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第百三十九段 家にありたりき木は(3)
(原文)
柳、またをかし。卯月ばかりの若楓、すべて万の花・紅葉にもまさりてめでたきものなり。
橘・桂、いづれも木はもの古り、大きなるよし。
(舞夢訳)
柳もまた、趣が深い。
4月頃の若い楓もよい。
これらは全ての花や紅葉以上に、素晴らしい。
橘は桂は、古木で、かつ大きなものがよい。
風に揺れる柳は、やはり風情があることは、誰も認めるところ。
そして、確かに若葉の頃の楓は、実に生命力にあふれ、見る人の目を楽しませる。
橘は成長して高さが3mから4m、桂は大高木になると20~30mになる。
古木や高木がよいというのは、長期間人に愛でられてきた歴史と、高いことによる存在感なのかもしれない。




