26話目 準備
さっきまで寝てました。
翌日は朝からけが人の状況の確認、主に治療効果の確認だが、それと病気の診療もした。
子供の中には数人栄養失調気味の子が幾人かいたが、それ以外は病気らしい病気は見当たらなかった。
持ってきていた総合栄養剤を飲ませたりした。
ガウスレバス市でも気になっていたのだが、俗に言う浮浪児と呼ばれる子供がこの村でも幾人か見られる。
一応そんな子供達には村で小さな小屋のようなものがあてがわれていたり、そのつど簡単な仕事をさせて小遣いを与えているようだが、それ以上のことをしようとは考えていないようだった。
社会福祉に対する考えがほとんど無い。
衛生に関する知識や関心も低い、医療に関する知識も市から離れると民間療法が主になっている。
根本からどうにかしないとダメなんじゃないだろうか?そんなことを考える。
ガウスレバス市に戻ったらガルバジさんに相談してみよう。
ちんみにポラスは今朝早く応援を求めて出発している。
「タスクさん、ありがとうございます」村長が声をかけてくる。
「いえいえ、治癒士として来ているのですから当然です」
「それにしてもです」
「そういえばポラスさんはそろそ着きましたかね?」
「もうしばらくだと思います、明日の昼には応援を連れてきてくれればいいのですが…」
「大丈夫ですよ、信じましょう」
しかしその予想は裏切られた。
しかも良いほうでだ。
翌日では無く、その日の夕方には応援が到着したのだ。
ポラスinガウスレバス邸、村を発ったその日の午後
時間は少し前、ポラスはガウスレバス市に急いで戻った。
幸い魔獣に遭遇することも無かった、午後2時過ぎには着いたのだ。
魔獣の襲撃を報告し、明日には向こうに戻らなくては!
「ポラスです、危急の件があり戻りました」ガウスレバス邸敷地内にある衛兵待機所に戻り声をかけた。
そこにはガウスレバス家近衛隊隊長のガウバウセレス様が居た。身長は170センチにちょっと届かない程度なのだが、腕の太さがすごい。
身長に対してかなりがっちしりした体格に見える。見栄えも悪くなく丁寧な物腰でいれば幾人かの女性はすぐにその気になってしまうだろう。
ガウバウセレス様ははガウスレバス家の長男で、中央で一通りの訓練を受けてきた軍人だ。今は家を継ぐのと地元での実績を積むために1年の半分ほど自領に戻り近衛隊隊長をしているのだ。
つい先ほど中央から戻ってきて待機所で雑談をしていたようだ。
「どうしたんだ?」
「はい、タスク殿をコシロ村に案内したのですが、村が数日前から魔獣に襲われており孤立状態になっています、至急魔獣討伐の応援をお願いします」
「タスク殿というとセフォリアの病気を治してくれた治癒士か?」
「はい、そうです。ですので急ぎお願いします」
「わかった、恩のある方だ。父う…当主様に報告しすぐに行く、皆は準備してくれ。それと非常時と言うことで家に戻っている者にも伝えてくれ」
衛士にしても近衛にしても領主宅に住んでいるわけではない、普段は家族のいるものは町の家で、独身者もどこかの下宿や長屋のようなところに住んでいる。
それらの者にも連絡を入れ、討伐に出てるあいだの市中の治安維持を指示するためだ。
ある意味、衛士や近衛は軍隊としての役割とともに警察のような治安維持や捜査なども行うことがあるのだ。
ガウバウセレス様は報告に行くと言ってその場を離れた、我々は討伐の準備だ。
準備しているあいだにカベル殿がやってきて色々と聞かれた。
「ポラス、魔獣はどれくらいでどんなのだ?」カベル殿が指揮をとられるのか?
「はい、バウベアはいるようです、他には私は見ていないのですが村人の話では他に3種類ほど、全部で20匹ほどいたようです」
「バウベアまでいるのか、それはなかなかに手ごわいかもしれないな」
「カベル殿が指揮を執られるのですか?」
「いや、今回はセレス様が指揮を執られる。私は残って治安維持と他の村の状況も確認しないといけない、今まで魔獣が種類を越えて群れを作るなどなかったからな、念のため見に行かせないといけない」カベル殿はガウバウセレス様を親しみを込めてセレス様と言っている。2人は中央で一時期一緒に訓練を受けていた時期があるらしい。
その後は準備を進め明日の朝一には出発できる準備を整えた。
が、しかしガウバウセレス様が戻られ開口一番、「今日のうちに出発する。領主様よりバサラで行くことを勧められた、すぐに出れば夕方には着ける筈だ、急ぐぞ!」
今日のうちに出発するとは思っていなかったのでそれからは大忙しだった。
しかしバサラに乗っていけば2時間もかからずに着けるだろう、今日中に着けるのなら急がないと!
まだまだ書きたいことがありますが、文才が無いのと遅筆なのでとなかなか進みません。
何度も言っているかもしれませんが、ほんと遅いです。
はぁ…、もう少し文才と早書きが欲しい。