３３ 福島第一原発再臨界
緊急ニュースです。２０３８年１２月２５日の世界標準時正午、日本時間午前３時、ＷＲＡ（世界リブート機構）を名乗るハッカー集団が、全世界で稼働中のすべての原発に向けてサイバーテロを仕掛けたと発表しました。すでにＵＡＥ（アラブ首長国連邦）、インド、中国、韓国など複数の国の政府が、複数の原発で制御システムの異常を感知して緊急停止し、ＩＡＥＡ（国際原子力機関）に報告したとみられています。日本は全発電所停止宣言により稼働中の原発はなく、影響はないだろうと政府関係者が発言しています。また日本の原発は操作盤がアナログ式であり、インターネットには接続されていないため、ハッキング不可能とのことです。
緊急ニュースです。１２月２５日午前４時１５分（日本時間、以下同じ）、東京電力福島第一原発廃炉プロジェクトチームが緊急記者会見し、燃料デブリ保管エリアにある第５保管庫の異常温度上昇を検知し、作業員が全員退避したと発表しました。ＷＲＡのサイバーテロとの関係は調査中です。作業員の１人が１０グレイ以上の重度被曝をした可能性があり、急性放射線症の疑いで千葉県にある放射線医学研究所へ、ヘリコプター搬送された模様です。
緊急ニュースです。１２月２５日午前９時５分、福島県知事が緊急記者会見し、東京電力福島第一原発廃炉作業所の燃料デブリ保管庫のうち、第１、第５、第１５、第３１、第９７、第１２９保管庫の燃料デブリが再臨界し、さらに解体中の４号炉の使用済核燃料プールの冷却装置がシステムダウンし、冷却水が失われて再臨界の危険が迫ったため、福島第一原発廃炉作業員約８０００人全員に退去命令を発し、全県民に屋内退避命令を発したと発表しました。福島第一原発正門のモニタリングポストの放射能は１時間２０ミリシーベルトを超えているとのことです。
緊急ニュースです。１２月２５日午後１時４９分、波風首相が緊急記者会見し、東京電力福島第一原発４号炉使用済核燃料が再臨界して爆発し、５億テラベクレルの放射性物質が大気中に放出されたと発表しました。また燃料デブリ保管エリアでも連続的な爆発が起こっている模様です。関東７都県及び山梨県、宮城県、岩手県の各知事も緊急記者会見し、各都県の全域の住民に屋内退避勧告を発したと発表しました。
避難勧告が出された地域の学校はすでに冬休みに入っていましたが、年内登校禁止となり、全官公署、全企業は年内休業となりました。銀行も年内閉店となりますが、現金通貨が使用されていないので影響はない模様です。避難勧告地域の宅配便、郵便配達も休止となります。コンビニチェーンは営業を続けるとしていますが、商品の補給はできない見込みです。
緊急ニュースです。文部科学省のＮｅｗＳＰＥＥＤＩ（新緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク）によると、東京都心への放射能風の到達は１２月２６日未明となり、放射線量は最大１時間あたり７０ミリシーベルトと予想されています。
政治家、高級官僚、外交官、その他の要人は、政府専用機や自衛隊機で本日中に関西以西又は韓国に退避する計画が立てられ、大企業経営者、外資系企業経営者も自家用機やチャーター機で本日中に国外に退避する準備を進めているとみられます。
緊急ニュースです。天皇陛下は内閣の助言による京都御所への避難を拒否し、知事の屋内退避勧告に従って皇居にとどまり、人々がいたずらに逃げ惑うことなく、自宅にとどまることを望むと述べられたと伝えられました。皇后陛下も皇居にとどまられていますが、皇太女様の避難を強く望んだと伝えらえました。皇太女様は逃げないと答えらえれたとのことです。
緊急ニュースです。避難民が殺到してパニックとなった羽田空港、成田空港が閉鎖され、全便が欠航となりました。各航空会社は、両空港に向かうすべての国内便、国際便のフライトがキャンセルされ、機体が確保できなくなったとしています。
