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第百三十四段 高倉院の法華堂の三昧僧(1)

(原文)

高倉院の法華堂の三昧僧、なにがしの律師とかやいふもの、ある時、鏡を取りて顔をつくづくと見て、我がかたちのみにくく、あさましき事を余りに心うく覚えて、鏡さへうとましき心地しければ、その後長く鏡を恐れて手にだに取らず、更に人にまじはる事なし。御堂のつとめばかりにあひて、籠り居たりと聞き侍りしこそ、ありがたく覚えしか。


(舞夢訳)

高倉院の御陵の法華堂で三昧僧を勤めた、なにがしの律師という人がいた。

その人は、ある時、鏡を手に取り、自分の顔をつくづくと見たところ、実に醜く情けなく思い、その顔を映す鏡まで、嫌悪感を覚えてしまった。

その後は、鏡を怖がり、長い間手に取って見ることもせず、そのうえ他人との交流も絶ってしまった。

法華堂での勤行に参加するだけとなり、それ以外は自室に籠るのみになったそうである。

実に、珍しい事と感じた。


※高倉院の法華堂:清閑寺の法華三昧堂。高倉院は第八十八代天皇。治承五年崩御。


よほどの醜悪な顔だったのだろうか。

とにかく、自分自身の顔に落胆。

人に合わせる顔ではないと決断し、その後は必要以外の交流を断つ。

「そうではない」と交流を求める同輩や人もいたはず。


次回以降、この珍しい話をもとに、兼好氏の自己認識論が展開する。

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