40話 カトリーさん何とかなりませんか?
「あれ、そういえば今何時?」
壁にかかった時計を見る。
「8時か。ご飯を食堂で食べてから、学校行くから……もうそろそろ出ようかな」
食堂に行った足で、そのまま教室へ行ってしまおう。
制服は着てしまったし、カバンを持って行けばいいだけ。
「学校行くんだ」
「義務教育だからね。行かなくちゃ」
気は進まない。
「今日って何やるの?」
「1時間目が国語で、あとは武術だって」
「武術? 剣術とか?」
「わかんない……」
不安を感じる。
「浮かない顔ね……。まあ、体格が違うから、普通にやったら怖いと思うもんね」
だって体格が他のゴブリンより私ってば小さいから……。
「とりあえず、行ってくるよ」
嫌だけど、今の私の使命は学校に行くことだと思う。
「別に、休んでもいいんじゃないの? 学校行かなきゃダメなの?」
「残りの人生、後悔なく生きたいの。逃げるのなんて嫌だし、義務教育を放棄して、私の家族に迷惑を掛けたくないの」
「そっか……」
カトリーさんが一瞬悲しそうな目をしたように見えた。
別に私の生き方なんだから、悲しむことはないよ。
カバンを持って……、鏡の前で自分の顔をチェック。
うん、カワイイ。
「大丈夫よ、私そっくりで可愛いから」
「……」
「気をつけてね、って言ってもすぐ隣の建物か……行ってらっしゃい」
「行ってきます。終わったら、また、校門の樹の下のところで待ち合わせね」
「分かった」
私は食堂に向かった。
食堂の食事は昨晩の美味しいメニューから、不味いスライム料理に戻っていた。
みんな食べる時間だけあって、混んでいる。
学校……遅刻しないかなあ。
それでも、食堂の時計で15分くらい並んで食事にありつけた。
スライムステーキに、ふわふわ茸のスープ、コロコロ虫入りホットケーキ。
ふわふわ茸はとても柔らかいキノコで、食べると口の中でほどけていくような食感がする。
コロコロ虫の入ったホットケーキは、初代王様が広めた小麦粉というものを使って作る。
スライムステーキ以外は普通に美味しい。
いつもメインディッシュがスライム料理。
メインを引退させてほしい。
名前だけは豪華にスライムステーキなのになあ……、名前が勿体ない。
これは、カトリーさんの記憶操作やらに期待するしかなさそう……。
こんな不味い料理をずっと、食べさせられたら嫌になっちゃう。
「お残しはゆるしまへんで」と張り紙には書いてあるけれど、スライムを使った料理だけはたくさん残っている。
全然、許してるじゃん。
でも、ハジいて取るのだけはダメらしい。
あんまり嫌いな食べ物をハジいて、3日間くらいは使えなくなっている生徒もいた。
食べようっていう姿勢を評価してるのかな。
スライム以外の廃棄はそんなでもないけど、スライムの廃棄量は8割くらい。
もったいない気がするけど、地面に置いておけば、土にすぐ還るからいいのか。
がんばってスライムステーキも全部食べる。
食器を片づけて教室に向かう。
頑張って食べてるのに、全然大きくなんない私の身体。
カトリーさん何とかなりませんか?





小説家になろう 勝手にランキング