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師匠!何してんですか!?  作者: 宇井琉尊
これまで、そしてこれから(過去編)
64/86

マリルの場合(3)

目の前で起こっている出来事に対して私は身体を動かすことが出来ないでいた。

いや、正確には凄すぎる威圧感を出しながら現れたラグラスに対する行動を阻止しようとする動きのみが封じられていた。


「我は我が生み出した世界に興味がある。力なき小さき存在が必死に働き、力ある小さき存在がそれらを守り、それを眺めるのが好きであった。契約者と契約をして、世界に干渉できるようになってその思いも強くなった。そんな我だが、少し我慢ができない事もできた。それが何か分かるか、力なき小さき存在よ」


ラグラスはサヤ達に支えながら座っているアルト君に腕を向けながら徐々に魔力を上げている


「それはな、力なき小さき存在が我のものに関わろうとすることだ。身の程を知れ、馬鹿者が!」


ラグラスはその高めた魔力を解き放ち、アルト君だけに直撃させた


「ぐあぁ!」


アルト君はその力に耐える事が出来ずに、また吹き飛ばされてしまう。

サヤ達がまたアルト君を助けようとしているけど、その身体は少しも動いていなかった。


「お前達もだ。何故そのような力なき小さき存在を気にしている。お前達は我が認めた存在だ。行動に気を付けろ」


ラグラスはその力をもって、サヤ達の身体の動きも封じているのだ。

ラグラスの精霊としての能力は”創成”

精霊の中でただ一人しか使う事が出来ない能力だ。


「ほう、まだ立ち上がるか。だが、もうお前に用はない。去れ」


アルト君が立ち上がろうとしていたけど、またラグラスが力を使いアルト君を吹き飛ばしてしまう。

アルト君はゴロゴロと転がり、そのまま動かなくなった。

私は流石にラグラスを止めようとするけど、契約に縛られている私の身体は動くことが出来なかった。


「契約者よ、何をそんなに慌てている?心配するな、我は力なき小さき存在も好きなのだ。無暗に消すことはせぬ。ただ、力なき小さき存在がその領域を超えて来ることは許さん。身の丈があった所で、暮らしておけば良いのだ」


ラグラスは何でもないようにそう言いつつ、アルト君の所まで歩いて行く


「まだ、意識があるだろ力なき小さき存在よ。聞いていた通りだ。今後こ奴らに接触することは許さん。こ奴らは我のお気に入りだ。その周りをうろちょろされると目障りだ」


ラグラスは、倒れているアルト君を引き起こして、片手で吊り下げている

アルト君は苦しいのか、手足をジタバタと動かしていたけど、その動きも徐々に弱くなってくる。

だけど、アルト君は苦しそうな表情はしていても、目だけはまだ力が残っていた。

実力の差という程生温い言葉で済まないような、差がある相手に対してもその目だけはまだ諦めていなかった。


「その目、まだ自分の身の程が分からんようだな。よかろう、下の者を躾けるのも王の仕事だ。いつも邪魔をする者もまだ来れないようだしな。それまでに徹底的に教えてやろう」


ラグラスはチラリと何かを確認してから、手に持っていたアルト君をそのまま地面に叩きつけた

ドォン!と音が鳴り、土煙が舞う


「ほう、生意気にも精霊と契約しているのか。だが、弱い」


ラグラスはまたアルト君を持ち上げて、地面に叩きつけようとしている。

アルト君の身体には薄い魔力の膜が覆ってあり、叩きつけられる衝撃を緩和しているみたいだ。

そんなことが出来るのは、あのリス型の精霊しかいない。

唯の力なき小さき存在と思っていた相手が、自分と同じ精霊と契約している事にさらに腹を立てたのか、二度目の地面への叩きつけは一回目よりもかなり力が入っていたような気がした。

