↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/86

男三人で・・・

シェルとファルとの件やミリアの件で体がボロボロになってしまい学園を休んでいたけど、もうすっかりと元気になった。

身体の傷や痛みは大分前に治っていたけど、体力や魔力回路が治るのに時間が掛かったのだ。

あと一日様子見で休んだら、学園に戻る事になっている。

・・・・代わりにって言えば良いのか、クーナが師匠達に拉致されてどこかに連れていかれたけど・・・

リース達は学園、ナナシンさん達はギルドの依頼で出ていて、一人だと暇だったから少し散歩をしていたのだけど・・・


「80点」

「・・・75点」

「お、今度はあの娘で・・・・・85点」

「・・・80点」

「主の評価は厳しいですね。っていうか、俺の付けた点数から5点引いているだけじゃないですか!」


何やら道を歩いている女性に点数をつけている二人の男を見つけた。

まぁそれが知らない人であるなら、ここまで困惑はしなかったのだけど、その男というのが


「ダルス、いい加減にしろよ?何の為にここにいるのか・・・」

「分かってますって。でも、暇なんですからしょうがないじゃないですか。この街は可愛い子が沢山いるんですよ!ほら、あの娘とか」

「・・・・・」

「・・なるほど、主はああいう感じの女性が好みですか・・・・何となくリース嬢に似て」

「黙れ」

「へいへいっと・・・・お?」


あまりにも意外過ぎてじっと見てしまっていたら、知らない男の方が僕に気付いてしまった。


「主、主。チビ黒龍の主人がいますよ?」

「・・・分かった」


知らない方の男が、知っている方の男の肩を叩きながら僕の方を指さしている。

凄く気まずいけど、別に無視する必要もないのでこっちから声を掛けることにした。


「久しぶりですね。ケントさん」

「君はそうなのかもな・・・・俺はちょくちょく会っているような気がするが」


そう、道行く女性に点数を付けていたのは、ケントだったのだ。

師匠の弟子という事を周囲から認知されていて、

実力もあり、学園やギルドでも有名で、

貴族でありながらも、それに驕る事なく、皆に優しく、

学園やギルドの中でも、ファンクラブっていうのがあるぐらい、注目されている人が

そんなことをしているとは思いもよらなかったのだ。

そんな、ケントは僕の久しぶりという言葉に苦笑しながらこちらに歩いてきた。


「そうだぞ、あのミリア嬢の襲撃から治療の手配や創造主まで連絡したのは主なんだぞ?」


ケントに続くように歩いてくる知らない男が、ミリアの襲撃の際にケントが何をしたのか説明している。


「そうなのですか。ありがとうございます。何も知らなかったとはいえ、お礼が遅くなってしまって」


確かに、誰が助けを呼んだのか知らなかった。

気付いたら、目が開かなくて、ミリアの過去を聞いて、そのまま戦闘だったから、そこまで考える余裕がなかったのだ。


「別に構わない、たまたま通りかかっただけだ」

「・・・・ところで、そちらの方は?」


何でもないように言うケントの姿に少し嫉妬してしまうけど、気持ちを切り替えて気になっていた事を聞いてみる。

ケントの隣には、ケントと同じぐらいの身長で髪は薄い金髪。容姿もかなり整っていて、ケントの隣に立っても違和感がない存在感がある。


「俺は、チビ黒龍と同じ存在だぞ」

「・・・俺の守護精霊なんだと、お師匠様曰く」

「あぁ、チッタと同じ存在ですか」


それなら、さっきからケントの事を”主”と呼んでいた事に納得できた。

僕と違い、その守護霊をずっと維持出来ているのはケントが魔力量が多い事と魔力操作が完璧だからだろう


「おう、俺の名前はダルスだ。だけど、あのチビ黒龍とは比べ物にならない程強いがな」


チッタと比べられるのが嫌なのか、不貞腐れるように腕を組むダルス。

その姿をケントが苦笑しながらみていた。


「初めて顕現した時にあの黒龍が自我を保っていたのに、自分が暴走してしまったことを気にしているんだよ」

