43話 お昼だけは絶対に負けない
そう思った時、お腹から悲鳴がぐ~っと鳴った。
そうだ、今日のお昼……スライム料理どうなった?
カトリーさんが食堂のスライム係の人の記憶をいじくって、美味しくしてくれているはず。
スライム料理がダメで、食堂を使わない人がいる位だから、美味しくなったら混んじゃうかな?
今からどんな味か楽しみ~。
私は急いで食堂に向かった。
食堂には猛烈ダッシュ……美味しいことが広まったら待たされるかもしれない。
一番乗り。
そもそも、食堂に急いでくる人なんていないから余裕。
食堂の席数はたくさんあるから、少し待てば食べられないことはないんだけどね。
けれど、折角ダッシュしてきたのに食堂のメニューを見てビミョーだなって思った。
今日はキノキノ草のスライム巻きがメインディッシュ。
私……野菜が苦手なんだけどなあ。
スライムが美味しくなっても、キノキノ草を一緒に食べたら、美味しくない気がする。
あとは、ナイトバットとブラックマッシュルームの真っ黒な煮込みスープ。
それと、岩石芋を蒸かしたものだ。
岩石芋は、岩みたいな形をしている芋で、土から掘り出した時の姿が岩に似ている普通の芋。
食わず嫌いのある人は、食堂使えないよね。
ハジイてるところを見つかったら、出禁になってしまう。
私は嫌いな食べ物はあるけれど、食べないということはないからね。
身体が小さいんだから、好き嫌いしてこれ以上身体が縮んでしまっても困るもの。
ただ、カトリーさんが美味しくしてくれるというのを楽しみにしてしまったから、ちょっとガッカリ。
ダッシュで行ったから、早く食事を取ることは出来たけど……それだけか。
お皿の上のスライムをフォークでつついてみる。
お皿に載っている感じは普通のスライムなんだけどな。
何が変わったんだろう。
恐る恐るキノキノ草のスライム巻きを口に運ぶ。
……ん?
なんということ……、あのスライムの生臭さが消えている。
そして……、今までと違うのは味がしっかりとついている。
決定的に違うのはスライムから繊維質な食感がする。
これは、トドイノシシを食べた時のような……肉を食べている感じ?
それよりも脂身はなくて、さっぱりしているお肉ね。
キノキノ草にもしっかりと味がついていて……スライムとのコンビネーションが美味しい。
カトリーさん、グッジョブ。
流石だよ、カトリーさん。
周りの生徒も驚いたような顔をしている。
一体どんな記憶操作をしたら、こんな事が起こるんだろう。
きっと、明日から食堂は混むだろうな。
けれど、これなら並んでも食べる価値あるんじゃない?
授業が終わったら、ダッシュで食堂に行くようにしよう。
私は強化魔法の副作用なのか、元々がそうなのかわからないけれど、足が速いと思う。
お昼だけは絶対に負けない。
私は食堂のランチを気の済むまで食べてやった。
よし、お腹いっぱい。
剣術頑張るぞ~。





小説家になろう 勝手にランキング