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(140)冬の学院はのんびりと。

 今回は凄い短いです。

 う~ん、他作品に手を付けている間に、一話三千文字が体に染み付いてしまったのかなぁ?

 冬が深まり、太陽はあっと言う間に沈み、寒さがどんどん厳しくなっていく今日この頃。

 冬の一月ももう直ぐ終わりを迎え、冬の二月が迫って来ると、部屋の仲間達もその半分程が焦りを見せ始めてきました。


「生誕祭まで残り八十日も無いよ!?」

「ディジー抜きで八十日しか無いなんて大丈夫なの!?」

「まぁ、収穫祭の時よりは時間が有るんだ。一度経験もした。頑張ろうぜ!」


 と、生誕祭でも出し物をするつもりでいる仲間達の嘆きです。


 私はあれですよ。冒険者協会の仕事に力を入れたいとうっかり溢してしまった為に、今回は裏方でも無い本当に限られた範囲での助っ人です。

 生誕祭では品物が全部売り切れたらそこで店仕舞いと聞いてますから、見ているだけの私としても気持ちは楽だったりするんですけどね?


 実際、フィニアさんやフラウさん達は余裕の態度を崩していないのですから、何の心配も要らないのでしょう。


「屋台が必要なら、それくらいは私で造りたいのですよ?」

「それも店の規模に目星が付いてからの話だよ。今はゆっくりしていればいいと思うよ?」


 フィニアさんにもそう言われてしまって、私は見守る事しか出来無かったのです。


 そんな事が有りながらも、冬の間は随分のんびりした日々が過ぎて行きました。

 私も初めての雪だとかに燥いだり、厚着其の物を楽しんだりもしましたが、冬という季節は誰も無駄に動きたくないのか、ただ黙々と勉学に励む毎日だったのです。

 私も仲間達の言葉に甘えて、冒険者協会の仕事を請け負う日々でしたね。

 案外冬の間も冒険者協会の仕事は有るのですよ。大半が雪で埋もれた街道の荷運びだったりはしますけれど。

 でも、それは今の私が一番得意とする事なのです。


「運んで来ましたよ!」

「今出たばっかりだろうが!?」


 そうは言われても配達完了のサインも貰ってますし、序でに帰り分も配達の依頼を受けて此処まで運んで来ています。

 この時期の配達以来は、協会で取り纏めてくれてますから、冒険者協会間を運ぶだけで済むのはお手軽に済んでいいですね。

 商人ギルドでも似た様な依頼は有りますが、こちらはしっかり行商をする人が運びますので私の出番は無いのですよ。


 そして、これとは別に期待されていない依頼というのも有るのです。

 一言で言うと、薬草採取の依頼ですね。

 私にとってはパリパリ割れる水溜まりも、バリバリ音を立てる霜柱も、空から舞い降りる雪も、どれも初めてで楽しいばかりですけれど、でも薬草だとかは見付からなくなってしまうのだとか。

 それで頼れるのがライザの森から運ばれてくる薬草ぐらいだと言うのですから、それも有って余計に冒険者達までも縮こまっているのかも知れません。


 薬草が無ければ回復薬も作れませんし、そうなれば怪我なんて出来ませんからね。

 冒険者協会には私が回復薬を補充してますけれど、あれは冒険者へ売る為の物では無くて、冒険者協会に駆け込んで来た怪我人の為の物ですから、魔の領域へ探索に行こうという話にはならないのですよ。


 まぁ、私ならデリエイラの森でもライザの森でも一っ飛びですから、要ると言うならささっと行って持って来るのも吝かでは有りません。

 王都に来て雪の下に生える薬草も有るとは聞きましたが、デリラで氷が張った所なんて見た事は有りませんし、普通に昏い森でシダリ草だろうがマール草だろうが採取する事が出来るのです。


「ディジー、助かるわ~。でも、王都ならではの薬草も、ディジーに開拓して欲しいのが本音なんだけどね~」


 受付のミジールカさんにそう言われて、確かにそんな話も有ったと思い出してしまいましたね。

 調薬のモーリスアン先生からは、お小言を貰いつつも生身で話せる分だけの事情を話して赦して貰いましたけれど、魔力を帯びながらも遣い道の分からない薬草は、一度調薬の講義に持ち込んで自分で分析してみるのもいいかも知れません。

