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第百二十八段 雅房大納言は、才賢く(2)

(原文)

おほかた、生けるものを殺し、傷め、闘はしめて遊び楽しまん人は、畜生残害の類なり。

万の鳥獣、小さき虫までも、心をとめて有様を見るに、子を思ひ、親をなつかしくし、夫婦を伴い、嫉み、怒り、欲多く、身を愛し、命を惜しめること、ひとへに愚痴なるゆゑに、人よりもまさりて甚だし。

彼に苦しみを与へ、命を奪はん事、いかでかいたましからざらん。

すべて、一切の有情を見て、慈悲の心なからんは、人倫にあらず。


(舞夢訳)

およそ、生き物を殺し、傷つけ、互いに戦わせて遊び楽しむような人は、互いに傷つけあう畜生と変わることはない。

この世の全ての鳥獣、小さな虫まで、注意してその様子を見ると、その子を思い、その親を慕い、夫婦は連れ添い、ねたみ、怒り、欲望を強く持ち、命を惜しむことは、ひとえに知恵分別が至らぬために、人間以上に甚だしい。

そんな彼らに苦しみを与え、命を奪うなど、可哀そうでないはずがない。

全て、あらゆる生き物を見て、憐れみの心を持たない者は、もはや人間ではない。



仏教思想に基づく動物類に対する慈悲の大切さを説いている。

致し方なく、殺生に及ぶ場合を非難しているのではない。

自己の単なる楽しみのために、痛めつけたり、殺生に及ぶことを批判しているのである。

確かに安易に、そんな非道な事を喜ぶような輩は、同じ人間とは、思いたくない。

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