「べ、別に気にしてねぇし!それに、あいつの攻撃は効かなかったし!あれを抑えたのは創造主だし!」

「はいはい、何度も言うな。聞き飽きた」


目の前で二人のやり取りを見て、ケントの様子が前会った時と違う感じがした。

まぁ、前回会った時はお互いあまり冷静ではなく、お互いの嫌な所しか目が行ってなかったような気がするけど・・

それでも、なんだか雰囲気が丸くなったというか、楽しそう・・・

そう、楽しそうなのだ。

前回、会った時はまだ少しピリピリしていたような気がするのだ。


「・・ところで、何をしたのですか?」


二人の気兼ねないやり取りを見ながら、何をしていたのか聞いてみる。

まさか、暇つぶしに女性に向かって点数を付ける事が目的だった訳じゃない筈だ・・・多分。

前回会った状態のケントなら言い切れるのだけど、それぐらい今のケントは楽しそうにしているのだ。


「勿論、可愛い女の子を見つける為」

「違う。いい加減にしろよ?」

「止めて!その固く握った拳に魔力を集めないで!そして、それを振り下ろってぎゃあぁぁ!」


消えた。

ケントが僕でも分かる程、魔力を込めた拳をダルスに打ち込むとダルスが消えてしまった。


「アブねぇ!消滅する所だった!」


そして何事ないように復活した。


「だって、俺守護精霊だから!主と繋がっている状態なら何度だって蘇えるってだからと言って何度も消して良いわけじゃないからなっ!」

「・・・・本当に何で俺の守護精霊がこんなんのなんだ?」


ドヤ顔で復活したダルスにもう一度拳を振り上げながら、ケントが嘆いていた。

そういう姿も新鮮で、なんだか師匠に振り回されている僕の姿と被って見えてしまった。


「お、主。あれじゃないですか?そこの店に入って行きますよ」

「そうだな、少し行ってくる。お前は」

「ここで待ってるよ。ついでにチビ黒龍の主人に説明しておく」

「・・・・なんでだ?」

「今回の依頼は人数が多い方が確実で、この人は俺達に貸しがある。ちょっと手伝ってもらうぐらい良いじゃないかと・・・別に構わないよな?チビ黒龍の主人」


ダルスが僕の肩に手を回して、ニコリと笑っているが、手に力が入っていて、逃げることができない。


「・・アルトです。チビ黒龍の主人じゃなくて、アルトです。今度からそう呼んで下さい。それと、別に暇だから良いですけど、勝手に話を進めないで下さいね」

「オーケーアルト。ってなことで、主は依頼主からの詳細な説明を聞いてきてくれ」


こういう少し強引な感じは師匠を思い出してしまう。

ケントは、少し悩んでいたけど終いには納得して、依頼主だと言う女性を追って店の中に入って行った。


「・・・で、何の用ですか?」

「なんでい、分かってたのか」

「師匠が人を追い払う為の態度と似ていましたからね」


そうなのだ。

このダルスと言う精霊の言動や行動は師匠に似ている所が多々みられる。

だから、きっとケントには言えない何かがあるのだろうと思ったのだ。


「成程、ならきっと俺がいう事がすぐに理解できるだろう」

「何ですか?」

「俺達の存在の事だ」


肩に回していた腕を解き、真正面からダルスが見てくる。

その顔はとても真剣で、さっきまでケントがいた時と全く違う表情をしていた。


「チッタ達の事?」

「あぁ、知っていると思うが俺達は創造主から主達に贈られたミサンガの中にいた。同じ記憶、同じ経験、主の癖や性格。将来顕現してからすぐにでも主の為に力が発揮できるようにずっと中から見ていた。まぁ、創造主のうっかりで鍵が掛かっていて俺たちの意思で出ることが出来なかった訳だが・・・」


その鍵が解かれたのが、ケントとの模擬戦の時で、その事を後から師匠から説明を受けていた。


「創造主が俺達を作った理由は、戦力の為だけじゃない。それだと、俺達みたいに意思を持たせる必要はないからな。だから、俺達は意思を持つためにコアとなる存在を得る必要があった。元々精霊は意思を持っているが、思考が幼く、魔力によって左右されやすい。だから、コアとなる存在を得て、意思を固定する必要があったんだ。それが、チビ黒龍の場合は黒龍の肉と血。俺の場合は、主の願望だ」


