54話 知らない人によくわからないモノを貰っちゃいけないのよ。
カトリーさんも転生したら、私に加護をくれるって言ってたけど……。
加護って一体……。
「お父さん、加護って何?」
「神様が力をくれるんだと思う。……よくわかんないけど」
わかんないの?
わかんないのに、貰ったの?
お父さん? 知らない人によくわからないモノを貰っちゃいけないって習ったでしょ?
「でもな、貰った途端に少し強くなったんだよ。スライムを夢中で倒したら、もっと強くなった」
貰っただけでも、力が沸いてくるのね。
羨ましい……。
私も、もっと強くなりたいのに。
そんなに簡単に、ホイホイあげられるものだったら、初めから私にくれればいいのに。
カトリーさんってば……すぐにくれない理由があるのかな。
どうしたら、手に入るのかしら。
「お父さん、加護ってどうやったら持てるの?」
「上級神と契約を結ぶんだよ。契約書を交わして、それに同意してサインするんだ」
契約書?
契約書はよく読まないと騙されるよ。
「お父さん。契約書はよく読んだ? よく読まないと、神様と契約するんだよ。……死ぬよ」
「……怖いこと言うなよ。神様がよく説明してくれたよ。大丈夫。いい神様だから」
良い神様の根拠は何? 私の家族もお人好しすぎる。
お父さん……本当に大丈夫?
心配だ。
心配で……心配で、私が確認しないと。
「おとうさん! 私に契約書を見せて!」
「……あ……な、何だよ。急に大きい声出して。読んでも分かんないよ……難しくて……」
お父さんは立ち上がると、自分の仕事バッグの方へ向かっていく。
見せてくれるみたいだ。
何で、難しくてわからないものと契約しようと思うの?
一旦預からせてくれ、とか言って預かってくればいいのに。
無用心だなあ……お父さん。
今回はいい神様でも、いつか騙されるよ。
私はお父さんから、契約書を受け取ると声に出して読んでみた。
お父さんも、もう一度内容を聞いてみればいいと思う。
見た目は普通の紙……というか布? 皮かな?
何とも言えない材質。
声に出して読み上げる。
「上級神アレクを甲とし、マサオを乙とする」
上級神はアレクという名前らしい。
「甲は乙に対し、加護を与え乙は甲の教えを守ることとする」
教えを守るんでしょ? 全然内容は難しくない。
フツ~。
「教えとは毎日アレクの名前を100回唱えることである」
それだけ? いい神様かも……。
小さい文字で続けて、なにか書いてある。
「ただし、1回でも多かったり少なかったりした場合、命を捧げる」
何これ?
間違えたら、死んじゃうじゃん。
更に、小さい文字で続けて書いてある。
これはゴミにしか見えないレベル……詐欺だ。
サインの所だけは普通の大きさか。
「う~ん、小さっ。6ヶ月続けられた者は、命を捧げる……これに乙は同意する、マサオ」
うん、お父さんの字でサインがしてある。
もっと丁寧に書きなよ、汚いなあ。
いや、そんなことじゃない……。





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