32 日本でもっとも人気の風俗店
2030年、新風俗営業法が施行され、接客のありなしで風俗店かどうかを分けるという形骸化した基準が廃止され、風俗営業は4種類に区分された。また、実効性がない売春防止法は廃止され、売春保健法が施行された。
ホワイト風俗は、性的サービスがなく、許可が不要で届出が必要とされた。
ピンク風俗は、店舗型で性的サービスがあり 新風営法の第一種許可が必要とされた。
ブルー風俗は、非店舗型(派遣型)で性的サービスがあり、第二種許可が必要とされた。
透明風俗は、ヴァーチャルな空間での性的サービスがあり、第三種許可が必要とされた。
ブラック風俗は、非合法の風俗店の総称で、監禁店、競売店、媚薬店、ロリコン店などが地下開店した。
2010年代、もっとも人気の風俗はオカマバー(ゲイバー)とキャバクラだった。2020年代になると、女装、男装がファッションとして認知されて日常化し、目新しさがなくなったオカマ芸能人が激減し、オカマバーの閉店も相次いだ。これはオカマの大絶滅と呼ばれた。キャバクラのガールズバー化は2010年代から進展し、2020年代になるとキャバクラは姿を消し、接客型ガールズバーに置き換わった。2000年前後から少女漫画で流行語となったGL、BLが風俗店に取り入れられたGLバー(百合倶楽部)、BLバーは、2020年代の流行業態となり、従来のホストクラブは退潮となった。
GLバーはキャストもゲストも女性限定、BLバーはキャストがイケメン男性限定、ゲストが女性限定だが、女装男性に入店を許可する店も多く、女装サロンが隣接していた。女装サロンで女装してからGLバーで遊ぶのがトレンディになったのである。
新風営法施行後はさらに様々な業態が登場した。最初に人気となった新風俗が空家バーである。人口減少の進展で都心でも増加した空家を利用したバーである。都心で新都市計画税を納めながら空家を維持するには風俗店しかなかったという世知辛い事情もある。旧風営法では認められなかった業態であり、店舗型でも派遣型でもない在宅型と呼ばれる。メニューは手料理で、風俗店というからにはショートとステイで遊べる。
ロボットバーは文字通りロボットが接客するバーであり、旧風営法では規制がなかった。新風営法では第一種許可が必要とされるようになった。脱法のメリットがなくなったロボットバーは消えるとみられていたが、許可一号店は新風俗としてむしろ人気になった。
出会い風俗は、スマホも携帯もないポケベル時代から詐欺風俗の代名詞とされながら、根強い人気が続いてきた。出会い風俗を規制するため、出会系サイト規制法が特別立法されていたが、新風営法では第二種の業態に取り込まれた。SNSの出会い機能の多様化によって、出会い風俗はますます盛況であり、実店舗型の出会いカフェ、相席居酒屋も生き残っている。SNS出会いカフェは、出会いサイトと出会いカフェのハイブリットであり、本人をガラス越しに見ながらチャットでデートの約束をしたり、チャットでデートの約束をしてからカフェで本人を確かめたりする。
2038年、最も人気の風俗店は出会いSNSの発展形であるシミュレーションリアリティ(SR)店であり、第三種業許可の対象となる。これは会員同士がヴァーチャルな空間で、恋愛、結婚、不倫、セクハラ、痴漢、ストーキング、SM、幼児、GL、BL、性交換、強姦・輪姦、失恋、観察など様々なシチュエーションをシミュレーションし、さらにリアルなシミュレーションに発展させることもできるという新風俗である。発祥は京都の「FU-GION-CAFE」(FGC)で、またたくうちに全国を席巻し、類似業態を含めた会員数は15歳から80歳以上まで2千万人を超えている。ブライスなどのドール、初音ミクなどのヴァーチャルアイドル、雪城ほのかなどのアニメキャラとシミュレーションすることもできる。新風営法で入店や就業が規制される15歳未満でも入会できるジュニア店も出現している。
もっとも多いシミュレーションはここでもGL(女性の同性愛)であり、次いでBL観察(男性の同性愛の観察)だという。当然女性の会員が圧倒的に多く、男女比は1対2となっている。男性に人気のあるシミュレーションはGL崩し(同性愛女性のナンパ)、次いで偽GL(女装して女性をナンパ)である。2030年代になってもGLと女装の人気は続いているようである。
SRがほんとうの恋愛に発展することをツボ化、さらに結婚につながることをドツボ化といい、ツボカップルは月100万組ペースで誕生している。政府はSRが少子化対策になると期待感を表明し、新風営法の規制を緩める方針である。




