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第百三十七段 花はさかりに、月はくまなき(2)

(原文)

よろづの事も、始め終りこそをかしけれ。

男女の情も、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは。

逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとりあかし、遠き雲井を思ひやり、浅茅が宿に昔をしのぶこそ、色好むとは言はめ。


(舞夢訳)

すべての事は、その始まりと終わりにこそ、その情趣がある。

男女の交情も、ただ単に逢瀬して心と身体を重ねるだけに情趣があるのではない。

逢いたくても逢えないまま終わってしまった憂いに沈み、とうとう実を結ばなかった契りを悔やみ、秋の長い夜を一人で過ごし、手の届かないところに住む愛しき人は遠く眺めるだけ、かつて逢引きをした荒れた家で昔をしのぶようなことこそが、風情を好むと言うのである。



野暮なコメントは全くできません。

何度も読みなおすと、心にしみます。

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