表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/338

第九十四段 常盤井相国、出仕給ひけるに

(原文)

常盤井相国、出仕し給ひけるに、勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国、後に、「北面なにがしは、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか君につかうまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。

勅書を馬の上ながら捧げて見せ奉るべし。

下るべからずとぞ。


(舞夢訳)

常盤井相国が出仕なされたおりに、勅書を持つ北面の武士が、相国に出あったことから下馬をしたとのこと。

相国は、後になって、

「北面の武士の某は、勅書を持っていながら、下馬をするような者である」

「このような者が、どうして院にお仕えすることができるのだろうか」

と申し上げたので、院はその北面の武士の職を解いたという。

このような場合には、勅書を馬上にて拝辞して、お見せしなければならない。

下馬をしてはいけないと言われている。


※常盤井相国:西園寺実氏。従一位太政大臣。後深草、亀山両帝の外祖父。相国は太政大臣の唐名。文永6年(1269)没。

※北面:上皇の御所を守護する武士。詰所が御所の北方にあった。


太政大臣よりも、院の勅書のほうが、権威が高い。

そのため、太政大臣に出合ったとしても、拝辞して見せるのが正式、下馬をするなどはするべきではない。

それを教育されていなかった北面の武士は、当の太政大臣に厳しく指摘され、可哀そうながら罷免されてしまった。


なかなか、厳しい身分制度の時代を示す段である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