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第二百二十八段 千本の釈迦念仏は
(原文)
千本の釈迦念仏は、文永のころ、如輪上人、これを始められけり。
※千本:京都市上京区千本の大法恩寺。
※釈迦念仏:兼好氏の当時は釈迦の涅槃にちなみ、2月9日から15日まで行われる。(現在は3月22日)。涅槃像を掲げ、「南無釈迦牟尼仏」と唱える。
※文永:1264~1275。
※如輪上人:大法恩寺第二世長老の澄空。摂政内大臣藤原師家の子。法然門弟の長西に師事した。生没年未詳。
(舞夢訳)
千本の釈迦念仏は、文永の当時、如輪上人がお始めになられたものである。
兼好氏の時代にも盛況であった千本大法恩寺の釈迦念仏は、その起源から100年も経たないうちに、その起源を知らない人が多かったのかもしれない。
それを残念と思い、この段に書き記したとされている。