 私が魔法薬を作っている方法含めて相談したら、モーリスアン先生にも興味を持って貰えそうです。


 学院の講義は心配していた「調薬其の二」が何とかなりましたから、他は黙々と学ぶか、まったりと学ぶか、激しく学ぶか。何れにしても、楽しく学ぶ事が出来てます。


 一番苦手なのは「交渉術」ですね。多分、成績も酷い物だと思います。言葉の裏を読んでとか、まぁ分かりません。

 私の場合、相手が何を考えているのか何と無く分かりますからどうとでも出来そうですけれど、手紙で来られるとどうしようも有りません。

 いえ、その場合も直接お伺いするなんて禁じ手が使えてしまうのですけどね?

 いざと言う時は何とでもとは思っていても、頭を悩ませつつ結構真面目に受講しているのですよ。


 「王国総合」は、秋の間は歴史とか世界情勢込みでしたけれど、冬の間は現在の王国の状況を主に扱う感じでした。

 まぁ、この講義は職人組も一緒に受けてますから、その兼ね合いも有るのでしょう。

 接点が無いかと思われた職人組とも、結構言葉を交わす事は多くて、放課後や休みの日に街まで一緒に遊びに行ったりもしています。

 (かじか)む様な寒さの中で食べる肉団子やごった煮のスープって、何であんなに美味しいのでしょうね?


 「お茶」と「刺繍」の時間は優雅に――と言っても、「刺繍」はディジー人形と一緒に受ける事になりましたが。

 精緻の極みなディジー人形の作品を、殊の外オロミール先生のお気に召した様で、まぁ礼節を保っていれば居心地のいい場所になりましたね。


 「音楽」も優雅な時間に成りそうなものですけれど、鑑賞するその時は兎も角、自分で楽器を手にした時は激しいセッション(即興)の時間です。

 木琴という名前と知ったその楽器を一台手に入れて仕組みを理解したならば、サルカム材や、強化して焼き固めたサルカム材、ジーク材、ウネウネ材と材質も様々に、三段に拡張したお手製の木琴を造り上げてしまいました。

 買った木琴よりもいい音が鳴ると自負していますよ?

 それを五台並べて人形四体とのパッション(激情)溢れるセッションなのです!

 柔らかくとも弾むウネウネ材はポクポクと、焼き固めたサルカム材は金属の様にキンキンと、五つの音色で繰り広げられる音の世界!


 でも、そんな私は自由にやらせた方が面白くなりそうだと放置される事になってしまいました。

 代わりに楽譜の書き方を教わって、曲に題名を付けて残す様に言われています。

 良い曲が出来たら発表会も有るみたいですよ?

 思いの外に「音楽」の講義を満喫していて、全く音を楽しむとは良く言ったものです。


 他にしっかり楽しんでいるのは、「弓・投擲」の講義です。

 弓矢ってただ真っ直ぐ飛んで行くのでは無いんですね。矢の撓りも影響すると言われると、魔術で射る方が楽と言えば楽なのですが、面白いのは弓矢です。

 何と言っても他の人達と条件が同じですから、競い合う事が出来るのですよ。その楽しみは私にとって初めての経験でした。

 投擲は投擲で、回転を掛けると軌道を曲げられるとか、中々面白い技が詰まっていました。


 そして今や大決戦訓練と称した方が良さそうな「武術」の講義。

 まぁ、前半は今迄通りなのですけれど、後半は完全に騎士団の人達も入り込んでの演習です。

 武術の講義なのに、私だけ魔術の特訓になってます。

 人気が有るのはやっぱりデリエイラの昏い森を模した演習ですね。ビガーブの鉱山では私も蟲鬼の戦い方をじっくり見た訳では有りませんから、知らない魔物程遣り過ぎているのかも知れません。

