第2章
~~第2章 ―動き出す歯車―~~
「本当に良いの?」
「あぁ。」
19時ジャスト。仕事を終えた俺は家に戻ってきた。
今日は結局あれから一人も旅人は来なくて、ずっとルナと喋っていた。
ルナは勇者なのにかなりの資金難らしく、宿代も苦しいらしいから今日は泊めてやることになった。
国王は何でこういう時に金を出さないんだ!?
「さきに俺風呂入ってくるから適当にくつろいどいて。」
ルナはこくっと首を縦に振った。
。。。。。。。
「はぁ~やっぱ風呂はいいぜー!今日はいろいろと驚きばかりだー、頭を少し整理するか。」
この世界に影響を与えているというミュールの魔法。
その力は人々に激しい頭痛を頻繁に起こさせる、というものらしい。
この村ではそんなことは起こってない。もしかしたら他の村人で言わないだけで耐えている者がいるのかもしれないけど少なくとも俺には無かった。
ルナは昔活躍した英雄の血筋らしい。
その血筋のおかげか、ルナにも何も起きていないそうだ。
そのせいで勇者に選ばれた…か。
あんなかよわい女の子なのにな。
そして何より…ルナからのミュール打倒の旅への勧誘。
彼女の剣は全世界が協力し、完成させた奇跡の剣らしく、一太刀浴びせることができればいくら禁忌魔法を使おうとミュールにダメージを与えることができるらしい。
奇跡の剣の元の素材はかつてのルナの先祖の英雄が使っていた剣らしく、彼女の血筋しか使えないらしい。
そんな彼女をサポートできる仲間がいれば心強いがミュールの魔法のせいで誰もサポートできない。
だから彼女は一人で禁忌魔法に立ち向かわなければいけない…。
何の罪もない女の子が一人でそんな重荷を…。
。。。。。。。
「昨日は泊めて頂きありがとうございました!」
午前8時。起きたら彼女は身支度を整えていた。
この村をもう出るらしい。
そして今、村の門…初めて会った場所に立っている。
「本当に、本当にありがとう…。リュウトみたいな人がいることが分かってわたしすごく安心したよ。他にも魔法の影響を受けずに済んでいる人がいるかもしれないって分かったからね!」
すごく嬉しそうな顔だった。本当に優しい娘なんだな。
「じゃあ…もう行くね…さよなら………お元気で。」
彼女は顔を伏せた。
後ろからすごい数の見送りの声が聞こえてきた。
「元気でなー!!」「達者にやってこいよ!」「仕事の事は任せろ!!!ワシもやってみたかったんじゃ。」
ルナはきょとんとしていた。
「今まで何も言わないってのはちょっと意地悪だったかもな、悪かった。」
「え?」
「ルナの旅…俺も一緒に行くよ。何の能力もない俺だけどさ、何か知らないけど禁忌魔法ってのはくらわないし、荷物持ちとかできっと役に立てる。」
この村には俺以外に力のある若者はいなかった。
だからルナをサポートできる人は間違いなく俺しかいないだろう。
「で、でも危険な旅になりますよ!?」
彼女は涙ぐんでいた。言わなかっただけで俺に仲間になってほしかったのかもしれない。
そりゃそうだ、16歳の女の子が一人でこんな危険な旅何てどれだけ心細いか。
「どんとこい!!」
ルナは泣き出してしまった。
「お、おい大丈夫か?」
「だい…じょうぶ…です。わた…しうれしくて!!…ずっと一人で寂しかったんです…」
「あぁ、これからは俺と一緒だ。きっと力になる!」
村人達の見送りを背にルナと俺は歩みだす。
これから過酷な旅が始まろうとしているが俺達の足取りは重くはなかった。
何とかルナの役に立てたら良いな。いや、きっと立ってみせる!
―孤独な旅は終わり、世界を救うための旅が始まる―
~第2章 完~
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