39話 みんなお父さんとお母さんだよ
「そういえば、私の隣に住んでいる人……なんか変わった人だったなあ」
「え? どんな人?」
カトリーさんって、ぼーっとしてるところがあるから心配。
危ない人だったら気を付けて貰うように、今からクギを刺しておかないと……。
「引っ越してきた時は髪がフサフサだったのに、次の日に見たら丸坊主でクルンとしたヒゲが生えてたの」
変な人って言えば変な人だけど、違う方の変な人。
奇人?
「別人なんじゃないの?」
「同じ人よ、魔力とか同じだったから」
「魔力? 魔力って見えるの?」
魔力で見分けるって、興味深い。
「貴女も、普通に見えるようになると思うけど……」
「え、見たい見たい」
「簡単。パーティ申請の感じを自分の目に向かってやるの。グルグル回るものを見ようと意識してね」
えっと、白い光をカトリーさんじゃなくて自分の目に向けるのよね。
そして……グルグル回るようなものを見ようとする……。
見ようとする……見ようとする……。
カトリーさんの魔力が……見える。
カトリーさんの魔力って、なんだか青い。
全身を覆うような青いグルグル巡っているものが魔力らしい。
見ると、自分の今の魔力は仄かに香る程度。
「カトリーさん……カトリーさんって、すごいんだね~」
私と比べて、ものすごい量の魔力があるんだと思う。
「ね? 簡単でしょ。私の魔力は結構、濃くてネットリしてるから見やすいと思うわ」
ネットリ……まあ、確かに濃いけど見た感じネットリしてるのかは分からない。
「私の魔力は白くて、薄いのね」
なんだか、煙みたい。
「神様じゃないんだもん、生物の魔力なんて薄くて殆ど無いのと一緒。貴女はちょっと素質あるわ」
「ほんと? 私、素質あるの?」
「あるある。だって私の子だもの。私の遺伝子が遺伝するのね。あと、あの人」
「あの人? カトリーさんの恋人の人?」
「うん、そう。魂は女神様が持って行っちゃったけど、御遺体は私の復讐のために使ったんだ」
「えっと……それはどういう」
「私がゴブリンという種族に掛けた魔法には私の身体の一部のエネルギーと、あの人の身体が入ってるの」
「じゃあ、カトリーさんの恋人の身体が?」
「うん、そう」
「……私って……本当にカトリーさんとその人の子供みたいなものなんだね」
恋人って転移者で……カトリーさんをそそのかした人間で……ちょっと腹が立つけど。
「そうね、貴女の実際の……ゴブリンのお父さんとお母さんには申し訳ないけど、お二人の遺伝子は入ってないから、全く似てないだろうね」
似てない?
まあ、稀少種だから似てないんだと思ってた。
「……私にとっては、カトリーさんと恋人さんも、今の両親もみんなお父さんとお母さんだよ」
「……私もお母さんって認めてくれたんだね、ありがと。あの人もお父さん……。喜ぶわ、きっと」
カトリーさんの恋人さんは、名前も顔も何も知らないんだけど……。
私はとりあえず、エネルギー上はお父さんだからお父さんだと言っておく。
私が恋人のことをあんまり良く思っていないなんて言うと、悲しむだろうし。





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