首都圏及び東北地方の全空港は国土交通省から防衛省防衛施設庁に所管替えされ、事実上米国（西アメリカ合衆国）海兵隊の管制下に入り、政府専用機、自衛隊機、米軍機、外資系企業関係機が離発着を始めている模様です。
緊急ニュースです。東京駅に向かう上りの新幹線、リニア新幹線のオペレーティングがすべてキャンセルされたため、新幹線、リニア新幹線の運行ができなくなり、東京駅、上野駅、新品川駅、新横浜駅、大宮駅が閉鎖されました。
緊急ニュースです。オンデマンド・オートマチック・モビール、そのほかのすべての新交通システムは、放射能によって制御不能に陥る危険が高いため、本日の運行を停止し、明日以降も未定としました。このため都民は徒歩以外の移動手段を奪われています。
政府は屋内退避が最も安全であり、放射能風が通過する２６日いっぱいは、窓を閉め切り換気扇を止めた自宅やオフィスにとどまり、決して外出しないように呼びかけています。
緊急ニュースです。自動車の廃止に伴い閉鎖されていた首都高、外環道、東名道、中央道、関越道、東北道、東関道、湾岸道に避難民がバリケードを破って侵入し、都心から郊外への避難路となっています。しかし、徒歩では放射能風の吹かない地域まで今晩中にたどり着くことは不可能とみられます。
緊急ニュースです。廃線となった地下鉄線の地下駅及び地下トンネルを防放射線壕として開放すべきか、政府が検討に入りました。しかしそれ以前、すでに地下駅の封鎖が暴徒と化した避難民に破られています。
都心の地下駅及び地下トンネルのほとんどが、排水ポンプが動かなければ数日で浸水しまうことを知らずに逃げ込んだ多数の避難民が、あとからあとから押し寄せる避難民によって冷たい水中へと押しやられ、暗闇の中で多数の溺死者が出ている模様です。
緊急ニュースです。都内のオートバイ、自転車の窃盗事件が相次いでおり、閉店した販売店が襲撃され、あるいは乗っているオートバイや自転車が盗られたという１１０番ＳＮＳが殺到しています。
緊急ニュースです。１１０番、１１９番がシステムタウンしたため、警視庁、東京消防局への緊急ＳＮＳができなくなっています。
緊急ニュースです。インターネットの通信規制が実施され、非常に繋がりにくい状況になっており、サイバーＱの配信も途絶えがちになっています。通信キャリア各社は不要不急の動画を送受信しないように注意喚起しています。ところがかえって、各社がくだらないＣＭ競争に明け暮れて、肝心の通信容量の拡大に十分な投資をせず、蓄財に明け暮れていたことに非難の書き込みが殺到しています。とくに社長が個人資産２０兆円を超える世界一の金持ちになったソフトラスト社の古いスマホを叩き壊したり、踏み潰したり、屋上から落としたり、燃やしたり、自転車で轢いたりする、スマホ破壊動画の投稿がブームとなって全国に広がっています。
緊急ニュースです。再臨界した福島第一原発の現場巡視を強行した波風首相の乗ったヘリが、爆風によって操縦不能に陥り、現場近くの海上に墜落しました。首相のインヴィジブルフォンのぶら下がり映像に墜落の一部始終が写されていたのです。着水と同時にインヴィジブルフォンはダメージを受けてダウンしたため、首相の生死は不明ですが、墜落地点で救命ボートが確認されており、複数の自衛隊ヘリが強烈な放射能風の中、首相の救助に向かった模様です。
首相がすでに死亡したかのように、身命を賭して数々の改革を断行した波風首相を称賛する書き込みがネットにあふれています。
緊急ニュースです。１２月２５日午後１７時３３分、サイバーＱを配信しているＮＦＮ（日本フェイクニュース社）のスタッフ全員に総務省から職務放棄命令が出たため、これで配信を終了します。
（続編「サイバーＱ２」は、総務省の命令解除後に配信開始する予定です。）
