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第百二十段 唐の物は、薬の外は、

(原文)

唐の物は、薬の外は、なくとも事欠くまじ。

書どもは、この国に多くひろまりぬれば、書きても写してん。

唐土船のたやすからぬ道に、無用の物どものみ取り積みて、所狭く渡しもて来る、いと愚かなり。

「遠き物を宝とせず」とも、又、「得がたき貨を貴まず」とも、文に侍るとかや。


(舞夢訳)

中国から持ち込まれた物は、薬以外は、無くても困ることはない。

書籍などについては、この国に多く流布していることから、書写することができる。

中国の船が、その危険な航路を、無用の物ばかりを積み込み、次々に到着するけれど、実に愚かなことである。

「遠方由来の物を宝とはしない」とも、また「得難い物は尊ばない」と、古書にも書かれているようだ。



日本のような島国の人は、特に外国人や舶来品が珍しく、珍しいがゆえ、未知がゆえ、劣等感やら憧れやら、拒絶感も複雑に混淆して存在する。

それは兼好氏の生きた時代に限らず、現代の日本人でも、ほぼ変わらない。

また、「外国帰り」「帰国子女」に対する差別感も、なくならない。


要するに、本当の自分が確立していないので、外国の人や事物に対する弱さから脱却しきれない。

日本人であろうと、外国人であろうと、日本のものであろうと、外国のものであろと、色眼鏡で見なくなるような時代は、いつになれば来るのだろうか。



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