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プロローグ 降下直前

2020.12.12

プロローグの改編しました。

内容は変わってないですが、少しオープニングをわかりやすくしました。

キャラのやり取りも少し変更してます。

前より良くなってれば、幸いです。

 ――ステアーズ養成機関《進化学園》入学セレモニー前夜――



 今から二十年前――。


 宇宙から地球へ向けて、巨大構造物が落下する可能性が極めて高いというニュースが、瞬く間に世界を震撼させた。


 アメリカのNASAは公式の公式発表では――。


 地球軌道に接近している謎の構造物は、全長約35km、直径6kmの円筒型。

 推定重量は、最低でも百億トンの巨大構造体が地球の重力に引かれ落下すると発表した。



 そのニュースはまたたく間に世界中に広がり、人類は世界の終わりを覚悟した。


 パニックを避けるため、あえて落下地点の公表は控えられたが、逆に世界中がどこに落ちるか疑心暗鬼のなり、昔のハリウッドの災害映画のように、都市は混乱に包まれ、人々は叫び、逃げ惑い、そして神に祈った。


「なぜもっと早く発見できなかったのか!?」


 ニュースキャスターは絶叫し、各々の政府を糾弾し、天文機関は責任を追及された。


 落下地点はどこか。

 被害想定はどの程度なのか…。

 破壊は可能なのか。

 海上落下の場合、津波はどこまで届くのか。


 世界中のシェルターは売り切れ、山へ逃げる者が続出し、大富豪は宇宙脱出すら計画したという。


 そして――


 構造物が衛星軌道へ突入した直後。

 国連はついに落下地点を発表した。


 日本。本州中央部。


 俺の父は当時を振り返り、こう語った。

「ああ、日本は終わった…とあの時は本気で思ったさ」


 在日米軍と自衛隊がスクランブル発進し、ミサイル攻撃を敢行。

 だが――破壊は不可能だった。


 誰もが絶望し、祈り、終わりの瞬間を待った。

 しかし、結果は――



 

 何も起こらなかった。


 巨大構造体は静かに、本州の太平洋側の離島へと着陸したのだ。

 まるで、そこを最初から目的地としていたかのように。

 


 その塔は後に――進化の塔《エボリューション・タワー》

 と呼ばれるようなる。


 内部は迷宮構造。

 未知の怪物が闊歩し

 地球外の技術によって管理されていた。


 そして――


 塔を登った者にのみ与えられる、超常の力。


 《ギフト》


 人類は、新たな進化の可能性を手に入れた。

 そして塔が刺さった島を――我々はこう名付けた。

 進化島《エボ・アイランド》

 最も有名な場所となったこの島に、世界中から人々が訪れるようになった。


『――そして開校して十年! 我々進化学園は優秀なステアーズを輩出し続けています!』


 巨大モニターから、明るいナレーションが響く。


「……これ、何回目?」

 隣で黒髪黒眼の少女――渡辺安綱がうんざりした声を出す。


「もう五回は見たわよ……」

 金髪碧眼のアリス・リデルも肩を落とす。


「しょうがないだろ」

 俺――天草天満は苦笑するしかなかった。


「今夜の放送は進化学園の一社提供なんだからさ」


 

 進化学園入学セレモニー。

 全世界同時生放送。

 