 毛虫が出て、大毛虫が出て、黒毛虫が出て、竜毛虫が控える。段階を踏んだその在り方も、乗り越えたいという気持ちを増幅させるのでしょう。


「今日こそドラグオーガを引き摺り出すぞ!!」

「「「「おう!!」」」」


 流石に講義の時間内は騎士団も上の人達は参加してきません。

 でも、講義を受けている学院生達も、丸で騎士団の一部隊の様に連携を取って攻め立てているので、見物に回る上の人達をも唸らせていますよ。

 放課後になるとその上の人達が大挙して参加してきて、大挙して襲い掛かって来るのは、ちょっと大人気無いのではと思いますけどね。


 あとの講義は黙々と勉強するのみです。

 今も学院に残るおかしな人達が、何か為出かすのではと思っていましたけれど、それも無くて平和な日々が続きます。


 私にとっても、ホホウリムの町での出来事は、結構精神的にもしんどかったですからね。こういうのんびりとした時間は大歓迎です。

 そのまま冬が終わるまでのんびりは続くと思っていました。


 まぁ、続くんですけどね? 続かない筈が有りません。

 ただやっぱり冬はイベントが少ないですねと、部屋の白板を見ている時に、王都組のハルカさんから声を掛けられたのです。


「ディジーも機岩鉄は見に行くんだろ?」


 ちょっとどういう流れから声を掛けられたのかは分かりませんでしたけれど、冬の間の数少ないイベントですから、私も当然見に行く予定は立てています。

 ですけど、多分行き先は違うと思うのですよね。


「皆さんはライゼローフの丘ですよね?

 私はもっと近くまで行くつもりなのですよ」


 因みに機岩鉄というのは、一年に一度、冬のこの時期に王都の近くに現れる鉄で出来た化け物です。

 まぁ、魔物の一種ですね。

 一年毎に、黒大鬼よりも巨大でずんぐりむっくりな鉄の巨人、空飛ぶ複数の巨大円盤、蜘蛛か何かの様に何本もの脚を生やした巨大な何か、が順番で巡ってきて、今年は巨大鉄巨人の年らしいです。

 斃し方も確立されているからか、新人特級冒険者の御披露目の場となっていますね。

 まぁ、言ってみればこれも一つのお祭りです。


「え? 近くに行けるんだったか?」

「万が一の時に備えて、協会長が待機している場所が有るみたいなんですよ。上級以上なら其処から見学しても構わないみたいですね」

「それは正直、羨ましいな」


 話が聞こえていた人達も、うんうんと頷いています。

 いえいえ、黒大鬼より大きな鉄巨人なんて、上級でも相手は出来ないと思いますけどね?

 それでも見学に行くだけならば緊張なんて有りませんし、聞いている仲間達にも心配なんて有りませんし。


 う~ん、やっぱり冬の間はのんびりなんでしょうかねぇと、私はそう思ったのでした。

 まぁ、のんびり回でそれ以上に話を膨らませられないから、短いのは仕方無いですね。こういうのは無理に膨らませても蛇足になりそうです。

 ところで、4/1は季節ねたを一発かまして、4/2には引き上げたのですが、何故か引き上げた日が歴代最多PVにw 見逃していたとするなら、設定部分とか特別回は別枠に移して残してますから、そちらを見て貰えればと思います。(というか、シリーズものとかの設定にすればいいのかな? 調べて試してみます)

 そして……色々考えたけれど、多分十話もしない内に一旦完結とします。

 といっても、その後も続きますけれど、位置付け的にそれらは後日談だなぁと思うのですよ。冒険者を夢見た少女が冒険者になって(ここまで第一章)、そして誰もが知っている冒険者になった(ここで二章の終わり)なら、其処で完結としないともう完結に出来るタイミングは来ないのではと。

 伏線も張りまくったままですが、それもクリア後のサブシナリオ的な感じですかね?

 一章の様にボスが居て終わる感じじゃ無いので盛り上がりに欠けるかも知れませんが、逆に言うなら一章だけが本編でそのあとがおまけの様な気もします。

 何故って作者の頭の中には、ディジーが母親のリアンカリカと、それから娘と一緒に、三代揃っての冒険者をしている所までは脳内プロットが有るのでw そのお相手すらまだ登場していないのにw これはいつになっても完結出来ないそんな気がしてしまったのです。

 そういう事で、一端の区切りまで残り少ないですけれど、お付き合い頂ければ幸いです。

 ではでは~♪

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