
その音が大広間全体に重く響き渡る。
「よかろう。ダンジョンの脅威を退け、王国に新たな資源をもたらした功績……
それは、村一つに収めておけるものではない」
王の低い声が、広間全体に響く。
「――トリス・レガリオン。汝を子爵に叙する!」
「おお……!」
広間にざわめきが広がった。
重臣たちの驚きと期待の声、侍女たちの小さな吐息が一斉に重なり合う。
隣にいるアリアが小さく息を呑み、ミーナは表情を崩さぬままもわずかに頷いた。
ルークとディルは驚きのあまり顔を見合わせ、エルムは子供のように「すごい!」と小声で叫んだ。
俺は膝を折ったまま深く頭を垂れた。
「陛下……この身に余る栄誉、必ず王国に報いてみせます」
王は頷き、さらに声を強めた。
「爵位に相応の責務を負わせよう。
ハルトン村と、その近隣三村を合わせ――これを『トリス領』とする!」
「トリス領……!」
広間に新たなざわめきが広がった。
その名が告げられた瞬間、俺の胸に熱いものが込み上げる。
「街道を整備し、交易の基盤を築き、アント素材を国の富へと転じよ。
脅威を討ち果たしたその手で、領地を治めるのだ」
「ははっ!」
額が床に触れるほどに深く頭を垂れた。
(孤児として生きてきた俺に、ついに与えられた名と土地……。
これは俺一人のものじゃない。仲間と、村と、未来のための責任だ)
王妃が静かに扇を伏せ、柔らかな声で添える。
「少年よ……いいえ、これからは子爵様ね。
その志をどうか失わずに」
「心得ております」
声が震えそうになるのを必死で抑え、答えた。
広間はやがて拍手と喝采に包まれた。
その中心にいる自分を実感しながら、俺は胸の奥で固く誓った。
――必ず、トリス領を誇れる地にしてみせる。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