精霊はこの世界のどこにでもいると言われている。

ただ、それを感じることが出来る人、見ることが出来る人がかなり限られているのだ。

そもそも、僕たちが使う魔法にも精霊が関与しているとも言われている。


「チビ黒龍の意思はアルトを守ろうとしていた事、そしてアルトの願望は母親・母性、とにかく優しく包んでくれる存在を願っていた。まぁ予想だがな」


なんかそう言われると、母親が恋しい小さな子供みたいで反論したい気持ちになるけど、言われてみると確かにと言う部分もある。

両親、特に母親の温もりと言うものを僕は知らない。

物心ついたときには、奴隷商人に売られ、二度目に会った時には、目の前で魔物に殺されてしまったのだ。

だから、師匠やアマルさんに甘える事はあっても、やはり本当の母親が恋しかったのは本当で、アマルさんが僕を甘やかす度に嬉しくて、でも少し寂しい思いをしていた。


チッタが僕を守りたいと思った理由は何となく検討はついていて

よくナナシさんが「アルトは無茶ばっかりして目が離せない」と言っていた事と同じ理由だろうと予測はつく。

なら、ダルスの性格が師匠と似ているという事は


「アルトが思っているのとは少し違うと思うぞ?主は、友達を欲していた。気軽に話せて、馬鹿話をして、一緒に馬鹿なことをするそんな友達だ。主の周りにいる奴は、主の機嫌ばかりみる。ラミア嬢やミリル嬢は違うが、あの二人は主にとっては守護対象で主の希望となる人は誰もいなかった」


模擬戦の中でケントは言っていた「人の中の孤独だった」と

家柄が能力が、容姿が人並み以上であった故に孤独だったと。

だからこそ、ケントは望んだのだ。

自分のありのままを受け入れてくる人物を

一緒に楽しい事をできる。そんな友達の存在を望んだのだ。


「だから、俺がいる。主の周りで馬鹿な事をしでかすのは創造主だけだったから、性格が似てしまっているがな」


ダルスは僕から視線を外して、ケントが入って行った店を眺める。

どうやら、話は終わったらしく店から二人が出てくるところだった。


「まぁ何が言いたかったと言うと・・・・主の友達になってやってくれ。同じ歳で、同じ創造主の弟子なんだからな」

「・・・・友達ですか」


正直、複雑な感じはする。

別に嫌だとかそんなのではない。

やはり、第一印象が強いのかもしれない。後は、僕の劣等感か・・・


「話は終わったぞ。今日中でけりを付ける」

「了解っと」


ケントが合流して、二人がスタスタと歩いて行くのを慌てて追いかける。


「どこに向かうのですか?」

「・・・・・説明したんじゃなかったのか?」

「はっはは!女の子の話をしていて忘れてた!アルトは中々話が分かる人だぞ」

「ちょッ!」


あまりの無茶ぶりに慌ててしまう。

ケントの視線が少し呆れた感じに見えるのは、被害妄想だけじゃないような気がする。

そして、そんなことを言うダルスはやっぱり、師匠の性格が色濃く出ていると改めて理解したのだった。


結局、依頼の内容はケントが説明してくれた。

簡単にいえば、女性に付き纏っている男性がいて退治して欲しいのだと言う。

騎士や警備の人の仕事だと思うが、相手が冒険者でしかも仲間が多いのだと言う。

そこで、同じ冒険者にも依頼をしたとのことだった。


「それで、相手は誰か分かっているのですか?」

「あぁ、Cランクの冒険者で、素行が悪いと有名な人だ。ランク自体は中堅冒険者だが、実力はそれ以上で仲間も多い。ギルドとしてもどうにかしたかった相手だ」

「そんな相手に勝てるのですか?」

「勝てるさ。俺もCランクだが、実力はそれ以上だと自負しているし、ダルスもいる。君もEランク以上の実力があるだろ?」

「それは・・・そうですが・・・」


正直、ギルドのランクはそこまで信頼はない。

ギルドのランクは上限ではなく、下限を知る為で、実力がない人が高ランクの依頼を受けないようにしているだけなのだ。

最低限、このランクまでの実力はありますよ。ってことだ。

僕の場合は、旅が中心でランク上げに必要な討伐をしてこなかったのが原因であり、現在もそういう依頼は受けていない。(街の中中心の依頼のみ)

