魔眼と神眼
毎日毎日妄想中。
キーボード打つのは遅いけど
継続は力なりっすね。。
「あぶないっ!」
目の前を血相を変えて走り過ぎたニヤの背中に向かって、ミサトは叫んだ。
まるで投擲ナイフの様に二本のショートソードがニヤに向けて放たれたのを目撃して、反射的に発した言葉だった。
背後からのミサトの声に反応したニヤは振り向き、目の前に迫るショートソードを視認と同時に反応する。
「そんなものっ!――――――――投げたら――――――――っ!」
迫るアスファルトギリギリに放たれた一投目のショートソードの柄を掴みして、ニヤは右回りに身体を回転して二本に放たれたショートソードも回転スピードを生かして握り取る。
「危ないだろ!何考えてんだよ!・・・・って、おねーさん誰?」
ニヤは声を掛けてくれたミサトを振り返り、首をかしげる。
「ニヤ君!前っ!」
背後を振り返ったニヤに小柄な影が猛スピードで肉迫する。
「オラオラッ!他所見たぁ余裕だなぁー!ニヤ!!」
肩に担いだロングソードを一閃。
ニヤはショートソードで受け止めるのではなく、受け流す。
逸れた剣の切っ先がニヤの足元をアスファルトを粉砕する。
剣で受けていたら剣ごと真っ二つにされそうな攻撃力だった。
「ヤバッ!ノーマン並みの破壊力じゃん!」
足元の確認と同時に、サイドステップ。
「おねーさん!胸の前でクロスガードッ!!」
ニヤがミサトに叫ぶ。
「えッ!?こっ、こう!?」
帰ってから食べようと帰宅途中で買ったコンビニ弁当の入った袋を持ったまま、胸の前で腕をクロスに構える。
瞳を蒼く光らせたニヤがミサトの目の前に突如現れる。
「ちょっと痛いけど、大丈夫だよね?」
ニヤが高速で背を向けたと思った刹那、ミサトのクロスした腕に衝撃が走る。
「大丈夫って…っ!」
激しい横Gが体を突き抜けると同時に、防御姿勢のまま後方に吹き飛ぶ。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
ニヤのローリングソバットで吹き飛んだミサトは、倉庫街に積んであった段ボールの山に衝突する。
「うおぉぉぉっ!私の晩御飯がぁぁぁぁ!」
ビニール袋が破れ、ぐしゃぐしゃに飛び出た弁当を見て、悲壮感の声をあげる。
ググググッィィィィィ!ガシャン!!
まるで自転車がつぶれた様なプレス音が、さっき自分が立っていた辺りで響き渡った。
ミサトは視線をあげると、歩道の一部がまるで空間を抉ったかの様に円形のクレーターができていた。
「嘘・・・助けてくれたの・・・」
呆けたままl視線を彷徨わせて、自分を蹴り飛ばしたニヤの姿を探すが見当たらない。
慌てて周囲を見渡す。
「居たっ!?」
少し離れた倉庫の前で、ニヤと対峙する小柄な襲撃者の姿を発見する。
「これはスクープよっ!ここで撮らねば、私の弁当が浮かばれないよ!」
ミサトは背中に背負ったデイバックからカメラを取り出し、撮影を開始したのが事の始まりだったそうだ。
映像の続きを再生する。
「ミカド?お前!ミカドかぁぁぁぁぁぁ!」
暗闇に瞳を蒼く輝かせながらニヤは立ち上がる。
瞳の中心のクロスの模様が時計回りで45度回転し×マークに変わる。
「フッ、ようやく本気出す覚悟が決まったみたいだな!?」
対するミカドと呼ばれた少年も煌々と紅の瞳を輝かせる。
瞳だけ見れば、間違いなく赤星帝の魔眼で間違いないだろう。
「お前が本物のミカドなら本気でやるさ!」
ニヤが両手に構えた赤いショート・ソードはグラディウスと呼ばれる特殊な武器で、おそらくアリーナでミカドが王者に上り詰めた時に装備してたやつだ。
六界製グラディウス・レッドシリーズの「フォボス(狼狽)」と「ダイモス(恐怖)」色合いの違う赤い刀身の二刀はアリーナで赤星帝の「赤」のイメージを何より人々に印象付けた。
まさに、金額が付けようが無い、とんでもないお宝だ。
そんなお宝を投擲ナイフみたいに投げつけるなんて…何考えてるんだ?
「そういうお前も一番なんだろう?首席だって?…フン、入学祝いだ!その2本はお前にやる」
少年は深紅のロングソードを肩に担いで不敵に笑う。
入学祝いとか、親とか親戚みたいなこと言ってるけど、姿が子供だと実に滑稽だ。
ただ、中身がいい歳のおっさんなら納得な言動と言える。
「ってさ!なんでガキんちょになってんだよ!ミカド!父親がガキんちょなんて恥ずかしいだろ!」
少年に剣先を向けて叫ぶニヤ、普段は飄々としてるのに流石に動揺は隠せない様子だ。
はっ?
今、コイツ《父親》って言ったか?