ラグラスは何度も、何度もアルト君を地面に叩きつけていたけど、アルト君はずっとラグラスを睨みつけていて、リス型の精霊もそのアルト君をずっと守っていた。

今までラグラスがこんなにも長い時間力を使った事はなかった。

何故なら、ラグラスが力を使おうとするとお父さんやマコトおじ様達がすぐに駆け付けて、抑えつけるからだ。

だけど、今回は何故かお父さん達は来ない。

ラグラスを抑えつけられる人がいないのだ。

私は契約に縛られ、サヤ達もラグラスの力に抑えつけられて動くことすらできない。

だから、ラグラスは自由に動くことができた。

誰にも邪魔されずに、自分のやりたい様に、全てが自分に従うという事に一切の疑問を抱かず

だから


「いい加減自覚しろ、力なき小さき存在よ。これ以上はその命すら無くなってしまうぞ。手加減も楽ではないのだ」

「・・・・・・」


一切抵抗出来ないように、実力の差を自覚させるように、何度も、何度も地面に叩きつけていたのに

これで、お仕置きは終わりだと言うように、引き上げたアルト君の目からはまだ力が残っていて、

初めて、ラグラスは格下の相手が自分の思い通りにならない事を体験して、それ故に激怒してしまっていた


「ほう、命がいらないというのか。喜べ、我をここまで不愉快にさせたのはお前が初めてだ。特別に、最後に何か言わせてやる」

「・・・貴方は、本当に王なのですね」


喋る事すらも出来ない程、ボロボロに痛み付けられていたのにアルト君ははっきりした声を出せていた。


「いかにも、我は王である。自覚したなら自分の居場所に帰れ、さすれば今までの無礼な行動は」

「嫌です」

「・・・なに?」


ラグラスの話の途中でアルト君が遮り、その事に対してラグラスがさらに不機嫌になった。


「僕を殺すのであれば殺せばいい。確かに貴方の事は王だと思いました。でも、僕が見た事がある王は、意地汚く、最低で、自分が一番だと思っているそんな王です。貴方はそんな王と同じですよ」

「・・・貴様、本当に命がいらないようだな」


ラグラスが魔力を私から奪いながら高めて行く。

もう本当に、ラグラスはアルト君を消すつもりなのだ


「先程も言いました。殺したければ殺せばいい。僕が知っている最低な王も気に入らない事があれば、すぐに殺していましたよ。僕はそんな中にいました。だから、死への覚悟何てとっくの昔に済んでいます。だから、僕は生きるのです。死が身近にあるから必死になって生きるているんですよ」

「ならば、もういい。望み通りに消してやる」

「”窮鼠猫を噛む”師匠が少し前に教えてくれた言葉です。まぁネズミじゃなくてリスみたいなものですけどね」


ラグラスの力が発揮する直前にアルト君の身体に覆っていた膜がラグラスの腕を包み始めた。


「何だこれは?こんなもので」

「人は弱くても生きていける。生きて行くしかないことだってあるんです。貴方はそんな弱い者の力を知るべきだ。実は結構怖いんですよ?追い込まれた人は何を仕出かすか分かりませんからね。今の僕みたいに」


