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童話集  作者: 清ピン
3/7

3つの村とイノシシの村

むかしむかし、山と森にかこまれた広い谷に、

3つの動物の村がありました。

ひとつは、のんびりやさんで気ままな 猫の村。

もうひとつは、元気いっぱいで忠実な 犬の村。

そしてもうひとつは、ちょこまかとすばしっこい 鼠の村 です。

3つの村は、となりあってくらしていました。

けれど、みんなちょっぴりライバル同士。

「猫なんか昼間は寝てばかりだニャ」

「犬こそ、うるさいワン!」

「ねずみは小さいからすぐ逃げるチュ!」

こんなふうに、会えば言い合いばかり。

でも、本当はみんな同じ谷に住む仲間でした。

■ イノシシの村からの挑戦

ある日のこと。

山のむこうの イノシシの村 から、大きなイノシシたちがやってきました。

「グオォォォ!この谷は広くていいところだ。

今日からここは、イノシシの村のものだ!」

リーダーの大イノシシ・ゴロが、鼻をブヒッとならして言いました。

イノシシたちはとても力が強く、あちこちを掘り返しては、畑をあらし、木をなぎたおしていきます。

猫の村も、犬の村も、鼠の村も大あわて。

「どうしようニャ! うちの魚の池が…」

「ぼくたちの畑もふみつぶされたワン!」

「チーズの貯蔵庫がグチャグチャになったチュ…!」

3つの村は、それぞれイノシシの村と戦おうとしました。

でも、猫の爪でもひっかけず、犬の吠える声でもびびらず、鼠のすばやさでも太刀打ちできません。

「うわぁ〜ん!イノシシ、強すぎるニャ!」

■ はじめての話し合い

その夜、月がまるく空に浮かんでいました。

3つの村のリーダーたちが、丘の上に集まりました。

猫の村の長老・ミケじいさんが、ゆっくり言いました。

「このままでは、3つの村がみんなやられてしまうニャ…」

犬の村のリーダー・ポチが、しっぽをふりながらも真剣な顔で言いました。

「ぼくら、ケンカばかりしてたけど、今こそ力を合わせる時だワン!」

鼠の村のリーダー・チュウ太も、ちいさな胸をはって言いました。

「チュウ…そうだ!3つの村が一緒になれば、イノシシなんてこわくないチュ!」

こうして、猫、犬、鼠の村ははじめて力をあわせることを決めたのです。

■ みんなの作戦

まず、鼠の村が考えました。

「イノシシたちは鼻がとてもいいチュ。くさいにおいがきらいチュ!」

そこで鼠たちは、においの強い香草と山のからしをまぜて、強烈なくさい玉を作りました。

次に、犬の村が考えました。

「ぼくたち犬は大きな声でほえるのが得意ワン!」

犬たちは、イノシシをおどろかすための大合唱の練習をはじめました。

そして猫の村が考えました。

「わたしたちは静かに歩いて、高いところにも登れるニャ」

猫たちは森の木に登り、イノシシの動きを上から見張ることにしました。

3つの村の力を合わせた、大きな作戦がうまれたのです。

■ イノシシの村との決戦

次の日の朝。

イノシシたちがまた谷へやってきました。

「グオォォォ! 今日こそ全部うばってやるブヒィ!」

そのとき──

「いまだチュ!!」

鼠たちが一斉にくさい玉を投げました。

ブワァ〜ンと立ちこめる強烈なにおい!

「ブヒィ!? なんだこのにおいは!? 鼻が…くさいブヒ〜!」

イノシシたちは目をまわしてドタバタ。

そこへ犬たちの大きな声!

「ワンワンワンワンッッッ!!」

森じゅうがゆれるほどの大合唱。

びっくりしたイノシシたちはおろおろ。

そのあいだに、猫たちが木の上からロープをたらし、イノシシたちの進む道をふさぎました。

高いところが苦手なイノシシたちは、立ち止まってこわがります。

「や、やるじゃないか…こいつら…」

リーダーのゴロが歯をガチガチさせながら言いました。

■ 勝負のあと

「この谷はぼくらみんなのものだニャ!」

「勝手にうばわせないワン!」

「イノシシの村だって、約束をまもるチュ!」

3つの村の声がひとつになりました。

イノシシたちはすっかりおどろき、しっぽをまいて山へにげていきました。

リーダーのゴロだけがふりかえって言いました。

「……おまえたち、強いな。だけど、いつかまた来るブヒ。

そのときは……ちゃんと話しあえるといいな。」

ゴロの目は、ちょっとだけやさしくなっていました。

■ 仲良しのはじまり

戦いが終わったあと、3つの村の広場では、大きなおまつりがひらかれました。

猫たちはお魚のスープをふるまい、

犬たちはおいしいパンを焼き、

鼠たちはチーズとナッツを持ってきました。

「いままでケンカばかりして、ごめんニャ」

「ぼくら、意外といいチームだったワン!」

「これからも一緒に守っていくチュ!」

3つの村の動物たちは、初めてみんなで笑い合いました。

夜空にはまるい月がまたのぼり、谷じゅうに笑い声がひびきました。

それからというもの、猫の村・犬の村・鼠の村は、

ライバルではなく、仲間 になりました。

イノシシの村とも、のちに話し合って、森をわけあってくらすようになったといいます。


〜おしまい


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