表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/338

第百三十七段 花はさかりに、月はくまなき(3)

(原文)

望月のくまなきを千里の外までながめたるよりも、暁近くなりて待ち出でたるが、いと心深う、青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の影、うちしぐれたる村雲がくれのほど、またなくあはれなり。

椎柴・白樫などの濡れぬるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身にしみて、心あらん友もがなと、都恋しう覚ゆれ。


(舞夢訳)

満月が千里の先まで完全に照らしている様子を見るよりも、暁が近くなるまで待ち続け、ようやく姿を見せた有明の月を見るほうが、余程深く心に感じるものがある。

そして、青みを帯びた深い山の杉の梢のすき間に見える月影、にわかにしぐれたおりに雲の中に隠れてしまった月は、より心に感じるものがある。

椎や白樫の濡れた葉の上に、月の光がきらめく時などは、身にしみて、風情を解し心の通い合える友が、ここにいて欲しいと思い、都を恋しく思い出してしまう。



完全なものにだけ、美しさがあるのではない。

隠れている美しさ、ほのかに見える美しさ、濡れた葉の上に映る月の光などにも、美しさの粋がある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