真夏の再会の第10話
あの日から特に大きな事件もなく、俺は本来の喫茶店のアルバイトとして週5回働くことおよそ2週間。
遂に明日からは新学期が始まってしまうのだった。
「……北の大地の夏休みは短い……」
「大人になると長期休暇なんてそうそう貰えないですよ〜今のうちに青春しとかないと〜」
「……堕天使に大人の人間の意見を聞かされるなんて……」
そして夏休み最終日なのに出勤。まぁ、基本暇だからいいんだけどさ。
この喫茶店『神の雷霆』での仕事内容は簡単に言うとこう。
・棚やテーブル、カウンターや床の掃除
・在庫のチェック
・カップや皿、その他道具の洗い物
・たまに来る客への対応
・ラメエルさんのお守り
……最後の一つはおかしい気もするが、事実。
ラメエルさんはここではあまり働かない。基本カウンターの椅子に座ってコーヒー飲みながら1人で読書をしている。……現に洗い物をしてる俺の前で今も。
「にしても、本当にこの店客来ませんね。2週間働いてまだ10人くらいしか見てないですよ」
「まぁ〜場所が場所ですしね〜。それに喫茶店が儲からなくても裏の仕事がありますから〜。給料はちゃんと出しますよ〜」
裏の仕事とは『少年少女を守ろうプロジェクト』略して『SSP』の事だ。性犯罪が起こった、又は起こりそうな場所にラメエルさんと俺で向かい、犯人を捕まえて天界に送り付ける、一ヶ月前の俺には想像もできない仕事だ。ちなみに、天界に送り付けられた犯人はその後どうなるのかは俺もわからない。
「にしても、学校ですか〜懐かしいですね〜」
「え、堕天使や天使も学校とかあるんですか?」
「はい〜。そこで色んなことを学んでこうやって仕事につくんですよ〜楽しかったな〜」
「…………」
「?どうかしましたか〜?」
「あ、いえ、なんでもないです」
俺は正直学校にいい思い出なんて全くない。イジメ……とは行かないまでも、イヤガラセの対象だったから。仲のいい友達も2人くらいはいるけど、俺に関わるとあの2人まで巻き込まれそうで、迂闊に声をかけられない。
まぁ、そんなわけで俺は学校が楽しくない。明日が苦痛で仕方ない。
「さて〜、今日はもう人来なさそうですし、今日はもう帰っても良いですよ〜。明日から学校なんですし準備とかあるでしょ〜?」
「え?でもまだ4時ですよ?いつも6時とかじゃないですか」
「いいんです〜ほら〜帰った帰った〜!」
ラメエルさんにグイグイ押され、外に放り出される。
「全く……」
ラメエルさんは変な人だ。でも……
「悪い人では無いんだよなぁ……」
まぁ、堕天使を人と呼んでいいのかは微妙だが。
「あ、エプロン持ってきちゃった。……明日も出勤だし、その時でいいか」
俺はその場から立ち上がり、家に帰ろうとーーー
「あれ、大地?」
「なにしてんの?」
ーーー振り返った先にいたのは、俺の数少ない友達、『白老 黒兎』と『遠藤 紗耶』だった。




