カズヒコ編⑦命のやりとり
残ったレオスウルフ達は和彦が言ったように2頭で挑んだ方が良いと判断したのか同時に駆け出した。
和彦は何度も同じ攻撃をされているので、もう焦りもせずただ待ち構えていた。
しかし、その油断が命取りだった。
「ウォフ!」
リーダーの声で二手にわかれたレオスウルフ達は、地面に落ちていた木の枝をくわえると、付近の巨木に全速力で飛びかかった。
「一体なにを――」
和彦がいい終える前にレオスウルフ達は巨木を全力で蹴り、猛烈な勢いで和彦へと迫った。
「なッ…!」
交差した二つの足が和彦に直撃する。
ゴスッ、という重々しい音。直後、和彦は腹部に激痛を感じた。
出血はしていないものの、なかなかに重い攻撃だったため骨が折れているかもしれない。
だが、幸い頭の中はレオスウルフでいっぱいいっぱいになっていたため、痛みで動きが止まるなどということはなかった。
「アオーン!」
リーダーは勝利、とでも言いたげな雄たけびをあげた。
確かに、このダメージは大きい。だが、それでも和彦はまだ――
「倒れてないぞ…!」
目の奥に光る闘志の炎を揺らし、声をあげた。
これにはさすがのリーダーも驚きを隠せていない。
(まさか、ナイトメアドラゴンやトロールより厄介だったとはな。
仕方ない、このスキルに…俺の全てを賭ける…!)
刀を構え直し、叫ぶ。
「【辻斬り】!うおおぉぉぉっ!」
全力で足元の巨木の根を踏み、蹴った。
驚愕の表情で硬直している2頭の狼は、我に返ると同時に、命を刈り取られた。
「はぁ…はぁ…」
満身創痍と言えるほどの傷を負っていた和彦は、レオスウルフの少し先までふらふらと歩いたが、そこで意識は途切れた。




