表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅する鍛冶師と勇者たち。  作者: バドライ
63/70

カズヒコ編⑥血は花となりて宙を舞う

レオスウルフ達は和彦が攻撃してこないことに気付いた。

体力的な消耗が激しく、疲労で動けないものだと思った左右のレオスウルフは目線だけで言葉を交わし、和彦をめがけて同時に猛突進した。


もちろん和彦はレオスウルフの攻撃をカウンターするべく待っていたのでその攻撃を後ろに跳んで回避し、4頭のレオスウルフが衝突したところでスキルを発動させた。


「【血花一閃(けっかいっせん)】」


よろけているレオスウルフの体に命中し、深紅の液体が飛び散る。しかし、それらは空中で儚く、美しい花のように散り、最終的に付近の根や土へ染みこんだ。

仲間の死を二度も目撃してもなお逃走という選択をしない4頭のレオスウルフ。

3頭だけが和彦を睨みながら徐々に近寄る。


「やはり…リーダーはお前か。」


和彦を狙う3頭のレオスウルフ。しかしその後ろには1頭だけが堂々と座って様子を見ている。

殺意を込めた視線を送ると、群れのリーダーは身震いをした。

だが、さすがはリーダーといったところか。決して逃げることなくこちらを見ている。

不覚にも、敵ながらあっぱれ、と思ってしまうほど堂々としていた。


「グルルルル…」


しかし、感心している暇はなく、威嚇しつつ3頭が襲いかかってくる。

人間で例えるならば、先程まで戦っていた6頭のレオスウルフがただの兵士のように思える。

この3頭はまるで王を護衛する近衛のようだ。

同時に攻撃を仕掛けるのではなく、ヒットアンドアウェイでこちらに隙を見せずに次々と攻撃を続け、和彦は防戦一方だ。


「クッ…俺が刀だけを使うと思うなよッ…!」


またもや和彦に突進するレオスウルフ。

だが、今度は手痛い反撃をくらうことになる。

何度も繰り返したが、刀でレオスウルフの攻撃を防ぐ。だが、ここからが和彦のターンだった。


「フンッ…!!」


衝撃で一瞬だけ硬直するレオスウルフを蹴りあげた。もちろん、そこそこ重いがそこは気合だ。

その後、拳を握り、和彦の胸の前に蹴り上げられたレオスウルフめがけて思いきり拳で突いた。

空手で言うところの【正拳中段突き】だ。メキメキッと骨を砕く触感が手に伝わり、

己の拳で命を奪ったことの罪悪感を遅まきながら感じた。

苦しそうな悲鳴をあげながら後方へ大きく殴り飛ばされたレオスウルフは、後ろにいた無傷のレオスウルフに衝突し、息絶えた。


「グルルル…ガルルル…ガウッッ!」


体勢を立て直しているレオスウルフの代わりに、その後ろにいたレオスウルフが怒りに身を任せて

和彦に突進してきた。


「また突進か。何度も何度も喰らうほど馬鹿ではないぞ。」


和彦は先程と同じように蹴り上げようとした。

が、しかし。レオスウルフは和彦の刀の間合いギリギリで踏みとどまり、

右足から蹴りが繰り出されると同時に足を噛んだ。


「ッ…!」


足を噛まれた和彦は、刀を逆手持ちにして上から脳天に突き刺した。

しぶきが飛び散り、和彦の服を(あか)く染める。

やがて力が抜けてその場に倒れ込んだ。


「残るはお前ら2頭だけだ。まとめてかかった方が勝てるんじゃないか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