ラグラスは余裕なのかその膜が右腕全部を包むまで何もしなかった。

多分、取り除こうとすれば出来た筈なのに、アルト君”達”の最後の悪足掻きを木端微塵にその心ごと打ち砕こうとしたのだろう

だから、その余裕が命取りになったのだ


「なに!?」


ラグラスが驚くのも無理はなかった。

その膜は、ラグラスの力を抑えるものでも、アルト君を守るものでもなかったのだ。

その膜は、徐々にラグラスの右腕と同化してしまっている。


「驚きましたか?リーリ、僕と契約してくれた精霊の名前なんですけど、人や物、精霊にも同化することが出来るみたいなんですよ」

「・・・くだらない。我を完全に取り込むことが出来ない時点でその精霊の自我を保つことが出来る訳がない。確かに、右腕を抑えた事は褒めてやるが、それで何になる?」

「確かに、貴方の右腕を完全に把握するまで僕の魔力もリーリの意識も持つことが出来ません。ですけど、リーリが教えてくれました」

「貴様、何を代償に差し出した」


ラグラスの右腕と同化が始まったのか、アルト君を掴んでいた手が開き、アルト君が地面に落ちて座り込んでしまう。

アルト君は、何故か頭を支えながらラグラスをそして、私を見てくる


「貴方の右腕と完全に同化すれば、貴方の右腕は貴方の物であって違う物になってしまう。それだけで十分ですよ。それが出来るのであれば、僕の記憶がなくなろうと、僕が死んでしまおうと関係ない。僕は、貴方が言ったようにちっぽけな存在ですから」


パリィィン!!


アルト君がそう言った瞬間。何かが割れたような音がした。

それと同時に物凄い量の魔力を感じた。


「・・・・アルトはちっぽけな存在なんかじゃない」


私やお父さん達をも遥かに超え、ラグラスにも匹敵するような魔力の塊。

いや、サヤが自分のその魔力でラグラスの縛りを無理やり破ったのだ。

そして、その魔力がミヤやアヤまで流れ込んでいき


「アルトお兄様は自分を卑下し過ぎです」


氷のような白い靄を纏いながらミヤも動くことが出来ていた


「兄さんの記憶がなくなるとか止めて下さい。それは私達とのことも忘れてしまうという事なのでしょう?そんなの」


アヤもクーリおば様のように狐火を纏いながら飛び出すように構えている。


「「「「許せる訳がない(じゃないですか)」」」」


三人がそれぞれ飛び出して行き、ミヤとアヤがラグラスを魔法で縛り上げ、サヤがラグラスの近くに座り込んでいたアルト君を私の傍まで連れて来た。


「・・・・後は、マリルの番。精霊の事は私達は分からないから」


そう言って、ラグラスを抑えるために向かって行った。

流石のラグラスでも、右腕が思い通りに動かない事と自分と匹敵する程の魔力の持ち主であるサヤが近くにいる事で、暴れる事が出来ないでいた。


「・・・うぁ?」


連れて来られたアルト君を見ると、アルト君も丁度私を見た所で、

だけど、今も代償として記憶を抜かれているのか、反応がおかしい状態であった。


「間接的精霊契約」

「お父さん!?」


そんなアルト君の姿にショックを受けていたら、すぐ傍からお父さんの声が聞こえて来た。


「確かに、間接的精霊契約ならラグラスの右腕をどうにかすることは出来るけど、私はその制御すら制約で縛られてしまう可能性が」


間接的精霊契約とは、まだ小さなエルフ族の子供に親や師匠が契約している精霊をそれぞれを通して間接的に精霊契約させて、精霊契約がどういうものなのか教える為の方法なのだ。アルト君の精霊がラグラスの右腕に同化した時点で、アルト君を介すればその精霊と間接的に契約することは事実上可能だ。だけど、私はラグラスの行動の阻止という行動を取れないのには変わらないので、結局、右腕を奪っても変わらないのだ。


「そんなことはないのよ。マリル、貴女は少し勘違いしているわよ」

「お母さんまで・・・一体どこにいるの」


お父さん達の声は聞こえるけど、その姿は一切見えない。


「良いから聞きなさい。貴女はラグラスが貴女を見つけて契約したと思っているけど、本当は逆よ。貴女がラグラスを呼び出したのよ。そして、そんな力をもっている貴方をラグラスは恐れた。だから、ラグラスは契約で貴女を縛り付けた。」