 俺たちは――その主役なのだ。




 現在時刻、19時。


 場所――

 太平洋上空一万メートル。

 俺たちは、航空自衛隊の大型輸送機の格納庫に座っていた。


 フライングスーツ。

 ヘルメット。

 パラシュートのバックパック。

 さらに、各々それぞれ武器を装備。


 輸送機が大きく旋回する。

 機体が傾く。


「見ろよ」

 俺は窓を指差す。

「見えてきた」

 雲海の向こう。


 満月に照らされた島。


 そして――

 それを貫く、黒い巨柱。

 空を切り裂くようにそびえる、絶対的な存在。

 進化の塔《エボリューション・タワー》


「……大きい」

 安綱が呟く。

「てっぺん、見えないじゃん……」

 アリスが息を呑む。


 直径6km。

 全長35kmの円筒形の塔。


 それはもはや建造物ではなく――

 巨大な壁のようだった。


「ねぇ、今更だけどさ…」

 アリスが言う。

「なんで私たち、空から降りるの? 海からでよくない?」

「極寒ダイブは嫌よ、って言ったじゃない」

 安綱が顔をしかめる。


「お前らなぁ」

 俺は笑う。

「これから潜入する場所に比べりゃ、こんなの屁みたいなもんだろ」


「屁みたいなもんって?」

 安綱の目が細くなる。


「デリカシーゼロ」

「バカ丸出し、下品だわ」

 たった一言で、ひどい扱いだ。


「お前ら試験前から、知ってただろ! 入学試験の成績優秀者はセレモニーに参加するって!」


「嗚呼ぁぁぁ!!」

 アリスが頭を抱える。

「手を抜けばよかった! 公開処刑よ! 絶対! 」

 安綱も同様に頭を抱える。

「降下してから放送よね?」


「たぶんな」

 

「お前ら、放送禁止用語言うなよ」

 中指立てたり、しそうなんだよなコイツら…。


「「言うか!!」」


 即ツッコミ。

 その時。

 モニターが切り替わった。


 金髪ショートの女性。

 『こんばんは! 進化学園校長、カーミラ・D・サトウです』

 若い。

 明らかに若い! 二十代半ばだろ…この人。


「校長!?」

 全員同時に声を出した。


『そうよ、改めて、進化島にようこそ! 』

 どう見ても二十代。

 彼女は微笑む。


『では、これよりセレモにーの簡単なルールを説明しますね』

『皆さんは侵入者役として島に降下していただきます』

モニターに塔の周りに旋回する輸送機のアニメーションに切り替わり、降下する俺達のデフォルメされたキャラクターが塔に侵入する。

『皆さんは、警備のステアーズに捕まること無く、塔を目指してください』


『塔の中心部に到着したら、掲示板が設置してあるので、署名した後引き返し島から脱出したらゴールです』


 簡単に言うと――

 鬼ごっこ。


 ただし相手は武装したプロ。


「捕まったら…死なない程度にボコボコにされるのよね」

 アリスが呟く。

「美女が捕まるのを世界が期待してるのね…」

「やめろ怖いこと言うな」


 ふと。

 俺は隣を見る。


 猫柳二夜。

 首席合格者の無口な少年だ。


 彼は、――震えていた。


 ガクガク。

 ガクガク。

「おお」

 俺は思わず笑う。


「ニヤ! 武者震いか?」

 女子二人も見る。


 だが。

 様子がおかしい。

「どうした?」

 ニヤが立ち上がる。


 顔面蒼白。


「俺! トイレ!!!!」

 絶叫。

「降ろしてください!!」


「無理だ!!」

 ここは輸送機の中だ!!

「無理ね」

「うん、ムリムリ」

 三人で現実を突きつける。


「漏れるぅぅぅぅ!!」

 股間を押さえて悶絶する銀髪の美少年。


「遠足じゃないのよ」

 安綱が呆れる。

「ニヤくん可哀想」

 アリスが苦笑。

 

 首席がこれか。


 その時。

『降下ポイント到達』

 インカムに操縦席から通信が入る。

 格納庫の赤ランプ点灯。

『降下準備よし!』


 後部ハッチが開く。


 轟音。

 機内に充満する冷気。

 暗闇。

『さぁ、本番だ! 行ってこい!』

 空自の自衛官の声。



「さぁ、トイレに直行よ!」

 ニヤが安綱に突き落とされる。


「うわあああああ!!」

 ニヤが闇へ消えた。


「容赦ないな」

「試験で負けたから」

 安綱が言う。


 この女怖い。

「じゃ、また後で!」

 迷いなく、続けて彼女も飛ぶ。

 

 いよいよ、本番だ。

 俺はアリスの手を取る。

「お姫様、お手を…」

「ありがとう騎士様」

 彼女は笑う。

 

 俺たちは一歩踏み出す。

 満月の下。


 進化の塔を目指して。

 暗闇に飛び込んだ。



読んでくださってありがとうございます。続きが気になった方はブックマーク、広告の下の☆☆☆☆☆から応援していただければ励みになりますので、よろしくお願いします。



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