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ゴブリンの少女はもっと生きたい  作者: 雲と空


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31/56

31話 ゲロゲロだね

 カトリーさんとのやり取りでだいぶ時間を使ってしまったから、結構席は空いている。


 もう、20時かあ。


 補習が終わってから食堂に来るまで1時間も、掛かってしまった。


 食堂の時計がそう示している。


 殆どの人はきっと、食べ終わって部屋に戻ったことだろう。


「カトリーさんあっちの、端っこの方の席で食べましょ」


「あいよ」


 カトリーさんは透明だし、人とぶつかると危ないから椅子に座っていて貰おう。


「カトリーさんはあの角の席に座ってて」


「はい」


 私はカトリーさんが席にむかった雰囲気を感じると、食事をとりに向かった。


 バイキング方式で大皿に乗っている料理を自分のトレイに載せていくシステムだ。


 スプーンとフォークとトレイをお盆にを載せて料理をとり始める。


「うわっ」


 あれ?


 遠くの方で誰かの叫び声が聞こえたような気がする。


 まあ、いいか。


 きっと、空耳でしょ。


 おお~、今日は結構当たりみたい。


 珍しく、といってもそう何度も食べたわけじゃないけど……スライム料理じゃない。


 スライム料理以外はそれほど不味くなかった気がする。


 相変わらず、キノキノ草のスープは野菜が多すぎる。


 これだけはスライム料理じゃない日も変わらないのね。 


 スライム料理は調理次第で、美味しくなったり不味くなったりするみたい。


 この食堂の人はスライム料理を舐めているに違いない。


 私のお母さんのスライムの塩焼きを見習って欲しい。


 料理をお盆にとり終わり、カトリーさんの気配のするテーブルまで運ぶ。


「あれ? ここって全然端っこじゃないじゃん」


「ふふっ」


「なんか嬉しそう……どうしたの?」


「さっき、ここに座ってたらここの学生が私の膝の上に座ってきてね。透明でわからないのに感覚があるから、驚いてさ。料理を頭から被ってひっくり返ったんだよ~。面白くて面白くて」


 さっきの叫び声って、ここだったっぽい。


 そりゃ、こんな真ん中の目立つ席なら、誰か座るかも知れない。


「カトリーさんって、人を驚かすのが好きなの?」


 なんだか、ニヤニヤしてる。


「え? 好きだよ。」


「カトリーさん……私に変な噂がたつと嫌だから、やめてよ~」


 ただ、驚かしたいだけでそういうことをするのは止めてほしい。


 私がいじめられたら、カトリーさんのせいなんだから。


「ごめんごめん。透明になることなんて滅多にないから遊びたくなっちゃって」


 この性悪ゴブリンめ。


「ところで、今日のゴハンはなあに?」


「そうそう、カトリーさん。見てよ。今日はスライム料理じゃないんだよ。はい、これカトリーさんの分」


 私はもう一度食事をとりに行って、二人で席についた。


 カトリーさんは透明だけど、パーティを組んでいるおかげで感覚でいる場所が分かる。


「ところで、見てもわからないんだけど……今日の献立はなに?」


「じゃじゃーん。フォレストマンモスのハンバーグとナイトバットの羽の天ぷら、ドリドリニンジンの葉サラダとキノキノ草の野菜たっぷりスープだよ」


「昔と食べてるものが違いすぎて、何だかわかんないなあ~」


「とりあえず、食べようよ。お腹空いたし……。死んじゃう」


「私は記念に食べようっと」


 私は食べ始める。


「ん~。今日の料理は美味しい。いつもの下手くそなスライム料理は止めてほしいなあ」


 カトリーさんも食べ始める。

 

「うん、私が昔食べてたものより、今の食べ物の方が美味しいわあ」


 透明状態で食べると、どうやら奇妙な感じに見える。


 フォークが空中で浮いてしまう。


 まあ、いいか。


 誰も私達のことなんて気にしていないようだ。


「カトリーさんの頃って何食べてたの?」


「えっと、スライムとかコロコロ虫を生で食べてたかなあ。調理しようなんて人いなかったよ」


 生で……ゲロゲロだね。


 現代に生まれてよかったよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 夕食は、普通、低年齢なら6時か7時くらいでは…… 20時とは、やや遅くなりましたね。 ……パーティ申請の習得していたからですね。 とりあえず隅っこの椅子に座ってもらったんですね。うろちょろ…
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