第百二十二段 人の才能は(1)
(原文)
人の才能は、文明らかにして、聖の教えを知れるを第一とす。
次には手書く事、むねとする事はなくとも、これを習ふべし。
学問に便あらんためなり。
次に医術を習ふべし。身を養い、人を助け、忠孝のつとめも、医にあらずはあるべからず。
(舞夢訳)
人が身につけるべき教養や技術としては、古典に通じ、聖人の教えを理解していることが、まず第一である。
その次には、字を書くことが重要で、専門家になる必要はないけれど、習熟すべきである。
それは、学問をするにあたり、便宜をもたらすためからである。
次に習うべきは、医術。
健康を保ち、他人を助け、忠孝にはげむにしても、医術なしには果たすことができないと思う。
※才能:教養・技術。
※忠孝のつとめも:中国古典『大学』より「事親者 亦不可不知医」(親に事ふる者は、亦医を知らざるべからず」
古典を知り、聖人の教えを理解する。
学問他に便利であるから、字を習うこと。
医療知識と技術を身に着けること。
現代人で難しいのは、特に字を習うことかもしれない。
PC入力、印刷が主流となり、実に字を書かなくなった。
いざ手書きをする時に、書けない漢字が増えてきて、困ることが多い。
やはり字は読めても書かないと覚えない。
最近は小学生からタブレットやPC入力をする時代。
難儀した「書き取り練習」も減ったようだ。
「それでいいのか・・・」時々、疑問を感じることがある。




