表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

5

「まぁ、私の方は時間が過ぎるのを待つしかないわ。

気持ちが落ち着いたら、アイリスに向き合う事ができるのか、はたまた別の誰かに向かうのか。

それより、あなたの方はどうなの?ダービン様と。

子作りしたってことは、無理矢理な感じ?」

「ううん。関係自体は無理矢理な感じでもないし、基本的に態度は優しいの。

昔となにも変わらない感じかな。本音を知らなければ、恋愛結婚なんじゃないかと思うほどなの。

メイドさんたちも親切だし、本当に快適に過ごせてる。ただ、彼が帰ってくるのが遅いっていうのと、たまに悲しそうな顔をしながらこっちを見てくる時があって、その時はちょっと乱暴な感じがするの。ほんと、ちょっとだけなんだけど。」

と言うと、うーん。とエマは首を少し傾け、手元のコーヒーを見ながら考え込んでしまった。

肩の辺りで短く切り揃えられた栗色の髪は、エマの小さい顔をより際立たせていた。

何度見てもエマはかわいいなぁと、全然別の事を考えていると

「帰りが遅いっていうのは、第一王子の婚約に関係があるんじゃない?来月、隣国の第一王女様が来られるからって、王宮では準備で忙しいみたいよ。

しばらく滞在されるみたいだし、視察も組まれてるみたいなの。」

「そうなの?って事は、エマの職場も視察の対象?」

「うーん、そうだと思う。なにせ、うちは国立の図書館だからね。他にも、市場とかも視察に入ってるって話だよ。あっ、これはまだ内緒ね。」

「もちろん。さすが、エリシート伯爵家だね。」

「まぁねぇ。って、これはお義母様のお茶会情報なんだけどね。お義兄様の結婚と被らないようにしなきゃーって事で、ちょっと大変だったの。」

そう言ってエマは笑った。

エマのお父様は国王の専属騎士団の団長をしている。そのため、王宮の情報は入ってきやすいらしい。

ただ、お父様自身は何も話さないため、あくまで推察なのだとか。


「ダービン様は何を考えているんだろうね。

私も学生時代、何度かお会いしたけど、あんな本音を持ってるなんて思いもしなかったよ。レイナとの婚約に納得してると思ってた。むしろ、レイナを大切にしてた印象なんだけどなぁ。」

「ねぇ、ほんとに。近くにいてわかったつもりでいたけど、本当のところなんて何にも分かんなかったし、あの日以来、できるだけ接触も避けてたから益々分かんなくなっちゃった。」

「ねぇ?一度本音について直接聞いてみたら?」

「うーん。でも直接聞いて"はい、嫌でした"なんて言われたら、それこそ辛くない?結婚したばかりなのに。」

「それもそうか。あっ!そろそろ時間じゃない?戻らないと」

こうしてエマとのランチを終えて、私は職場に戻っていった。


その夜、ダービンはいつもより少し早く帰ってきた。

とは言え既に夕食の時間は過ぎ、寝るだけになっていた。

「おかえりなさい。お仕事お疲れ様でした。

こんな格好でごめんなさい。もぅ寝ようと思っていたもので。」

「いや、大丈夫だ。今日から仕事だったな。疲れただろう。」

「そうですね。でも、この仕事は好きですから。」

そう言って微笑んだ。

すると、ダービンの顔が少し強張った気がした。

「そうか。休暇中の仕事に問題はなかったか。」

「大丈夫だったみたいです。心配はしてなかったんですけどね。」

「そうか。。。キミの仕事は経理だったよね。朝出社したら、外に出る事はないのかい?」

「そうですね、経理部の中には銀行へ出かける担当者もいますが、私の担当は外に出る事はないですね。」

「そうか。では、昼とかはどうしてるんだ?」

「???お昼は食堂があるので、そこで頂きますよ?あっでも今日は友人と久しぶりに外のお店でランチしてきました。久しぶりだったから、とってもウキウキしちゃいました!」

「!!!そ、そうか。それは良かったな。」

と言うと、ダービンの顔はさっきよりも強張りが強くなったような気がした。そして、気のせいか顔色も悪い気がする。

「今日は疲れただろう。私も仕事がまだ残っているので、先に寝ていてくれ。」

そう言うと、ダービンは寝室へやを出て行ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