「もし、それが本当だったとしても、契約内容で私がラグラスの行動を阻止することは出来ないのだから・・」

「その為の、抜け道はもう開かれた。アルト君が自分の記憶と命を代償にしてね」


私はハッとした。

確かに、今の状況であればどんなことをしたって、私は契約に縛り続けられる。

でも、身体の一部に同化した部分から徐々に侵食させることは可能だ。


侵食型の精霊。


己の力を別なものに侵食させて操る事ができる、精霊やエルフ族の中でも忌み嫌われている精霊の一種。

同化じゃない、侵食それがアルト君が契約した精霊の本当の能力だったのだ。

勿論、私にも暗示が必要になってくる。

ラグラスの行動を少しでも阻止しようと思考が働くと、私は動けなくなる。

だから、ラグラスの事を全く考えずに、その侵食型の精霊の力を強めると言う暗示が必要なのだ


「どうして、アルト君はそこまでして・・・」

「マリル、勘違いをしたらダメだよ。今回彼はマリルの為に動いた訳じゃない。自分が生き残りたくて、足掻きたくてやっと見つけた抜け道がこれなんだ。彼は自分にその抜け道を使う力がなかった。だから、マリルに頼った。そして、マリルはそれを利用するだけ。ただ、それだけなんだよ」


お父さんの言いたいことは分かるつもりだ。

だけど、私はその言葉に素直に頷くことが出来なかった。

私は、一旦お父さん達の言葉を忘れる為に、首を横に振って、アルト君と向き合う

アルト君の目は、どこかぼんやりしていて、さっきまでラグラスに向かっていたような力強さはなかった。


「アルト君は私を利用しようとしました。私も、アルト君が作ってくれたチャンスを利用しようと思います」


その事に少しショックを受けながら、アルト君の顔をそっと支える


「だけど、私は気持ちの整理が出来ていません。これが本当に正しい手段なのか。他に方法が無いのか。でも、今は時間がありません。だから」


そのまま、そっとアルト君の唇に私の唇を合わす


「・・・間接契約には、お互いの体液の交換が必要なんですよ。一般的には、血液なんですけどね」


今みたいに、体液の交換でも可能だけど、一般的には、お互い指を少し切って、出てきた血を合わせるというやり方なのだ。


「間接契約開始」


アルト君はリーリと言っていたか、その精霊と上手く契約することができて、ラグラスの右腕を完全にラグラスから切り離すことが出来た。

その瞬間

ゾクリと一瞬で鳥肌が立ち、身体がガタガタと震えだした


「な、なに?」


気が付くと、すぐ傍に誰かが立っていた。


「おう、流石に我慢に限界だぞくそ精霊」

「俺達を隔離するんじゃなくて、娘達の方を隔離するとか変な知恵を出しやがって」


いや、誰かじゃない知っている人だ。

だけど、その人達は知っている人じゃないと思う程、雰囲気が違っていた。


「サヤの魔力の高まりで、結界に穴が開いたから良かったものの・・・・さて、どうするか」


マコトおじ様やノゾムおじ様が手をボキボキと鳴らしながら、私の横を通り抜けて行く


「あ~あ、怒らせちゃったね。どうです精霊の王。貴方は確かに強い力を持っているのかもしれません。世界を作り出し、精霊たちの王なのかもしれません。だけど、今ここでは貴方の味方は誰一人としていません。特に、マコトは貴方が力なき小さき存在と蔑んだこの子の事に対して怒っているのですよ。そして、私達とその精霊も王であるはずの貴方ではなくこちらにいる。貴方は王ではなかった。王のような力はあったのは確かでしょうけどね」


