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第九十六段 めなもみといふ草あり
(原文)
めなもみといふ草あり。
くちばみにさされたる人、かの草を揉みて付けぬれば、則ち癒ゆとなん。
見知りておくべし。
(舞夢訳)
めなもみという草がある。
マムシにかまれた人は、その草をもんでつければ、たちまちに治ると言われている。
知識として持っているべきである。
めなもみ:植物辞典に乗っている「めなもみ」ではなく、「やぶたばこ」の類らしい。
くちばみ:マムシ。
現代に生きる人は、山深い地域に住んでいなければ滅多にマムシなどは見ない。
兼好氏は遁世して山里で草庵生活していたので、これは知識として必須だったのだと思う。




