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あれが柔らかい第9話


「ングェッ!!」


ポヨン。


空から落ちていはずの俺を別の感覚が襲う。

なんだ…?この顔を包む柔らかい感覚は……


「お帰りなさい〜。どうでした〜?」


「(この柔らかさはまさか……)」

慌ててそのナニカから顔を離す。


「ぬおぉぉぉぉぉぉ!?」


そのナニカはまさしく、ラメエルさんの豊かな胸だった。


「お、下僕がだらしない顔してる」

「スケベねぇ……」

「ちょっ!!違っ!!」


ラメエルさんの後ろでガブリエルさんとメタトロンさんがなんか言ってる。やめて欲しい。


「で、どうでした〜?」


俺は慌ててラメエルさんから離れる。


「あ、えと、その、だ、大丈夫でしたですよ!!」

「?でしたですよ?」

「大丈夫です!」


だめだ。あの感覚が頭から離れない。……あんなに柔らかいなんて……


「下僕ー。鼻の下伸びてるぞ。」

「どスケベねぇ…」


黙ってほしい。


「と、とりあえず、神様から直接…えっと、啓示?でしたっけ。受け取れるようになりました」

「よかった〜。人間が神の間に行くなんて初めてでしたので〜。」

「ちょっと待て」

「無事で何よりです〜。さ、帰りましょうか〜」


スタスタと元の道を戻るラメエルさん。まさに堕天使……


「あいつが喫茶店やるって聞いた時は世界が終わるのかと思ったよな……」

「あの子、やることなすこと大体裏目にでるから……堕天使の素質はあると思うけど」


ガブリエルさんとメタトロンさんはこそこそと何かを話している。よくは聞き取れないけど、聞き取らない方が幸せだと本能が叫んでる気がするし、俺もさっさと出ていったラメエルさんを追いかけることにした。


☆☆☆


「いや〜。今日はお世話になりました〜」

「なんかほんとすみません……」

「おう!またクソ野郎捕まえたら呼べよな!!」

「私的には仕事が増えるので嫌だけど……ふふっ。まぁ、何かあったらまた来なさい」


俺とラメエルさんは再び天国の門の前で二人の天使に挨拶をする。


「お、そうだ。ほら、被害者の子。メタトロンが記憶消しといてくれたってよ」

「助かります〜」


メタトロンさんが双葉さんの今日の記憶だけ消したらしい。たしか記憶を消すのはかなり簡単なんだとか。まぁ俺にはどっちも無理だが。

ラメエルさんが双葉さんを抱え、黒い羽を広げた。


「さぁ〜因幡さんも行きますよ〜。しっかり捕まっててくださいね〜」

「えっ、行きみたいにテレポートじゃないんですか!?」

「あれは行きだけですよ〜。帰りは飛んで帰るんです〜。ほら〜腰に手を通して〜」

「ちょ、ちょっとそんなとこ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ!!!」


すごい速さで飛び立つラメエルさん。


「顔真っ赤だったぜ。下僕」

「本当にドスケベねぇ……」


一瞬、後ろでそんな声が聞こえた気がしたが、風の音にかき消されてしまった。


☆☆☆


ふぁさっと店の前の道路に降り立つラメエルさんと俺。


「到着〜。やっと帰ってきましたね〜!」

「…………っ」

「さて因幡さん〜。初めての天界旅行どうでした〜?」

「………ふ、」

「ふ?」

「袋……ぶ、ブォェェェェァァァ!!」

「うわ汚っ」


盛大に道路に吐瀉物をぶちまける俺。……さらっと語尾の伸びが無くなるくらいキモがられてるの結構傷つく……


「本当に人間は弱いですね〜。空とんだだけじゃないですか〜」

「普通の……に、人間は……生身で空を……飛ぶ経験が無いんですよ……」

「へ〜。じゃあ私はこの子を家に送り届けてきますね〜。今日はもう帰っていいですよ〜」


そう言って再びどこかに飛び立つラメエルさん。

今日1日でとてつもない疲労感に襲われた俺は、何とか家まで辿り着いたが、玄関で撃沈した。


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