お父さんもすぐ近くにいて、アルト君の様子を見てくれていた。

ラグラスは、右腕が使えない事と今までに見せた事がない雰囲気を出している二人に対して、舌打ちをして消えてしまった。


「・・・・あれ?」


その時、アルト君が目を覚まして周りをキョロキョロ見渡していた。


「良かった、アルト君」


あのどこを見ているか分からないような目ではなく、いつものアルト君の雰囲気に戻っていて凄くホッとして声を掛けたけど、アルト君は私の顔をみて少し顔を傾けていた。

そして


「あ、あの~どなたですか?そして、できればここはどこなのか教えて頂ければ有難いのですけど」


そんなことを言っていた。



お父さんやマコトおじ様達が調べた結果、アルト君の記憶は私達と合う少し前までで止まっていた。

要するに、リーリという精霊の事も、私と精霊の話をしたことも全て忘れてしまっていたのだ。

サヤ達は、自分達の事を忘れていなかったことにホッとしていたけど、私の方をみて何とも言えないような顔をしていた。


「記憶を取られた?」

「取られたっというか、捧げたと言うか・・・まぁそういう感じで、ここ数日の記憶がお前にはないんだよ」

「???取り敢えず分かりました」

「お前、絶対分かっていないだろ」

「はい、記憶が無いので考えても分からないことが分かりました」

「お前、天才だな!」

「マコトは馬鹿だな」

「お前よりはましだ」

「今、普通にディスったな!」


マコトおじ様とノゾムおじ様の二人も、いつものような雰囲気に戻って、いつものように騒がしいやり取りをしていた。


「ところで・・・その~」


アルト君がずっと近くにいる私の存在に戸惑っているのが分かる。

何せ、アルト君は私の記憶を全て無くしたのだ。

その事を知った時、私はかなりショックを受けた。

サヤ達の事は覚えていて、私の事を忘れていた事に対しても少しだけ嫉妬もした。

その事で、私がアルト君の事を少しは意識していた事に気付いた。

だけど、そのアルト君は私の事を覚えていない訳で・・・


「あの~なんで、僕は手を摘ままれているのでしょうか?マリル様」

「様はいらないわよ。私はそうね”アル君”と呼ぶわね」


だから、私は気持ちを切り替える事にした。

アルト君をアル君と呼ぶのもそのためだ。

アルト君は、その時その時今いる時を精一杯生きると言っていた。

確かに、忘れてしまった事についてはショックだったけど、別にアルト君が死んだわけでも、私が死んだわけでもないのだ。

これから、いくらでも”同じ時間の中”で過ごしていくのだ。

だから、これから一杯楽しい思い出を作って行けばいいのだ。


「あら、その顔は何を決めたのかしら」


お母さんが、そんな私達の姿をみてくすくすと笑っていた。


「皆で一緒に生きて行こうと決めたの」


私はお母さんを見ながら、真剣に答えた。


「皆?彼とじゃなくて」


お母さんは少し不思議そうな顔になっていた。

実はエルフ族には、まだ変わった特性がある。

それは、エルフ族が異種族間で結婚した時、片方をエルフ族に変えてしまう事が出来るのだ。

でも、それが出来るのは生涯でたった一度きり。

お母さんは、それをアルト君に私がするのだと思っていたみたいだ。


「ま、まだ、そこまでは想ってない・・はず・・・皆は、皆です」


でも、その生涯たった一度きりしか出来ない奇跡は本当に一人だけにしか有効でなのだろうか?

私には創成という特別な能力を持っている精霊と契約しているし、それを使えれば・・・・

まぁ、そのためにはラグラスをしっかりと躾ける必要があるのだけど。

ラグラスは、侵食が体の半分まで来た時に負けを認めた。

契約の上書は性質上出来なかったけど、今までみたいな態度を取らなくなったのだ。

ラグラスの力が怖くて、ラグラスとの精霊魔法の特訓を今までしてこなかったから、まだまだ時間が必要だと思うけど、きっと成功すれば私が思い描いている魔法が作れるはずなのだ。

だから


「あの~何で少しずつ寄って来ているのですか?」

「なに?私が傍に来たらいけないの?」

「いえ、そうではないのですが・・・あまりにも無防備というか・・・」


それまでは、もし今回の事のようなことになっても、大丈夫のように思い出を増やしていくことにしたのだ。

それに


「キスまでしたのだからこれぐらいは・・・ね?」

「え?」


驚いて、こちらを向いたアル君に向かって、もう一度今度は頬に口づけをしたのだった。

・・・唇はもう少し、自分の気持ちを確かめてから

そう思うと、やっぱりこれから先の事が楽しく思うのであった。

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