ふと、横を見ると、アリスと安綱もニヤの衝撃発言で完全に硬直してるぞ。
俺は魔眼と神眼の話し辺りから、ひょっとして親子か?って感じしてたからさ。どっちかというと子供の頃からの憧れのスーパースターが子供の姿になってる方がショックだ。
「フロア40でな、門があったわけだ。俺らが初めてだから名前はまだねーけどな、それを皆で通ったら、俺だけこのざまだ」
自虐的に笑いながら頭を掻く。
現在エボでフロア40に到達してるのは僅か2チーム十二名、六界とUSAイーグルだけだ。
って、オイオイ、ノーマンのおっさん何にも教えてくれなかったじゃん。
そもそも、各フロアに点在する「門」の存在は公に公開されてない。
フロア5のバベルの門、フロア10の獣界門の存在以外に門は存在するって事らしい。
門の存在を知ってるのは島の中の住人だけって事らしい。
コレだけ世の中ネットやSNSなんてものが普及してるのに、どう言う情報統制してるんだろうな?
好きでいろいろ情報収集してて、オマケに両親はステアーズなのにだ!
ちなみに学園でも、実際に塔登するまでは何の前情報も教えてもらえなかったわけで…。
俺の心情とは裏腹に、モニターの中の少年ミカドとニヤの戦闘は加熱していく。
「ナリは縮んだが戦闘力はどうだろうな?失望させるなよ――――――――!」
ミカドの姿が消える。
ガッキーンィィィィィィィーン
二刀をクロスにしてミカドの縦回転の斬撃を受け止める。
倉庫の暗がりに中、激しい火花が散る。
「ぐっ!!」
予想以上の斬撃の重さに、攻撃を受け止めたニヤの片膝が地面に付く。
「俺を満足させたら、もう一つとっておきをお前にやろう!」
ミカドはバク天で距離を取り、ニヤに右手を突き出す。
「エグれ!」
突き出した右手を握り捻る。
ニヤは居た空間が1メートルほど球体状に歪み切り取られる。
「アレはさっき私の諸共ニヤ君を狙った技!?魔眼の支配力がヒトだけじゃなく空間に作用してるの!?はぁ、ズルくない!?空間に命令とかそんなの完全にチートじゃん」
撮影者のミサトの声が入る。
歪んだ空間を避けたニヤはミカドに向かって突進する。
「100倍!」
高速で突撃するニヤが、二人に分身して左右に別れミカドに同時に四刀を振り下ろす。
ミカドは口の端を吊り上げて笑んで、一切身動ぎせず真っ赤に光る瞳で見据えて一言発する。
「止れ!」
その言葉で二人のニヤは急停止し、振り下ろした剣先がミカドの眉間すれすれで止り。分身体の片方がブレて分身が解ける。
「150倍っ!!」
脂汗を流しながらニヤは叫ぶ。
見えない鎖に縛られた拘束を、ニヤは力だけで打ち破ると再び距離を取る。
「はっ!!150倍かよ!悪くねぇ」
追撃を嫌がって離れたニヤを品定めするように見つめる。
「クソッ!!」
悔しそうにミカドを睨むだニヤは高速移動で姿を消す。
「戦力差がハッキリしたな。俺のギフトはお前の150倍ってわけだ!」
勝利を確信したミカドはほくそ笑む。
「ハイハイー!ストップ!」
突然、安綱が一時停止ボタンを押す。
「何止めてんだよ!お前は!トイレとか言うなよ!」
「うお、今時それ言うの!天満くん!それセクハラだから!」
アリスまで変な言いがかりつけてくるし!
「違うわよ!あのさ皇帝がお父さんで小っちゃいとことか…いろいろ突っ込む所はあるんだけどさ、解んないのが魔眼と神眼て何が違うの?アリス知ってる?」
「知ってるわ!ズバリ!光る色が違う!」
人差し指を立てて自信満々に言う。
「違うし…」
じゃぁ、と二人の視線は講師のシャオロンに向かう。
「あー天草ぁ、面倒臭いから説明してやって」
手の平をひらひらとしながら、右から左へ受け流す。この人、面倒なこと全部俺に丸投げしてくんのな。
「そんな顔するんじゃないよ、こういうのは得意な人がやった方がわかりやすいんだって」
俺もあんたの生徒なんですが…。
「えっと、簡単に説明すると、ギフトの有向量の違いってヤツで、瞳から外へ向かって能力が作用するのが《魔眼》で、ギリシャ神話ゴルゴーン姉妹の石化とかヴァンパイヤの魅了など、対象と視線を合わせることで事象が発現するんだ」
皇帝も視線を合わせることで、その対象を支配してる。
「一方、神眼は瞳の持ち主に作用するんだ。透視、千里眼、予知から、身体強化に限界突破等々、内側にギフトが干渉するもので、ニヤのは身体強化系で基本能力を倍に倍にしていく、ギフト名が200×(Two Hundred times)ってぐらいだから200倍まで戦闘力を上昇させることが可能なんだろう」
戦闘持続時間がどれだけ持つのか?防御力も同様に上がるのか分からないけどな。
150倍で皇帝の瞳の支配から逃れられたとしても、皇帝と足らしめているのはなにも瞳術だけじゃないからな。
「と云うことだ…参考になったかぁ」
何がと云うことだだよ、このおっさんは。
「ってことは、200倍ならニヤ君勝てるんじゃない!」
「うんうん!150倍で瞳術を破れるなら余裕だよね、安綱ぁ」
お前らは興奮して何を言ってるんですか?
「ニヤ、集中治療室で絶賛現在進行形で意識不明なんだけど」
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