たけど、旅の中で色々な魔物を倒せていることも事実で、Eランク以上の実力はあるとは思っている。

ケントの場合は、僕とは次元が違うから何か意味があってCランクで抑えているのだと思うけど・・・


「大丈夫だ。いざとなったら、依頼主の女性を守るだけで良い。敵を倒すのは俺達だけで十分だ」

「・・・・・分かりました」


確かに、ケントの実力にダルスの力が合わせると、師匠達並みの実力がない限り負ける事はないだろう。

そこは、理解できるが自分が劣っているように聞こえてしまう。


「止めて下さい!離して!」


モヤモヤとした気持ちでいると、目の前の女性に数人の男達が近づいているのが見える。


「依頼開始だ」


ケントとダルスがまずは女性の手を掴まている男の手を叩いて、女性を助ける。

僕はその女性を後ろに庇い、ケント達の邪魔にならない所に誘導する。


「誰だお前ら!」

「同じ冒険者だよ・・・お前らと同じと言う部分は否定させて貰いたいがな」

「全くだ。女性を誘う時はもっと優しくだな・・・」

「・・・そういう話でもない」


ピリピリとしていたケントの様子が、ダルスがふざけた言葉で力が抜けて、とても自然な状態になった。

こういう所は、流石ケントの為だけにいる守護精霊だと思う。

あの場で、ああいうふざけた言葉を言う必要があったのかは疑問だが・・・・


「てぇめら、ふざけてんじぇねぇぞ!」

「俺達も依頼で来ているんでね・・・お前たちの行動は目に余る。よって、ギルド、騎士、警備の三部署合同でお前達の制裁が決まった。ギルドから警告書が届いてた思うが?」

「へ、あんな紙切れ火種に使っちまったよ」

「ならば、警告書の内容に従い、お前達を捕まえる事にする」

「やれるもんならやってみろ!俺の仲間はまだ一杯いるんだからな!」


男の周りには十数人の男たちが武器を構えて立っている。

僕がいる後ろの路地からも男達が出てきて、囲まれてしまった。


「たかが、三人でこの人数に勝てるか!」

「なら、試してみたらいい」


そういって、ケントが腕を動かすと数人が空を飛んだ


「・・・え?」

「俺も頑張るぞ!」


ダルスがどこから出した棍棒で一人を吹き飛ばす。


「あら?折れちまった・・・せっかく作ったのに」


ダルスは自作だった折れてしまった棍棒を投げ捨てて、新しい棍棒を取り出した。


「ば、馬鹿な!」

「おい、あいつは英雄の弟子だぞ!」


ケントの姿を改めてみた男の一人がそう叫び、男達の間でかなり動揺していた。


「英雄の弟子がどうした!あいつを倒せば逆に有名になるぞ!」


リーダー的男が声を上げるが、それに続く人はいなかった。


「くそがっ!」


男が闇雲にケントに突っ込んで行くが、ケントは男の攻撃を躱してそのまま当身をくらわせていた。


「・・・・・・・」


男が完全に気を失うと周りにいた男達が逃げようとする。


「無駄だぞ。言っただろ?ギルド、騎士、警備の三部署合同だと。ここに来ていない奴らはもうすでに捕まっている筈だ」


ケントが言ったその言葉で男達の大半が大人しくなった

が


「・・・ふざけんな!」


数人の男達は逆上して僕の方に向かって走ってきた。


「ッ!」


後ろにいた女性がその剣幕に驚いて、小さく悲鳴を上げていた。

ケント達はチラリと僕の方をみて、我先に逃げ始めた男たちの方を追っていった。


「馬鹿め!見捨てられてやんの!」


その姿を見た男達が、勢いを増して突っ込んでくる。

後ろの女性からも絶望した雰囲気が感じられる。


「・・・・舐めないで下さいね」


これでも、僕も師匠の弟子なんですから

その言葉を飲み込んで、いつも腰に差している二本の木の棒を構える。


「はっ!そんな木の棒で何ができるっていうんだ!」


ケントが立ち去る際に見た目は、僕を信じて託したそんな目をしていた。

・・・ダルスは思いっきり、手を突き上げていたから間違いはないと思うが

それが、信頼なのか試験的な何かなのか分からないけど、後ろで震えている女性を守るためには戦わないといけない。


ガキィン!!


