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【連載版】学校一の美少女だった”元”後輩と同級生になった。〜先輩って呼ばれなくなったのに、前より距離が近いのはなんでだ!?〜  作者: 西城 有瀬


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二人の関係

 見て見ぬ振りを突き通そうかと思案したのだが、そのまえに例の2人は私たちの存在に気づいてしまった。無論、"例の2人"とは私たちのよく知る蓮先輩と花嶋さんだった。


 お互いに沈黙の時間が流れる。

 気まずい、見てはいけないものを見てしまった気がして少し申し訳ない。


「あ〜、ごめん……お楽しみのところなんか、邪魔して悪かったな……俺らは全然気にしてないから、な?」


「は、はいっ!?」


 成瀬くんに急に話を振られ、ぎょっとした。

 体がビクンッと心臓と共に跳ね上がる。

 ……なになに! 話合わせろってこと!?


 アイコンタクトが表す意味は「はやく離れるぞ」ってことだと思う。


「ほら、そろそろ帰ろう! お前見たい映画あるって言ってたじゃないか……あはははっ」


 と、続けるけれども。

(……いくらなんでも強引過ぎるでしょ、それは!)


 成瀬くんは普段の笑顔からはそうそう程遠く、作り笑い感が満載だ。しかし、俯瞰で見れば絶対に嘘だろうとわかる、そんな口からでまかせがまかり通るのかと甚だ疑問に思ったのだけれどここは藁にもすがる思いで彼に便乗することにした。結果の善し悪しはこの際置いといて。


 私は必死に頷いてみせる。


「あー、はいはいはい! あれですよね!? あのー、今流行りのアレですよね、アレ! えーっとなんか……」


「そうそう! あれだよアレ!」


 思わず、フィラーが出てしまう。

 

 プレゼンのときやコミュニケーションで何かと助けてくれるとどこかの文献で読んだことがあるが、今じゃない。逆に焦ってると勘づかれて逆効果だ。


 私たち2人は意味不明な中身のない言葉をこれでもかというほど羅列して足早に立ち去ろうとする。今すぐ逃げ出したい気分だったが、同時に疑問が私の脳を埋め尽くす。


 は、はぁ〜っ……!?

 な、なにこの2人。仲悪いんじゃなかったっけ!? いわゆる犬猿の仲みたいな雰囲気だしといて実は影で付き合ってるってこと!?


 いやいやいや、意味わかんない。

 だとすればこれは気まずいって……!


 ああ、頭がこんがらがってきた。

 やっぱり今すぐ逃げよう、そうしよう。

 逃げることを決意した。おそらく、向こうも遭遇して居所が悪いだろうしここは早期撤退、それが得策なのだから。


「花嶋さん、じゃあ私たちはそろそろ行くからまた学校でね……!」


「うん、ばいばい!」


 彼女はひらひらと手を振る。

 お、案外うまくいった! などと甘い考えを巡らせたその矢先。


「────って、誤解解けないまま返すわけないでしょ! 付き合ってるとかそーいうのじゃないから!」


 ガシッと手を掴まれた。

 いや! こ、殺される、まだ死にたくない!


「わわわっ……!」


 花嶋さんは私の体を自分の方に引き寄せてゆさゆさと肩を揺らしてくる。


「信じてよー、すずなちゃん! 普通に考えて私がこのキモ男なんかとデートなんかするわけないじゃん! ……断じてないからホントのホントに!」


「う、うん」


「その反応絶対に信じてないじゃん!」


「信じて──」


 なくもないかもしれないけど……実際どうかはわからない。この2人の関係は未だ未知数で測りしれないわけでなんとも言えなかった。


「とりあえず、一緒に買い物しようよ、ね? 礼斗くんも! ほらほら遠慮しなさんな」


「いや、俺は別に……」


「──ね!」


「あ、うん……」


 成瀬くんは諦めたのか完全に服従しきってしまった。さっきまでの威勢はどこにいってしまったのだろうか。




 ***




「────って、ことなんだよ。だから、俺ら付き合ってるとかそーいうのじゃないのわかっただろ!」


「なるほどな……」


 スターバックスのインスタントコーヒーを啜りながら、目を細めて言うのは蓮先輩。その横で花嶋さんはコクコクと相槌をうっている。



 要約すると2人が中学生の頃にとある約束、賭け? をしていたらしい。というのも、花嶋さんが同じ高校に合格したら蓮先輩が美味しいご飯を奢る、そういう単純明快なよくある話だった。


 いかにも付き合う寸前の男女がやりそうなことじゃないの……定期テストの点数の勝負で負けた方が罰ゲームみたいな?


 それを理由に遊びに行くのはデートとほぼ同義みたいなものなのでは、と思ったがここで追求すると特大ブーメランが返ってきそうなのであえて言わないことにする。


「にしても、2人ってどういう関係なんだ? 仲悪かったらこういうことしないだろ」


「前にも言ったと思うけど中学校での先輩と後輩だっての!」


「広義に捉えればな……」


「……好敵手《ライバル》っていう方が正しいかも」


「ライバル?」


 口を挟んだ花島さんの言葉に私は首を傾げた。


「うん、今から3年前に遡るんだけど、私が中学校で生徒会に入ったときにこの人は……! 生徒会長にも関わらず、部室で机に脚を上げて気持ちよさそうに寝てたの、許せないでしょ!」


「……はぁーっ!? いいだろ、眠かったんだよ! 頑張って働いてる生徒会長なんだぞ!」


「いやいや、欲望丸見えだったでしょ! なんで生徒会入ったんですか、って訊いたときなんか『だって推薦で良い高校入れるじゃん、何もしないでさ』とか言い出す人なんか生徒会長なんて言えないですよ!」


「使えるもんは使えって言うだろ」


 あーあ、また始まった。

 いつものヤツ。


 見慣れた光景に、飽き飽きとした私たちは呆れ笑いを零した。

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