男が振り下ろした剣と木の棒がぶつかり、物凄い音がした


「なに!」


驚いた男にもう片方の木の棒を叩きこむ。


「ぐっ!」


ケント達みたいに一撃で気絶させる事は出来なかったけど、ダメージを与えることができた。

その事で、男達は一度立ち止まって様子を見ている。

僕も、今のやり取りで女の人を守りながらこの人達を倒すことは無理だと判断した。

ならやることは一つだけ


「・・すみません。怖いと思いますけど僕についてきて下さい。怖かったら目を瞑っていても構いません」

「・・・・・」


女性は放心して返事を返してくれなかった。

まぁ、ケントに見捨てられたと思って逆上するよりはよっぽとマシだが


「全員で囲んでやっちまえ!女を連れてあの男達が帰ってくる前に逃げるぞ!」


本当なら、しっかりと説明したいところではあったけど、そんな暇を男達が作る訳がなく、今度はゆっくりと僕達を囲みながら徐々に近づいてくる。


「・・・・ごめんなさい」


その言葉は、諦めた事に対する謝罪ではなく、今からすることに対する謝罪で


「キャッ!」


女の人を軽く前に押した。

女の人は僕の事を信じられないと言う顔で見つめていて、その顔が怒りに染まる前に僕も飛び出す

僕が女性を突き飛ばした所為で、男達の囲いに乱ができたのだ。


「あいつ、女を囮に使いやがった!」


女性に手を伸ばそうとしている男に木の棒を叩きつけ、体当たりしてくる男を女性を抱えて飛ぶように避ける。

その勢いでまた女性を飛ばし、それを追いかける。

出来るだけ、男達の連携がしにくい場所を見つけて、そこの間を通り抜けていく。


「ちっ!邪魔だ!」

「お前!こっちに来るなよ!」

「あぁん!お前の方が邪魔なんだよ!」


後ろから男達の争う声が聞こえてくる。

相手の立ち位置、獲物の種類。それらを一気に判断して抜け道を見つける。

そうしながら、男達の包囲網をやっと抜けることができた。

後は、走って逃げるだけだけど


「・・・中々いいタイミングで」

「あいつら想像以上に路地道に詳しくて時間が掛かった」


逃げようと路地に飛び込もうとすると、その路地からケント達が出てきた。

それ以外にも


「くそっ!離しやがれ!」

「大人しくしなさい!」


騎士や警備の人達も来て、次々に男達を捕まえていく。


「はぁ~~」


その光景をみて、力が抜けてしまって座り込んでしまう。

少し手足の動きが悪い感じがしたから、溜めている魔力が底を尽きそうなのだろう

・・・また、あの魔力補給をして貰わなければいけないと思うと、嬉しいのやら恥ずかしいのやらで顔が紅くなってしまいそうである。


「あの!」


そうして座り込んでいると、男達に迫られて囮になっていた女性が僕の前に立った。


パァン!


「え?」


何かと思って顔を上げると、そのまま顔を叩かれてしまった。

女性は怒ったようにそのままどこかに行ってしまった。


「おぉ~こわい」

「・・・不憫な」


叩かれた頬を撫でていると、ケント達がやってきた。


「・・・何で僕だけ」


確かに、怖い思いをさせてしまったのは違いはないが、先に見捨てたように見せたのはケントの方なのだ。

それなのに、僕だけ叩かれてしまった。

・・・理不尽すぎる


「女は怖い。良い教訓だったな」

「煩い黙れ、チッタにもう一度叩かれてしまえ」

「なにを!」


ダリルのあまりの言い草に強い言葉で返してしまった。


「災難だったな」


ケントが座り込んでいる僕に手を指し伸ばしてくる


「・・・貴方も同罪だからな」

「・・・ふん、あれくらい避けれないのが悪い」


意図して言葉遣いを直したら、ケントの方もにやりと笑って憎まれ口を叩いてくる

まだ、ケントに対して色々思う事はあるけど、多分この機をきっかけに変わっていけるのだとそう思った。


「あれ?ダルスは?」

「怖い現場に向かったんじゃないか?」

「???」


いつの間にかいなくなっていたダルスの存在を聞いたら、意味不明な答えが返ってきた。



おまけ


「なに、何なのよ!」

「・・・・・・・」

「ひぃぃぃ!たすけ、助けて!」

「・・・・・・・」

「ど、どうして、どうして誰も来ないの!」

「・・・・・・・」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

「・・・あ、気絶した。誰もいない所から、ナイフが飛んでくるとか普通に怖いですよ。しかも、本人がギリギリ避けれる範囲とか」

「・・見ていて止めなかったすね」

「止めていたら、俺が標的になるじゃないか」

「貴方達も同罪っすけどね」

「おぉ怖い、アルトの奴は俺達が言った言葉がどういう意味か分かってたのかね」

「何の事っすか?」

「いえ、女は怖いって話っすよ。主的にはこの女性が不憫って言っていましたがね」

「・・・・・・・」

「殺気が!あぶねぇ!今本気で刺そうとしただろ!・・・・くそ、いなくなりやがった。どうなってんだ?精霊である俺の目でもどこにいるのか分からなかったぞ・・・」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。